ドラマ日記『リバーサルオーケストラ』&『スタンドUPスタート』
元天才ヴァイオリニストで、今は超地味な市役所職員の谷岡初音(門脇麦さん)が、強引過ぎる変人マエストロ・常葉朝陽(田中圭さん)に巻き込まれ、地元のポンコツオーケストラを一流オケに大改造する、一発逆転の音楽エンターテイメント『リバーサルオーケストラ』の第2話。
地元のポンコツオーケストラ“玉響”にコンサートマスターとして加入した初音。ソリストとオケのコンマスは、弾き方も役割も大きく違って不安も多いが、それと同じくらいワクワクもしていた。
学園ものなどは典型例ですが、主役以外の脇役の一人に、毎話フィーチャーする手法は定番。第2話はまさにそれで、オーケストラの練習に遅刻しがちなフルート首席の庄司蒼(坂東龍汰さん)を巡るお話でした。
遅刻だけでなく、演奏も朝陽が求める水準に遠く。朝陽はその原因を初音に探らせます。蒼は玉響の安い給料では、音大時代の奨学金の返済もままならず、バイトをいくつも掛け持ちしていたのでした。
一度は実家に帰り、家業を継ぐ決心をした蒼でしたが、初音のバイオリンから遠ざかっていたことの後悔を聞くと共に、オンラインレッスンを申し込んできた中学生の言葉に、再起。両親も呼んだ練習の場でフルートを演奏する蒼。何度もダメ出しした朝陽でしたが、最後には「やっと目が覚めましたね」と。
とはいえ、お金の問題という根本的なところは解決しておらず。そこで初音は自分たちの家に、蒼を下宿させることに。坂東さんは、単なるオーケストラの一員役ではなく、3番手4番手の扱いなんですね。
投資会社社長の三星太陽(竜星涼さん)が、会社組織でうまくいかない人や生きづらさを抱えている人々に、「スタートアップ(起業)しよう!」と声を掛け、それぞれの持つ可能性を見出していく人間再生ドラマ『スタンドUPスタート』の初回。
ある日、大陽は林田利光(小手伸也さん)という中年男に出会う。かつて、メガバンク『みその銀行』の融資部門次長だった林田は、あることがきっかけで左遷され、子会社『リリーフ保険』に出向させられていた。
冒頭、太陽が街中で林田を追いかける、スピーディーなシーンからスタート。メガバンク時代の名刺を使って、ホステスにいい顔を見せていた林田のことを見破った太陽が、起業を呼びかけるのでした。
断る林でしたが、どこまでもつきまとう太陽。出向先でも、家庭でも必要とされていないと感じていた林田を、ベンチャー企業経営者100名を集めたイベントリングに連れて行き。林田をリングに上げると、林田もついに起業を決意、動き出したのでした。ラウンドガール役に話題の雪平莉左さん。
初回はもう一人のメインゲストに安達祐実さん。就業経験のない専業主婦の奈緒でしたが、太陽の口利きでシニア向けマンションの管理人を見事にこなしているものの、自宅では夫・圭一郎(大東駿介さん)からモラハラ・パワハラを受けていました。
そんな奈緒に、起業を進める太陽。最初は断っていたものの、ついには夫と向き合うことを決意。会社での仕事で押しつぶされそうな圭一郎に退職をすすめ、自分は起業すると宣言。安達さん大東さんの涙の名演でした。
このドラマには、恐らく最終回までつながる大きな柱があって。それが太陽の兄で、財閥系企業「三ツ星重工」の代表取締役社長・三星大海(小泉孝太郎さん)との確執。人生哲学もビジネスのやり方も違う二人を対比させることで、より起業の意義がわかりやすくするのでしょう。
正直、起業とか興味も知識もなく、ビジネスものドラマはあまりピンとこないのですが、意外に面白かったです。竜星さんの軽いノリの芝居は、若干『ちむどんどん』を彷彿とさせますが、世界観が違いますので大丈夫。
余談ながら、三ツ星重工のグローバル推進事業部本部長役で鈴木浩介さん。みその銀行のミステリアスな行員役で山下美月さんが出演しています。共に朝ドラ『舞いあがれ!』とは、全くの別キャラ。
余談:2002年1月23日、BSE感染牛肉の買い取り制度をめぐって雪印食品が牛肉表示を偽装していたことが発覚(雪印牛肉偽装事件)。この事件をモチーフにした新井英樹さんの漫画『キーチVS』という作品があります。
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