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しばらく通っていたお店に行くのをやめる瞬間

長く通っていたのに、「あ、今日が最後だな、この店」と思うことはないですか?
僕にはあります。

その店は、ここ数年間、そこそこ頻繁に通っていたところでした。
味は、Aマイナス、特にパスタはそこそこ食べられました。ただ、ものすごくうまい! かというとそうでもない。
ワインはまあ、安めのラインナップ。悪くはない。

以前から、その店に「おや?」と思う点がまったくなかったわけではありません。
一度、ランチに行ったときに、いつもとパスタの味が違うときがありました。そこで店主に、「今日はいつもと味が違いますか?」と尋ねました。
すると店主は、「まあ、ランチなんでね。夜とはやっぱり違いますので」みたいなことを言ったのです。

ランチって、薄利なのだけれど、夜につながる客の掘り起こし、みたいな側面があると思います。違うのかしら? でも、ランチでおいしくないパスタを出していたら、夜の客はそんなに増えないのでは? と思いました。

だからなのかなんなのか、たいていその店は夜は空いており、まあ、失礼な話ですが、人気のあの店に入れなかったら、この店があるじゃない、みたいな店に、僕の中ではなっていました。

先日、同じように、人気のお店にふられたので、予約なしでその店に行きました。案の定、店はガラガラで、すぐに席に通されました。

ワインを注文しようとメニューを開いたそのとき、店主がやってきました。
「今日、この上2つのワイン(=比較的安め)が品切れしていて、下3つ(高め~めちゃ高い)しか残ってないんです」

一瞬、帰ろうかと思いましたが、まあ、よく行く店でもあるし、店主とも会話する程度には「常連一歩手前」くらいにはなっていたので、そこはまあ目をつぶることにしました。

ところでこの店、数ヶ月前から「会社からの指導」ということでチャージを取るようになりました。ま、それはいいのですが、チャージを取って何を出すかというと、そのお店の看板メニューのミニチュア版です。

「看板メニュー」やったらええやんか。と思うかも知れませんが、この看板メニュー、個人的には一番「ない」メニューです。ピザなのですが、揚げピザなのです。そしてその揚げピザのつきだしは、ただ、小麦粉の塊を揚げただけの、一口サイズの、ピザのへたなのです。

つきだしで料金取るなら、それなりに頑張れよ、と思うのは私だけでしょうか。ひどいお店やと、かっぱえびせんぱらぱらーで350円取る店もありました。もうその店については、その店に入った私が悪いです。はい。

それで、このピザ、1回目はまあそういうことなのかな、2回目は変えてくるのかなと思ったら、今回もへた。

そんなお店ですから、もちろんメニューもそれほど改善が見られるわけでもなく、なんとなくじりじりと悪くなっていき、とうとう先日、「リピートしてもいい」という最低ラインを下回りました。

前回行ったときに、チャージを取るようになったことについての不本意を語っていた店主。会社の方針でしかたなく、でもこうでもしないと毎月赤字なんですと涙目になっていた店主。おそらく、チャージを取ることが常連に知れ渡り、余計に客足は遠のいたと思います。インバウンドが来ていましたが、水がなかなか出されていませんでした。インバウンドの人々は、何らかの情報ツールを使っているので、同じ店をめがけて来られる傾向があります。それに乗れない限り、インバウンドでつないでいくのは無理でしょう。

残酷な言い方をすると、泣かなければならないのは、あなたにも責任があるのでは? と思わずにはいられなかった。一等地にあって、テナントもそれなりに高く、そして激戦区のあの町で、どうしてそのサービスと味で客が来ないことを嘆くことができるだろうか、と、そこまで腕もサービスも落ちていた。

そのことが残念でした。

僕の中では、お店というのは3回は行かないと、その店が自分にとって良い店なのかは分かりません。その意味で、この店には10回以上、いや、20回以上は通っていて、いわゆる常連の域だったと思います。

そういうお店が「なくなって」しまうのはとても残念なことだと思います。





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