![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57735487/rectangle_large_type_2_4b6ea545ae8db19d935565a93cd3bbb5.jpg?width=1200)
じゃあどんなレビューなら嬉しいの? 〜個人ゲーム開発編〜
個人でゲームを開発しています。「日本人はレビューの点数が辛い」「日本人はレビュー書いてくれる率が低い」「悪口ばかり書かれて辛かった」といった話題を自分のtwitterタイムラインでよく目にします。
しかし「どんなレビューなら開発者は嬉しいのか?」という話題は、ほとんど見かけません。下世話な話、マイナス意見や失敗談の方が負の連鎖で拡散されやすい傾向がありますのでどうしても目に入りますし、開発者側として「こんないいレビューがたくさんありました」系のことを書いて自慢話みたいになるのは気が引けるのも分かります。
じゃあどんなレビューなら開発者は嬉しいのか?
全ての開発者がそうとは限りませんが、私は「は?👎」「うわあああああ?!👍」みたいな語彙のレビューでも嬉しいです。しかも物語のあるゲームはネタバレ配慮で書きにくいのに、ちゃんとした文章が多くてめちゃくちゃ嬉しいというのをこの場でお伝えしておきます #indiedev|https://t.co/zhh3mJ5lIn
— みやこ出版/MIYAKOpubl (@miyakoshuppan) July 8, 2021
個人的には「あれもダメ、ここも嫌い」とボロカス言われるレビュー、あるいは「死ね」などといった明確な悪意のあるもの以外ならマイナス意見でも嬉しいです。まあ傷付きますけれども。
例えば最近では「キャラに感情移入できなかった」「スキップ機能がなくてやり直しがキツい」といった英語の書き込みがありましたが、こういった客観的な意見は「参考にして直します」と受け止めるだけで、特に傷つくといったことはありません。納得することの方が多いです。
テキストベースのゲームはそうでないゲームに比べて、レビュアーが文章を読むのが苦でない人であることが多いせいか、話がぜんぜん通じてない感じの意見をいただくのは稀です
つまらなかったって感想が来るのは別にいい
— オレンジ@メロン委託中 (@mikanbako365) July 25, 2017
『面白かったです!まさかパズーもラピュタの王族だったなんてびっくりしました!』みたいな何見てたの君……?俺の書き方とか描写が分かりにくかった……?みたいな感想が1番精神にくる
気が狂いそうになる
私はこの呟きが好きで(読み手は悪意がないという前提で)、「誤読の自由」を許容するという意味では、わからんなりにでも最後まで読んで面白いと言ってもらえるのは作家冥利に尽きるのではないでしょうか。とは言え実際に言われたら私も気が狂ってしまうかも知れない。
バグ報告をレビューに書かないで欲しい、といった発信をされている開発者さんをお見かけしたことがあり、気持ちは分からなくもありません。ただ、バグを黙って放置して知らん間に返品されるよりはいいし、バグを見落として発売したのは自分なので、しっかり反省して胸に刻む意味ではありがたいものです。
ともあれ、肯定的な意見に勝るものはありません。上手、と言われるより綺麗、と言われるのが、それよりも嬉しいのが好き、と言ってもらえることです。次回作を楽しみにしている、と言われるのもめちゃくちゃ嬉しい。
レビュワーと書いて天使と読むんですね分かります
2021年6月末に発売した「春と修羅」は、2021年9月現在、二十数件のレビューをいただいています。
Steamレビューに対しては個別に開発者からコメントできますが、バグ対応や誤解を解くためといった重要な事項を除いて、基本的には軽率に返信してはいけない決まりになっています。ですのでこの場をお借りして素敵レビューをご紹介のうえ軽率に返信させていただきます。
以下本作のネタバレを含みますのでご注意ください
ジャケ買いしてくださったという日本のプレイヤーから詳細なレビューをいただきました。ジャケットは、直前で描き直してめちゃくちゃ時間がかかってしまったうえ、ピクセルアート訴求をぶち壊してしまったのではと気が気ではなかったので嬉しかった。レビューを書き慣れている方なのか、購入を悩んでいる人はこのテキストを参考にしてくださいと開発者の私が胸を張っておすすめできるレベルの内容です。天使。
中国の方からのレビュー、翻訳を通して拝見したところ「(物語の結末は)ガラスの破片が混ざっている砂糖」という表現に度肝を抜かれました。美し過ぎる。レビューというよりもはや詩歌? ご本職の方かな? 最後は「私はこのゲームが好きです」と締め括られています天使。
2021年11月追記:中国からのレビューは、「twitterに書きそうな叫びや想いがそのまま書かれている」ようなものが多く、「ワンコが何をしたっていうんですか?!👍」とか「これでは結婚できないのでは?👍」などとパーリナイ状態になっています。だがそこがいい。
なんと「Does it hurt now?」とたった一言のレビュー。いただいた当初は、なんだこれ、どういう意味だろう、わからないけどめちゃくちゃ色気あるな、なんなんだろうこのセンス、と考えていてやっと気づいた、これはゲーム中のとあるシーンで語られる主要キャラのセリフなのです。なにこのセンス(2回目)、何この……何これ……私の語彙もなくなるわ。こんなレビューの書き方もあるんですね。
なお、レビューと併せて同じ方から、Steamコミュニティ(掲示板)の方に開発者を直接名指しした「次回作を楽しみにしています」と書き込みまでいただきました天使。
日本からのレビューは少なくて厳しいのか?
上記引用以外にも物語の詳細な考察レビューなど、開発者冥利に尽きる書き込みもいただいており、感謝しています。
考察とは、その作品が好きで少なくとも最後まで物語を辿ってもらえたということだから、正誤問わず書き手冥利に尽きるのではと https://t.co/cbM5rA0opH
— intheriver (@intheriverJP) November 9, 2021
冒頭でも述べた通り「日本のレビューは数が少ないうえ厳しい」といった意見に関しては、実際にそうなのかどうか自分の乏しい販売経験では分かりません。ただ日本人がどうこういうより海外の人がめちゃくちゃ誉め&伝え上手だな! という実感はあります。
実際、海外の方はtwitterで感想書いてくださる際、リプライを含めこちらに通知が届くようにされることがありますが、日本からは同じ形で感想をいただいたことはありません(※)。私も感想を言う側だったら「リプライまでしたら迷惑かな?」と考えてやらなさそうです。
日本では「用事もないのに知らん人に気軽に話しかけるなよ文化」が根強い気がします。一方で不具合やバグ報告など「知らせる必要がある」ことは「用事」なので、結果として日本からは「悪い意見」や「(公にされるとやや困る)バグ報告」などが多い、というイメージになってしまうのかも知れません。
以前日本の方からバグ報告が届いたので拝見すると、報告よりも添えられてた感想の方が長かったことがあります。感想の内容は「ゲーム内のこの場所が好きでした」といった情緒あふれるもので、本題は感想でバグ報告がついでだったのかな……と思えて、そこも含めてグッときてしまった。
感想を書くのが苦手すぎて「続きが読みたいというのは続きを書いて欲しいというわけではなく……続きを書いて欲しいというわけではないんですが『続き読みたい!!!!と思った』という感想を伝えたかっただけで続きを書いてくれというわけではないのですが……」という怪文書になってしまう
— 浮穴 (@ukenaM) September 18, 2021
苦手、何をどう伝えたらいいんだという難しさの壁も分かります
軽率にloveと言っちゃえる空気を醸したい
英語圏の方からは「love」を実際に言葉として投げかけてもらえます。かたや日本語では「好きです」とすら口にするのも勇気が要る気がします。言葉の重みや恥じらいのレベルは国や人それぞれですね。
「自作ゲームを遊んでもらえる」とは、プレイヤーの人生の何万分の一かの時間を頂戴しているということです。さらにそのうえ、例えばバグ報告でも少し批判的な意見でも、もう一度プレイヤーの時間を頂戴している、割と業の深いものではないでしょうか。
レビューを書いてくれない99人を恨むのではなく、書いてくれた1人を褒め称えたい。そして99人の内の誰かが「ちょっと軽率にレビューを書いてみようかな」と思えるように、私はこれからもゲームを作り、たまにこういう記事を書きます。
※2021年11月追記:初めて引用RTでわかる形の感想を国内からいただきましたので記念に貼らせていただきます
全エンド見ました!不思議と不穏を淡々と描く世界観、想像の余地を残してくれる内容、ハッとさせられる演出全部全部良かった…「好き」を沢山吸った…
— 490 (@49_0) November 16, 2021
ヨルが好き過ぎるしチヒロ、チヒロもさあ………………ああ〜 https://t.co/oqzjNtrI6R
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?