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映画ノート

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気になる新作や思い出の映画についての覚え書きです。
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2020年11月の記事一覧

『君に届け』と『私をスキーに連れてって』

2010年代に量産されたキラキラ映画。主に少女マンガを原作にした青春ラブストーリーで、イケメン俳優の起用は必須。元々ターゲットが十代ですから、大人が興味を持てないの仕方ないとしても、近年はちょっと供給過剰で、やや飽きられ、一息ついた印象。 とはいえ、そんな作品群の中にも名作はあるもので、今年亡くなった三浦春馬さんと多部未華子さんが共演した『君に届け』(2010年)がまさにそれ。原作は『別マ』2006年1月号からスタートした、椎名軽穂さんの大ヒットコミック。 貞子こと黒沼爽

三谷幸喜と映画『12人の優しい日本人』

戦後の日本映画を振り返ってみると、1950年代が全盛期。1958年の年間観客動員数が11.3億人ですから、2019年の1.9億人に比べるとちょっと驚くべき数字です。 それでも現在は盛り返している方で、一番低迷していたのは1980年~1990年代。1997年に1.4億人にまで落ち込み、公開映画に占める邦画の割合も、かつては8割だったものが3割に。 「邦画はダサい、面白くない」というような風潮もあり、デートにはもっぱら洋画が選ばれていたように思います。『ニュー・シネマ・パラダ

ブックカードと映画『耳をすませば』

図書館での貸し出しが、現在のようにバーコード&コンピューターで簡単に行われる以前は、本の背表紙裏に備えてあるブックカードと自分の図書カードに、名前などを手書きで書いて、窓口に提出するやり方(ニューアーク方式)が一般的でした。 個人情報保護が重視される現在からすると論外でしょうが、友人の名前を見つけて「こんな本を読んでるなんて意外」と新たな発見をしたり、まだ誰も借りてない真新しいブックカードだと「1番乗りだ!」とちょっと嬉しくなったったものです。 このブックカードの存在が物