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陳さん

今、夫婦で陳さんにはまっている。

陳建一さん。昔「料理の鉄人」というテレビ番組に出演していた方。麻婆豆腐等の四川料理を日本に広めた中華の神様、陳建民さんの息子さんである。

夫は中華鍋やオタマを買い揃え、四川料理を研究中。私は陳さんの本を読んで、陳さんの人生哲学を勉強している。

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先日、赤坂の四川飯店に行った。
きっかけは、休日に夫に「暑いから辛いものが食べたい」と呟いたところ、陳建一さんのレシピで麻婆豆腐を作ってくれてそれが最高においしかったのだ。
我々の中華熱は高まって、本物の陳さんの味をランチで食べに行くことに。今年初めての外食である。
行き届いたすばらしいサービス、全ておいしかった。やはり麻婆豆腐は絶品!
こんなに辛いものが食べられるようになったなんて。感慨深く思う。昔は辛いものが苦手だったのに。

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私が人生で初めて1人で行った国は中国である。
遡ること約20年前、学生の私は四川省に関する研究をしており、四川大学の留学生宿舎に数ヶ月滞在する機会があった。

四川料理は辛い。辛さにも2種類あり、唐辛子の辛さ(辣:ラー)に加えて、痺れるような山椒の辛さ(麻:マー)がある。山椒と言っても、鰻にかけるような粉末状ではなく、BB弾のような小さな粒状で「花椒」と呼ばれている。誤って花椒を噛んでしまったら最後、舌が一日中痺れた状態になり、何を食べても味がわからない状態になる。しかも、辛くて舌が麻痺するだけでなく、私は体質的にも合わないらしく、お腹を下してしまう。
大学の学生食堂で「これは辛くない」と教えてもらったものさえ火を吹きそうな程の辛さ。大学構外にあった新疆ウイグル料理屋のトマトと羊肉のパスタ風麺料理が、当時の私にとって唯一の安らげる食事だった。

そんな私は四川滞在期間での荒療治で、帰国後は辛いものが一気に食べられるようになった。ある意味限界を超える辛さを知ったことで、キャパが広がったようだ。辛い料理を食べられるようになるのは鍛錬が重要ということだろうか。

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さて、四川飯店の感動さめやらず、私たちはおいしい記憶を余韻に「料理の鉄人 最後の聖戦」を観た。圧巻の番組構成、手に汗握る坂井シェフとの戦い、観客席にいる陳さんの息子さんたち。久々にテレビ番組を観て感動した。父陳建民さんと母洋子さんの遺影もあり、陳さんの周りの温かな人間関係を思った。

そこからは怒涛のネットサーフィン。四川飯店のホームページ、陳建民さん出演の「きょうの料理」を見て、陳さんの著作を読む。「父の仕事を継ぐ 自分の味をつくる」はお父さんという大きな壁に対する苦悩と乗り越えたきっかけ、その後も書かれて大変感銘を受けた。

https://www.amazon.co.jp/dp/4005005411/ref=cm_sw_r_cp_api_i_fqIsFbFY49A2N

息子さんの建太郎さんも今は赤坂の四川飯店を任されているらしく、シンガポールにも出店され、2016〜2018の間に3連続でミシュラン二つ星を獲得されたようだ。

建太郎さんは四川大学に留学経験があるとのことで、勝手に親近感が増した。同世代である建太郎さんの活躍も楽しみだ。

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もはや陳建一さんだけでなく、陳さんご家族のファンと化している。引き続き陳さんご一家を応援していきたい。


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