【自作妄想絵本】「ブブゼラ王子と泣き虫毛虫」

昨今のウイルス市場で、居酒屋はおろか日中でも商業施設は閉まっている所がほとんどで、猫も杓子もお家で一人で楽しく過ごす方法を模索する日々で御座いますね。

普段は漫画しか読まない私も久々に本を読むことにしました。

しかし、本を買うお金が無いので本を作って自分で読むことにしました。


ブブゼラ王子と泣き虫毛虫、始まり始まり

ある所に、ブブゼラを吹くのが大好きな王子がいました。王子はブブゼラが大好きでしたが、上手く吹けずにいつも皆に笑われていました。

王子は皆を見返してやろうと、町から離れた草むらでブブゼラを練習していると、一匹の泣いている毛虫を見つけました。

「毛虫さん、何で泣いてるの?」王子は毛虫に聞きました。

「僕の毛には毒があるんだ。だから皆それを嫌がって近づいてくれないんだ」と泣いていました。

王子は「大丈夫、毛虫さんはね、大人になったら立派な蛾になるんだよ」と言いました。

すると、毛虫さんは「良いもんか!蛾だって皆に好かれてないじゃないか!僕はいつまで経っても嫌われものなんだ!」と更に泣いてしまいました。

すると王子は優しい笑顔で言いました。「君には立派な羽が生えるだろう?そしたらその羽でもっと遠くに飛んでいくんだ。今、毛虫くんの周りには、君を馬鹿にする奴がいるかもしれないけど、世界には君を好きになってくれる人が必ずいるよ。」
毛虫さんは言いました。「でも、僕は弱虫なんだ。蛾になるには繭にならないといけないけど、繭の中は真っ暗で凄く暗いんだって。そう思ったら怖くて怖くて…」

王子は少し困りましたが、あっと何か閃いた顔をして毛虫にこう言いました。
「僕がブブゼラを吹いて応援してあげるよ。例え真っ暗でも、ブブゼラの音は聞こえるはずだよ。」

毛虫さんは少し嬉しそうにしましたが、またすぐに悲しそうな顔になりました。「僕が繭から出てくるまで、何日もかかるんだよ?そんな沢山の時間ブブゼラを吹くなんて出来ないよ」

王子は笑いながら言いました。「僕はブブゼラが大好きなんだ。それにね、ブブゼラは祈りをこめて吹く楽器なんだよ。君を応援するのにぴったりじゃないか!」

そうして毛虫は繭になりました。王子はそうこなくっちゃと言わんばかりにブブゼラを吹きました。
夜が来て、朝が来ましたが、その草むらにはずっとブブゼラの愉快な音が鳴り響いていました。

王子は何日も何日もブブゼラを吹き続けました。
辛いと思いましたが、繭の中で毛虫さんが頑張っている事を想像すると不思議と元気が出てきました。

すると、ある朝繭から綺麗な蛾が出てきました。
蛾は王子に言いました。「本当に有り難う。暗い繭の中でもずっと君の素敵なブブゼラが聞こえていたよ。君の音楽に僕は救われたんだ。本当に有り難う。君の事はずっと忘れないよ。」

蛾はそう言って、ヒラヒラと遠くの空に羽ばたいていきました。

王子は綺麗な蛾を見送った後、疲れて寝てしまいました。草むらが王子を優しく包んでくれている気がしました。

その後王子はお城に帰り、王様に沢山叱られました。
しかし、草むらでの話をすると「よく頑張った」と王様は頭を撫でてくれました。

今日も王子はブブゼラを吹きます。皆は「相変わらず、なんて下手くそなブブゼラだ」と王子を笑います。しかし、王子は気にしません。

何故なら、遠くの空に、王子のブブゼラを素敵と言ってくれた友達がいるからです。

~おしまい~

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