女優ノート『安藤玉恵さん』

気になる女優さんの出演作についての覚え書き「女優ノート」。今回は、2021年春ドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』に出演する安藤玉恵さん。

独特の存在感と高い演技力を持った女優を、「個性派女優」などと言ったりします。亡くなった樹木希林さんをはじめ、江口のりこさん・片桐はいりさん・室井滋さん、安藤サクラさんもそう呼ばれていました。安藤玉恵さんもその一人。

東京の有名なとんかつ屋さん「どん平」の家に生まれた安藤さん。外交官を目指し、上智大学外国語学部に進学するも挫折、早稲田大学第二文学部に入り直し、そこで演劇に出会います。

大学卒業後、映画『愛の渦』や『娼年』を監督した、三浦大輔さん主催の劇団「ポツドール」に所属し、看板女優として活躍。過激な作風で知られる同劇団で鍛えられたことが、後の映像作品での大胆な演技にもつながっているのでしょう。

そんな安藤さんのドラマ作品で、まず挙げたいのは『深夜食堂』シリーズ(2009年~)。新宿の小さな飯屋に集う人たちの人情ドラマで、安藤さんは常連客の一人、ストリッパーのマリリン松嶋役。安藤さんの最初のイメージがこの役でした。

ネオンきらめく繁華街の路地裏にある小さな食堂“めしや”。マスターの作る味と居心地の良さを求めて、夜な夜なにぎわう。懐かしい味を前に、客たちの人生模様が交差する。

次はもちろん、朝ドラ『あまちゃん』(2013年)。安藤さんは、北三陸市観光協会の職員・栗原しおり役。当初はさほど目立ちませんでしたが、やがてヒロシ(小池徹平さん)とつきあい、さらに副駅長の吉田(荒川良々さん)と結婚という、なかなかの展開でした。

母・春子(小泉今日子さん)に連れられ、東京から初めて北三陸にやってきたヒロイン・天野アキ(能年さん)は、祖母・夏(宮本信子さん)と出会う。祖母に憧れて海女を目指すアキは、やがて地元アイドルに。ヒロインの笑顔が元気を届ける人情喜劇。

以降、『植物男子ベランダー』シリーズ(2014~2016年)や『透明なゆりかご』(2018年)など、NHKドラマ常連となった安藤さん。『腐女子、うっかりゲイに告る。』(2019年)では、ゲイであることを隠して生きる主人公・純(金子大地さん)の母親役を、巧みに演じていました。

純は、ゲイであることは自覚しつつ、「異性を愛し、子どもを作って、家庭を築く」という “普通の幸せ” への強い憧れも持つ。ゲイであることを隠して、同級生・三浦(藤野涼子さん)と付き合い始めるが…。主人公の愛聴するQUEENの名曲に乗せて疾走する、軽やかで切実な青春ストーリー。



この記事が参加している募集

コンテンツ会議

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?