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akuzume
2021年9月1日 23:51
「カイィィィィィィーーンッ!!!」 朝方の農園にアベルの怒号が轟いた。 カインは燕麦の脱穀作業を止め、顔をあげた。農園の入り口にアベルが居た。顔が赤らんで、太い血管が浮かび上がり、肩が上下に動くほど呼吸が荒い。マジギレだ。「てめえだろ! イールをやったのは!」「……何の話だ?あとでめえとはなんだ?お前の兄だぞ」 脱穀棒を肩にかけ、カインは額に浮いてる汗を手の甲で拭いた。その落ち着
2021年8月11日 10:53
カインが己の不甲斐なさに悔やんで、嗚咽していた頃、アベルは家の台所にいた。「アンジェ、今日はきみを頂くことになる」「いいえ、また川口に迷っていたシラスウナギだった私がもしアベルさんと出会わなったら、とっくに他の魚や鳥に食べられて、何もなせずに死んでいたんでしょう。アベルさんが拾ってくれて、おいしいミミズを毎日くれたおかげでこんなに元気に育ちました。アベルさんのためなら、喜んでこの身を捧げま