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ドラマ日記『ファーストペンギン!』&『親愛なる僕へ殺意をこめて』(初回)

漁業の世界に飛び込んだシングルマザー・和佳(奈緒さん)と、彼女と共に改革の荒波に漕ぎだした漁師たちの“奇跡の実話(坪内知佳さん)”をモデルにした、リアル・サクセスストーリー『ファーストペンギン!』の初回。

家なし、金なし、仕事なしのシングルマザー・和佳は、5才の息子(石塚陸翔さん)と寂れた港町に移り住んできたばかり。ある日ひょんなことから、漁船団を率いる漁師・片岡(堤真一さん)と出会い、「1万円で浜を立て直してほしい」という突拍子もないオファーを受ける!

“知の巨人”と言われた立花隆さんの初期の作品に『農協』(1980年)があります。本来、農業者のための組織であるはずの農協の実態(既得権益)と農林水産省(官僚)と政治の関係が描かれていて。同じことが漁業の世界における、漁協にもあることを示した初回。

和佳は、魚の直販業「お魚ボックス」プランを思いつくのですが、それは漁協を通さないことで、漁協に逆らえないと渋る片岡ら。名優の堤さんですが、今回はお得意の一つヘタレキャラ。立ちはだかるのは、片岡らが所属する漁協の組合長・杉浦(梅沢富美男さん)。

知佳は漁業関連の書類を読み込み、国の農林漁業6次産業化プロジェクトを申請することに。杉浦をすっ飛ばして、10の漁協をまとめる「統括さん(伊沢弘さん)」から印鑑をもらうことに成功。魚の区別もつかない知佳の行動力が凄い!

これに怒った杉浦が怒鳴り込んでくると、片岡は「頼んでない」とヘタレ発言。さらに杉浦からは、漁に必要な氷や燃料の供給も絶たれることになり。片岡らに詰め寄られた知佳は「つべこべ言わんとついてこい!」と啖呵を切ったラストが爽快でした。

モデルとなった坪内さんが漁業の世界に飛び込んだのが2010年。水産業における戦後最大の改革といわれる水産改革法案が成立したのが2018年ですから、いかに先進的であったか。知佳に味方をしてくれそうな改革派官僚役を、松本若菜さんがクールに演じていて、こちらも楽しみ。

プライムタイム民放連ドラ初主演となる奈緒さんですが、堂々とした座長ぶり。堤さんをはじめ、吹越満さんや梶原善さんなど、脇を固める人たちも安心。森下佳子さんの脚本も隙なく、最後まで楽しめそうです。

連続殺人犯の息子の大学生(山田涼介さん)が、自らが二重人格であることを悟り、真相を明らかにしようと決意。驚愕の事実が次々に明らかになるサスペンス『親愛なる僕へ殺意をこめて』の初回。

浦島エイジ(山田さん)は明京大学の2年生。お気楽な大学生活を送っているエイジだったが、実はひた隠しにしてきた秘密があった。15年前に日本中を震撼させた連続殺人事件――通称『LL事件』の容疑者が、エイジの父・八野衣真(早乙女太一さん)だったのだ。

ある日、『LL事件』を模倣したような拷問の末、売春婦・葉子(浅川梨奈さん)が殺されるという殺人事件が発生。警察がエイジを訪ねて来て、葉子との関係を聞かれるも会った記憶もなく。

しかし、エイジと葉子が同席する映像を見せられたエイジは、自宅の押し入れに身に覚えのない大金と血の付いたバットを見つけ、自分が二重人格で、父と同じように葉子を殺したのかも知れないと疑い始め…という展開。

昨今のプライムタイムドラマとしては、攻めた拷問シーンの数々。緩急をつけた山田さんの表情もいいですし、サスペンスドラマとしてはなかなか面白い。同じ水曜夜10時放送の『ファーストペンギン』に、視聴率では負けでしたが、作品としては分野が違うので甲乙つけ難い所。

原作漫画は読んでいませんが、二重人格は確定としても、葉子を殺したのはエイジではないのでしょう。一番怪しくなさそうな人間が真犯人説をとるなら、エイジの恋人・京花(門脇麦さん)、エイジの義父・亀一(遠藤憲一さん)、警視庁管理官・猿渡(髙嶋政宏さん)かな。



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