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灰汁詰めのナヴォー

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小説っぽいなにかがあります
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#辛い麺メント

辛い麺メント:重慶酸辣粉② #ppslgr

辛い麺メント:重慶酸辣粉② #ppslgr

前回

よぉ、オレはマラーラー。もふもふがチャーミングポイントのフォックスヒューマンさ。本文を始める前に、外の連中が食べようとしている麺の構造を説明するぞ。

順次に見ていこう。
①香菜、またはパクチー、コリアンダーとも言う。人によって好き嫌いが別れるハーブ。オレも好きではない。
②ピーナツ。辛い料理によく入れる。香ばしい上にサクサクの食感がいいアクセントをもたらしてくれる。
③豚肉。しゃぶしゃぶ

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辛い麺メント:重慶酸辣粉① #ppslgr

辛い麺メント:重慶酸辣粉① #ppslgr

「モモノ、重慶って場所知っているか?」
「重慶、それは中華人民共和国の国家直轄市であり、国家中心都市、巨大都市、国務院に認められた中国の重要な中心都市の一つ、長江の上流地域経済の中心、現代の製造業国家の重要な基地、西南圏総合交通拠点である。 By Wikipedia。そして辛い麺文化が盛んでいる場所でもあると」
「その通り。辛い麺といえば四川成都の汁なし担々麵が代表みたいな感じだけど、四川省と隣接

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辛い麺メント IN TOKYO [あとがき]

辛い麺メント IN TOKYO [あとがき]

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ エピローグ 番外 

新橋で麺と食べたのは去年の11月、書き終わったのは5月。まるっと半年もかかってしまった。僕を見限らず読んでくれた方々に感謝。

当初はもっとパルプスリンガー小説らしく、大規模の戦闘シーンを書くつもりだった。A・Kとイマジナリーフレンドの奮闘でマラーマーを追い詰めたものの、そこで、妖狐は最後の術を使った! そこに現れたこのは、ナムサン! 真紅

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スレイド・オブ・辛い麺メント

 ビジネスホテルのロビー。

 ラップを剥き、露わになったアナゴ・スシをしばらく眺めてから、口に放り込む。シャリの酸味、タレの塩味、アナゴの緻密な舌触りが口内でハーモニーを奏でる。アナゴ、つまりイールを食すことは俺にとって食事以上に、邪竜イールに対する聖戦行為である。旨いスシと宗教的高揚感がコミコンと戦闘と飲み会で疲れたニューロンを癒す。頭の中に慈愛に満ちたジュクゴマスターのご尊顔が浮かびあがった

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辛い麺メント IN TOKYO [EPILOGUE] #ppslgr

辛い麺メント IN TOKYO [EPILOGUE] #ppslgr

「なぁ飲みもの来るの遅すぎない?」俺は空になったジョッキを見て言った。「注文してからもう……どれぐらい立った?五分?」
「人手が足りないのよ。日本全体の人手が不足すぎる」とR・Vが呟いた。なんか感傷的な気分に陥っている?もしかしてもう酔ってる?

 あのあと、我々はケジメと称してM・Jを斥侯として遣り、何軒もの居酒屋に聞いた後、やっと五人が入れる店を見つけた。フライデーナイトだけあって店内は混んで

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辛い麺メントIN TOKYO⑨ #ppslgr

辛い麺メントIN TOKYO⑨ #ppslgr

「S・Gのジュクゴ力でなんとかならね?」H・Mは空中に字を書くみたいに指をなぞるながら言った。「『悪霊退散!』とか」
 H・Mの発言に対し、S・Gは頭を左右に振った。
「ジュクゴ力は安易に使うものではありません。確かに悪霊退散のジュクゴはM・Jをもとの姿に戻せるかもしれないが、欲望、闘争心、中二病などジュクゴに悪と見なされた部分が妖狐の人格と共に消え去って、彼の性格を歪める可能背も否めません」

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辛い麺メント IN TOKYO⑧ #ppslgr

辛い麺メント IN TOKYO⑧ #ppslgr

『やっと出てきたかA・K。次はどうする?あの女魔法使いでも呼び出してみるか?』
「いや。レディの手を煩わせるまでもない。新橋を火の海にしたくないしな。この俺が決着をつけてやるぜマラーラー!」
『ほう、イマジナリーフレンドに頼るばかりで自身の戦力がほぼゼロのお前が、このアイキル・ドーの達人に挑むというのか?面白い!』

「Dude、無茶を……」俯きに倒れているダーヴィが心配そうに見てきた。ブルタルモ

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辛い麺メントIN TOKYO⑦ #ppslgr

辛い麺メントIN TOKYO⑦ #ppslgr

「フプッ、あ、ありがとうございます……」

 ミルクを飲んでだいぶ咳が治まった名札に店長と書いてあった男に俺は腕を貸して立たせた。

「ここは危ないです。早くバックドアから出たほうがいい」
「ンッフ、そうします……貴方は?」
「俺は大丈夫です。急いで」

 店長を俺は破られたショーガラスマラーラーとブルタルダーヴィの戦いが勢いを増し、まるで赤と黒、二つの竜巻が絡み合っているようだ。「俺は……」

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辛い麺メントIN TOKYO⑥ #ppslgr

辛い麺メントIN TOKYO⑥ #ppslgr

 左肩の真紅護法獣、カイイェン。右肩の橙色護法獣、ハバネロ。二体の機械仕掛け狐はまるで本物の動物みたいに軽やかで、優雅な動きで着地した。

(これは!?)

 王子は驚愕に目を見開いた。やらかした。奥の手を隠していたとは。

「アォォォーン!」「ギャウルルルッ!」

 カイイェンは口から真紅の辣油ヤリが飛び出た!ハバネロは前足のスイスアーミーナイフ機構が展開して中からTABOSCOダガーが現れた!

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辛い麺メント IN TOKYO④ #ppslgr

辛い麺メント IN TOKYO④ #ppslgr

 新橋駅、駅構内の蕎麦屋。

『ヌルい麺ばかり食べやがって』

 マラーラーは客席置いてある七味唐辛子の瓶を両手に取り、親指でギャップを弾き飛ばした。

『もっと辛くしろ、お前なら食える』「えっ、ちょっ」『辛い麺を食え』「何するんですか!?」

 無造作に客たちの麺碗にまる一本ぶっかけ!茶色のだしが赤に染まっていく。空になった瓶を放り捨て、次の唐辛子瓶に伸ばす手が突如横から差してきた長箸に止められ

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辛い麺メントIN TOKYO⑤ #ppslgr

辛い麺メントIN TOKYO⑤ #ppslgr

「よし、みんなミルクタンク持ったな」
「ああ」「おう」「問題ない」「万端です」

 R・Vをはじめとするパルプスリンガーたちとイマジナリーフレンドの一名が俺のイマジナリーコンビニで購入した(全部が俺がSuicaで決済した。チクショウ)8L入りのミルクタンクを背負ったり、手に提げたりしている。

「では簡単にブリフィーングを行う。ただいま、新橋周辺に狐頭怪人によるスパイステロ被害がSNSで飛び交って

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辛い麺メント④ 紅油皮蛋麺 #ppslgr

辛い麺メント④ 紅油皮蛋麺 #ppslgr

「おいM・Jさんやーい。起きろーい」
「ふがっ」

 俺は助手席にいるいびきをかいた男の肩を揺らして彼を起こした。M・Jはパっと目を開き、困惑したように周りを見たあと、盛大に欠伸した。

「ぬわおぉぉぉ〜んんんん……まぶし……もう着いたの?」
「そうだぜスリーピンビューティー」

 市中心から車で高速を走って30分。二人は今日スリー・ヴァリーディストリクトにやってきた。三っつの渓流が合流するためか

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辛い麺メント IN TOKYO③ #ppslgr

辛い麺メント IN TOKYO③ #ppslgr

前回のあらずじ:パルプスリンガーのM・J、激辛汁なし担々麵食べて脈停止。

「アバーッ!アバババーッ!」

 謎の空間で、M・Jは激辛の液体に包まれていた。目、口、鼻腔、耳に刺激性の気体で炙られ、全身の皮膚が痛い!

(苦しい!なぜこうなる?いつまでこの苦痛を耐え続ければいい!?)

 痛みで目も開けられない。M・Jは上下不覚に陥った。その中で謎の声が脳内に響いた。

((自分の力量を見誤って辣死

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辛い麺メント IN TOKYO② #ppslgr

辛い麺メント IN TOKYO② #ppslgr

「ジュクゴマスタァァー!」「写真を撮っていいですか?
!」「うちの息子を撫ででください!」「すいませぇん!どいてくださーい!」「マスターは写真と祝福の依頼を受け付けませぇん!」

 新橋の駅前広場でジュクゴの奇跡を披露したS・Gのもとに、握手やセルフィーを求める群衆が殺到!俺、R・V、H・Mの三人が彼を囲い、SPのよう人を退かせて地下道を進んでいた。

「S・Gが派手にやったせいでえらい騒ぎになっ

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