定型

「ユーザー名を統一するため」という名目のお引越しです。とりあえず初めに、ずっと公開しつづけている短歌をば。

引越しを重ねてぼくはどこに行きこれから何を失うのだろう

会いたいと思わなければ会わなくて済むこの距離に救われている

あの冬の匂いを忘れたくなくて一滴残してる柔軟剤

捨てられぬ柔軟剤の空ボトル墓石に見立てて冬を弔う

△ABCの上でただBC間を行ったり来たり

晴れの日が嫌というのは飛び降りる理由になりませんか、先生

明日は晴れ、何をするにもいい天気(身を投げたってきっと絵になる)

雨宿り、晴れじゃできないじゃんねってテレビの前で君は笑った

僕のためだけの音だと思い込む眠れぬ夜の静かな雨垂れ

伸びすぎた爪をあなたの背に立てる 行かないでって言えたらいいのに

もう誰も傷つけたくはないんだと深夜にぽつり今日も深爪

伝えたい言葉が上手く言えなくて飛行機雲をずっと見ていた

青すぎた春の日のこと時々でいいから思い出して笑って

あのときの答え合わせをしたいわけじゃなくて 答えなんて知ってた

種明かしなんてしなくていいからさ 甘い嘘だけずっと聞かせて

いいんだよ 私はずっと気づかないふりをするから君の嘘には

そこにいるだけで誰かに愛される人がこの世に存在すること

会いたいと思えば夢で会えるけど夢ではないと会えない僕ら

夕暮れの飛行機雲に背を向けてふたりのエンドロールは続く

パラビオン あなたの街へ飛んでいくためには頼りない合言葉

透明な飛行機だって空を飛ぶときには雲を吐くんだ(たぶん)

星空の下で僕らは透明な飛行機を見た共犯者になる

永遠がないことだけが救いならそれはそれでもいいと思った

責任を押し付けたくはないけれどあなたに触れた日からさみしい

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