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【終焉剣闘旅】フェアウェル・グラディエーター(3日目後半)

「このあたりにあるはずなんだが……あ、ありました。こちらです」

アキバのタコス屋、タコス屋ブレイズ

「わっ、なんかキャラもいるし可愛い、さすが秋葉原といったところか」とアルバートが感嘆した。

現金払い不可だ、Suicaやapplepayとかを用意しておくように

階段を降りて入店。店内は一字のカウンター席とテーブル席3つぐらい。TEX-MEX料理よりはラーメン屋みたいな配置。かと言って店主が腕組みするポスターもないし、メキシコっぽさも強調していないので誰でもストレスなく入れそうじゃないかな?

ランチメニューはこんな感じ。

なんとグッズ販売もしている。秋葉原ぱねぇ〜

俺はランチメニューのチリビーンズとアボカドのブリトー、そしてタコスとトルティーヤチップス、コロナビールのおつまみセットを注文。さらにアクリルスタンド2種類を購入。アルバートはランチのタコミートとパクチーのタコスにした。彼は電子決済に慣れていないらしく支払いの際に少々手こずっていた。

コーン・ウォー

先に俺の料理が運ばれてきた。ブリトー、タコ、トルティーヤチップス、CORONA、そしてベイブ。お前が必要なものが全てここにある。さっそくタコ美さんアクリルスタンドに活躍してもらっったが上手く撮れなかった。精進します。

スカートから伸びるタコ触手は最高にTA-COOLだぜ。人間の手足と合わせ、タコ美は脅威的な12脚生物だ。眼鏡有りVer.のアクリルスタンドはアルバートにプレゼントした。

続いてアルバートのタコスが来た。

「これどうやって食べるんだろ?」

S.T.A.R.Sの隊長なのになにやらタコスになじみがない様子だ。生意気かもしれないがここは日本に来てすでに2回もメキシカンフードを食べた自分がインストラクション授けよう。

「どうもなにも、グワシっと掴んで、がーっと大口開けて、トルティーヤの
端から漏れるジュースで手を汚しながら食べるんすよ。獣になった気分でやってみてください」
「そうなんですか、やってみます……うん、おいしい」

さすがはS.T.A.R.Sの隊長、タコスという手をめちゃ汚れる料理を食べる所作も優雅だ。

「パクチーが苦手なので心配してたけど、これはいい薬味になっていますね」
「そうですね。僕もパクチーが苦手なんだけどこれぐらいがちょうどいいです。あーと、数年前に日本でパクチーがブームになっていたとき、来日中テレビでパクチー100%のサラダやパクチー100%のグリーンソースパスタを見たけど、あれはさすがにないですわ」
「あれはやりすぎましたねー」

雑談を挟みつつ、我々は各自の料理を平らけていく。ブリトーは具がぎっしり詰まっていて満足感が高いし、タコはパクチーとサルサがフレッシュで旨かった。唯一気になることといえばチップスが少々油っぽかったところかな?CORONAで流し込めば問題ない。

「ふむ、ここのトルティーヤ、全小麦粉ですかな」
「そうなんですか?トルティーヤって小麦粉とトウモロコシ粉を混ぜて作ると聞きますけれど」
「普通はそうなんですね。でも穀物粉としてはやはり小麦の方が扱いしやすいため、アメリカところかメキシコも全小麦粉トルティーヤを提供する店が増えているみたいすよ。あっ、これはNETFLIXオリジナルドキュメンタリー『タコスのすべて』の受け売りね。今のところ僕の話を聞いてシェフが『タコスのすべてを見ただけ解る気になっている奴がいたわ~』とせせら笑っているかもしれません」

皆さんはぜひこの記事を拡散してタコスブレイズさんの目に入り、訂正しにきてほしい。

タコとブリトーで胃が温まり、CORONAで酔いが回る。いいきぶんだ。そんな中でアルバートは荷物を探り、何かを取りだした。

「せっかくなので、アクズメさんにプレゼント
を用意しました」
「おお、これは......!」

渡されたのは彼が書いたアイカツ!同人小説本ともつ煮レトルトカレーだった。

「本の方は私が昔芸カで出したマイキャラ中心で展開する小説で、カレーの方は私の地元特産です。カレーの方はもしかして税関でひっかかるかも知れませんが、迷惑でなければ」
「多分ひっかかりますけど大丈夫です、ホテルで食っちゃおかと思います」
「ぜひご賞味ください」
「僕からもアルバートさんにプレゼントがあります」

俺は剣闘ボックスに入っていたノートブックや付箋、そして昨日東京タワーで購入した手裏剣クラッカーを進呈した。

「うっは!これすごい昔の絵じゃん!久しぶりに見たよ。懐かしい〜」
「ぜひ職場で活用してください」
「職場ではちょっと無理がありますね。説明を求められてしまう」

たしかに、S.T.A.R.S隊長の面子が潰れてしまうかも。

長く座った、そろそろHeyに戻ってアイカツを再開しよう。

「アクズメ、ユニットステージやりまりませんか?」
「ユニットステージねぇ……まあいいでしょう。やりましょう」
「あれ?ちょっと不服そうな感じ?」

本当は不服だった。ユニットステージとはDCDアイカツプラネットが2年目から実装した従来の協力モードに準ずる新機能だ。前半で見せた動画の通り、勝ち負けをはっきりするバトルステージでは技術やスイングのレベルよって一回もドレスチェンジできず終始デフォルト衣装のままステージが終わってしまい、屈辱にまみれて敗北する可能性も多々あり殺伐とした雰囲気を漂っていたアイカツプラネットだが、それこそ俺が求めるアイドル闘争者のあるべき姿だと思ってBANDAIでありながらも大いに肯定してやったが、ユニットステージが導入してからはアイテムや技術関係なくプレイヤー両方ともドレスチェンジができ、誰もが筐体の前に悔さに涙を流すことなくDCDアイカツプラネットを楽しめるよう優しい世界となった。俺は少々失望した。

余計なこと考えてしまった。アルバートは俺とアイカツするためにわざわざやってきたんだ。俺だってアイドルだ、サービス精神はある。

「そんなことないっすよー、やりましょう」
「ありがとうございます。スイングは私がプロデュースしますね。ドゥドゥンちゃんはなんか好みのスタイルがありますか?」
「特にないんですね。こいつは勝つためなら何でも着るんで」
「なるほど。じゃこれで行きましょう!フィナーレステージのスイングはどれがいいです?」
「そうですね……」

最後はやはりドレシアップを決めたいそうだ。ドゥドゥンのイメージに合わせてローゼユグドラシルのスイングを選択した。

こういう構成

「それと、曲の難易度はかんたんに選んでくださいね」
「えっ、マジすか?」
「はい、よろしくお願いいたしますよ」

アルバートの口調には有無言わせぬ圧があった。素直に従おう。掌底を食らったら俺は死ぬ。

ふーん、ユニットステージ、なかなかよかったじゃない?ふたり同時ドレスチェンジはやはり華々しくて盛り上がる。そしてアルバートというとドレスチェンジするたびにDCD筐体の前で手合わせして「嗚呼、可憐だ……最高……」と恍惚していた。成人があんな純真な顔するなんて初めて見た。あえて難易度をさがるのもよりアニメーションに集中するためであろう。彼と僕はアイカツに対するスタンスが根本的に違うと、この時に理解した。

目指す目標が違えど、こうやって共にアイカツ!できる。ユニットステージはこのためにあったかもしれない。

「めちゃ良かった。ありがとうございます」
「いえこちらこそ、ドレシアップできるスイングまで用意してくれてありがとうございます」
「続きやりましょう!こちらはかさね以外にもたくさんアイドルがいますんでその子らともやってあげてください」
「そういえばたくさんいましたね。もう軍団じゃないですか?」

というわけでこの後もユニットステージした。

最初はふたりとも青緑のドレスだが、進むにつれて青と緑がはっきりわけて行く。いつか必ず訪れるお別れを比喩しているか。

オープニングとメインは舞台に合わせて暖かいオレンジ色のドレスで調和感を出し、フィナーレはシックなジャジーズキャッツアイで決める。同じドレシアでもドレスのデザインはバージョンによって違ったりする。

ときわ亭

アイカツ!はコインとカロリーを使う。午前から夕方にかけてアイカツに勤しむ我々はカロリーに飢える獣と化した。

俺の要望に応じて、アルバートとときわ亭にやってきた。

これこれ、これだよ。テーブルごとに設置されているサーバー、テンション上がるなぁ~。YouTubeで見てからずっと憧れてたんだ。

アルバートは電車でラクーンシティに帰ってから車を運転して帰宅するので飲酒できないが、飲み放題は同テーブルの全員が適用するので、彼まで飲み放題料金を取られてしまう。

けれど全然問題ない、俺がふたり分を飲めば全然問題ない!任せてくれよアルバート!

「焼きは任せてくださいよ!私は養豚場で働いてるからもつの扱いに詳しいです」

とアルバートが焼肉奉行を買って出る。ありがたい。これで飲酒に全集中できる。養豚場とはBOWの開発は隠語かなにかだろう。

悪魔の召喚儀式

タンは外側をある程度焼いてからはレモンを外してハサミで解体し、火か通るまで焼く。全部アルバートがやってくれた。ありがたい。

〆の冷麺。食べた量は多くなかったけど、ジョッキ8杯ぐらい飲んだので結構満腹になった。

ときわ亭たのしかった。また行きたい。みなみの国にも進出してくれ。毎月通う。

「ふぅ、結構食った。アクズメさんはお腹いっぱいになりましたか?」
「はい、今にも爆ぜそうです」
「じゃ私が会計を済ませますね」

アルバートがレジから戻って、俺はポケットから財布を取り出す。

「幾らでしたか?割り勘で......」
「いや、いいんです」
「え?」
「おごります。アクズメさんせっかく日本に来たから、おもてなしさせてください」

なんと、酒代を払わされて、肉を焼いてもらって、奢りまでしてくるるなんて、アルバート聖人か?俺は合掌して彼にお礼した。

「お言葉に甘えて、ご馳走様でした」
「どういたしまして」

人の好意は謙虚に振舞いつつ素直に受け取れ、俺の信条だ。

店を出たのは19時、またまた俺たちの夜はこれからだぜ!と言いたいところだが、アイカツによる体力と情緒の消耗、そして満の重たさで俺はホテルに帰ってベッドで横たわりながらテレビを見る以外何もやる気が起きなくなったため、解散。

「今日はありがとうございました。記事を書きますんでご期待ください」
「こちらこそお呼びしていただいてありがとうござす。また機会があればまた声をかけてください。ラクーンシティのホルモン屋に行きましょう」
「いいね!」

アルバートと別れを告げ、俺はそのままJRに乗り帰路についた。今思い返してみると今日は一日アイカツと飲み食いしかしなかった。ストイックすぎるぜ。淫獄団地の単行本も買い忘れた(なぜか秋葉原なら恥じることなく淫獄団地をレジに持っていける自信がある)。でも最高に楽しかった。ありがとうアルバート。

(4日目に続く)


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