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理想と現実…今週の『虎に翼』

日本初の女性弁護士で、後に裁判官となった女性・猪爪寅子(伊藤沙莉さん)とその仲間たちが、困難な時代に道なき道を切り開き、迷える子供や追い詰められた女性たちを救っていくリーガルエンターテイメント、朝ドラ『虎に翼』の第18週「七人の子は生すとも女に心許すな?」。

「七人の子は生すとも女に心許すな」とは「七人の子どもまででき、長年連れ添った妻にも油断してはならない。女には気を許すな」ということ(コトバンクから引用)。

放火事件が発生し、朝鮮人の金顕洙(許秀哲さん)が逮捕された月曜日。裁判が始まり、傍聴席にいた顕洙の弟・広洙(成田瑛基さん)が、大声で抗議したため、退出させられそうになりますが、三条支部の事務員・小野(堺小春さん)が朝鮮語で話しかけ、落ち着かせ。

堺正章さんの娘・小春さんですが、モブキャラかと思っていたら、見せ場が用意されていましたね。また、先週豹変したブレスレット美佐江(片岡凜さん)も再登場。いずれ彼女の闇も明らかになるのでしょう。麻雀牌を持ち歩く寅子に、航一(岡田将生さん)は笑顔。

小野にかつて朝鮮人の恋人がいたものの、親に別れさせられたらしいという噂が、寅子の耳に入った火曜日。優未(竹澤咲子さん)は山登りで同じ班になった人のことで思い悩み。山登りに良い思い出がない寅子の回想に、花岡(岩田剛典さん)久しぶり。

放火事件を巡って。判事補の入倉始(岡部ひろきさん)は弟・広洙に疑いを向け、「火のない所に」と相変わらず憶測と偏見で意見を述べますが、航一は関東大震災における朝鮮人虐殺の例を挙げ、暗に反省を促します。

その後、航一と涼子(桜井ユキさん)の喫茶店に昼食へ向かった寅子でしたが、店先を汚されるという嫌がらせが長年続いていることを知り。頻度や被害の状況から、警察も相手にしてくれないことに寅子怒り。

放火事件の新証拠として、顕洙が広洙に送った手紙が提出された水曜日。そこに書かれた放火「匂わせ」の文面に違和感を感じる寅子は、悩んだ末に女子部時代の崔香淑=汐見香子(ハ・ヨンスさん)に協力を求めます。

夫である汐見(平埜生成さん)と共に新潟へやってきた香子。さっそく手紙を訳すと、検察側の誤訳なのか意図してなのか、放火「匂わせ」部分は全く違う意味と判明。小野が読み解くのかと思っていましたが、まさかのヒャンちゃん投入。

小野が汐見夫妻に、日本人と朝鮮人が結婚できた理由を尋ねた木曜日。合議の末、顕洙は無罪に。土下座して礼を言う顕洙と対照的に、裁判席を睨みつける広洙。怯える入倉。

入倉の様子が気になり、涼子の喫茶店に昼食を食べに誘った寅子。たまたま杉田太郎(高橋克実さん)&次郎(田口浩正さん)の弁護士兄弟も先に来ていて。

入倉がついつい偏見を持ってしまう理由を聞きながら、憲法14条を巡る自分の無力さを語る寅子に対し、戦後10年という段階で、平等という理想を語れるのは、学があるか余裕がある人間だけと、太郎の現実に根差した意見。そこで再び航一「ごめんなさい。僕に言えるのはそれだけです」と。

航一が戦前「総力戦研究所」に所属していたことを告白した金曜日。各方面の精鋭が集められた組織で、日米開戦に向けての「机上演習」を行うも、日本必敗の結論となり、上層部に報告するも無視され、組織は解散。その後、研究所の予想通り敗戦へ。

航一はずっと戦争を止められなかったことを後悔、自責の念に苛まれていたのでした。頭を冷やしてくると、喫茶店を出た航一を追いかけた寅子は「寄り添って、一緒にもがきたい」と実質のプロポーズ!?。放送されたこの日は、「長岡大空襲」の日。周到に計算してますね。

憲法という「理想」と偏見や差別という「現実」、戦争阻止という「理想(夢想)」と開戦&敗戦という「現実」が描かれた週でした。


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