明日もそのまた明日も宇宙で一番孤独

僕はひたすらに考える。この命が尽きることを。深夜の急行列車に乗れば僕を終わりに導いてくれると思った。僕の残りの命はもっと有意義に使える人に譲りたいとも。けれど僕の命がその時までという運命なのであれば運命なんてクソくらえだ。声を大にして天に向かって言ってやろうクソくらえと。けれどそんな勇気もない。何もできやしない。独り部屋の片隅で思うだけだ。デジタル時計の明かりが暗闇にぼうっと溶け込む深夜では時間の流れでさえもぼんやりとしてしまう。宇宙で一番すごい科学者を連れてきてこの時間の流れに合う眼鏡を作ってもらわなければぼやけてなにも見えやしない。それが終われば宇宙で一番すごいフォーリーアーティストも連れてこようひどい静寂が蔓延るこの夜に美しい音を一滴垂らしてもらおう。それから宇宙で一番すごい香りの芸術家も連れてこの淀んだ空気を消し飛ばしてもらおう。それからそれから…
僕は果てしなくこの夜が嫌いだし好きだ。多分人類が月に行く前から嫌いだったし神様が生まれる前から好きだった。そうやって考えているうちに意識が遠のいていく。深い深い無の中へ。眠りへ。望まない明日へ。

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