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映画ノート

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気になる新作や思い出の映画についての覚え書きです。
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#名画

『ローマの休日』の本当の意味とは

先日のNHKのバラエティー番組『日本人のおなまえ』は、「映画タイトル!大ヒットの法則」というテーマで、名作『ローマの休日』(1954年日本公開)が取り上げられていました。 原題の「Roman Holiday」は、「他人を犠牲にして得る娯楽・利益」という慣用句で、古代ローマにおける奴隷たち同士の剣闘を、ローマの民衆たちが見世物として楽しんでいた史実に由来するとか。 作品とはまるでイメージが違うそんなタイトルの背景には、脚本を担当したダルトン・トランボが、米国で吹き荒れた「赤

意外に穴場!?「図書館キス」映画3選

4月2日は「図書館開設記念日」。 1872年のこの日、日本初の近代的図書館「書籍館」が設立されたことに由来します。また、同日は「国際子どもの本の日」でもあります。 話は脱線しますが、ファーストキスの場所はどこ?という某アンケートによれば、上から順に、家・公園・学校・ホテル・海・イベント・飲食店・山・会社・映画館とあります(全制覇)。学校ですと、放課後の教室・部室・体育館倉庫・屋上、そして図書室あたりでしょうか。 人影まばらな図書館の書棚の陰、皆が静かに本を読んでいるのを横

年度末ですが…日本映画3本

3月31日は「ミミにイチバン」の語呂合わせで「オーケストラの日」。例の感染症の影響で、苦境のオケですが、映画の中でも様々な危機と共に描かれてきました。そんな中からひとつだけ、『あまちゃん』でブレイク前夜の有村架純さん主演『リトル・マエストラ』(2013年)を挙げておきます。 過疎が進む港町にあるアマチュア・オーケストラの老指揮者・吉川が急死し、急きょ孫娘の女子高生・美咲(有村さん)が指揮を務めることに。だが、実は美咲にはある秘密があった…。 映画といえば、3月31日生まれ

子供も見ていた「ベトナム戦争」映画

狭義の「ベトナム戦争」は、1964年のトンキン湾事件以後の米国によるベトナムへの軍事介入を意味しますが、1973年1月のパリ和平協定を経て、3月29日に完全撤退しました(その後サイゴン陥落を経て、1976年に南北ベトナム統一)。 世界的なベトナム反戦運動の後、米国でも“敗戦”のショックが多少和らいでいく中で、1970年代~1980年を中心に「ベトナム戦争」を描いた映画が多数制作されるようになりました。残虐なシーンも多かったですが、子供も普通に見ていましたね。 まず挙げたい

映画に描かれてきた「お遍路」

四国にある空海(弘法大師)ゆかりの、88か所の仏教寺院を巡礼することを「お遍路」といいます。かつては命がけの行程であり、イメージ的にも暗いものでしたが、近年は観光地化が進み、車や観光バスでも回れるようになりました。 実は自分も車を使ってですが、88か所+お礼参りの高野山詣でまで経験しているのですが、そちらの話題は追々。今回は「お遍路」が登場する映画を取り上げてみたいと思います。 まずは、いきなり傑作の映画『砂の器』(1974年)から。松本清張の同名ミステリ小説を原作に、巨