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小笠原諸島父島で 便利について考えてみる

離島、しかも東京から船で24時間かかる島だ
そこで2年 暮らした中で 離島生活の便利さについて考えてみる


4年ほど前に、父島に住んでいた
看護師を辞めてからのことだ
2年間、あれ?2年しか住んでいなかったのか

1番仲の良い同期が先に辞め、移住していた
絶対に気に入るからおいでよ〜
と言われ、そっか〜行ってみる〜
という きっかけだ

東京の竹芝から船で24時間
飛行機は今のところ出ていない
すぐに船酔いをする私だが、まあなんとかなるかと乗ってみた
結果から言えば、トイレにいく以外は ほぼ寝たきりだ
起き上がるとすぐに酔ってしまう
電波は通じない
酔っ払うので 本も読めない
強制的に なにもできない時間をもつ機会は貴重だ
日頃、いかに 絶え間無く情報に浸っているのかを感じる
なんだかんだ この時間が好きだった

船が島に来るのはだいたい 週に1回で
食料品やそのほか物資はその船で運ばれてくる
その日は、島に2軒あるスーパーにも長蛇の列ができる
どうしても食べたいものがある時、私も並んで買い物をするが
並んでいても それほど苦にならないのは
ほとんどみんな顔見知りで、レジも友達が打ってくれるから
お話ししていればすぐに順番になる
スーパーのあの無機質な感じは全くない

あとスーパーが ごった返すのは台風前で
船が欠航になる時だ
船が来なければ当然、食料は届かない
スーパーは気持ちがいいくらい スッカラカンになる
みんな その前に必要なものを買い込むのだ
特になくなるのが早い乳製品やパンが大好きな人は大変だと思う
しかし、えぇっ!これがないなんて…!!!
という状況は、そっか自分て これがなくても平気なんだ〜
と、ルーティンを変えてみるいいキッカケにもなる

パンがなければご飯を食べればいいさ

そんなことを美しいサンセットを見ながら思うのであった

島にいるときはついつい夕陽に見入ってしまう
線香花火みたいなぽとんとした陽
水平線に瞬く間に落ちていく
みんなが静かになる時間
そのあとから始まる マジックアワー

美しい

ほんとうに美しい星にわたしは生まれたんだ

スコールのあと
瑞々しい木漏れ日の下を原付でとばす
顔に、全身にその風を浴びるのは
鳥が砂浴びを必要とするように、わたしにとっても大切な時間

夜中、外に出てみれば 満点の夜空で身体が一杯になる
息を吐いているのか 吸っているのかも忘れてしまう

透明度がいい海の中は、まるで空を飛んでいるかのようだった
それは 高所恐怖症が出るほどで、
怖いけれど、ふわっと身を任せれば あとは平気になる


こんなとき、わたしの中から “私” は居なくなっている

あぁ、ほんとうにいいなぁ

自然の美しさと一緒に暮らすことが
こんなにも優先順位が高いことだなんて 考えたこともなかった

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心が豊かに、自分に戻ることのできる自然に
すぐにアクセスできる

これは、ものすごく便利なことだった


いまは 鎌倉の近くに住んでいる
おしゃれなカフェ、便利な自然食品店、
お気に入りのわらび餅屋さん、つい覗きに行ってしまう雑貨屋さん
抹茶のおいしい甘味屋さん、甥っ子姪っ子に買ってあげたくなる絵本の専門店
ずっと気になっている彫刻刀がある刃物屋さん

とても便利で快適だ

そうなのだけど、なにかが欠けていて
毎日、心の中にある 満たされない穴を感じる

砂浜で静かにして居たい
寝っ転がっていると カサカサ  カサカサ
ヤドカリが歩いてくるんだ


町の中で、”私“ がいなくなるひとときに会いにいくにはどうしたらいいの?


そんな風に思う時、
自然豊かなところでの生活の便利さを 身に染みて感じる


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