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スタートアップが国内・海外の展示会に初出展して溜まった知見を公開します

ウミトロンでBiz・HR・広報など諸々を担当してます、あこてぃすです。

しばらくご無沙汰してしまっていたnoteでしたが、ありがたいことに最近採用でお会いする候補者の方々やエージェント、メディアの方から「note読みました!」とのお声をいただくことが多く、アウトプットしてストックしていくことの重要性を身にしみて感じました。アウトプットするネタは山ほどありますので、気張らずライトにどんどん書き出してみようかと思ってます。

今回のテーマは「展示会」です。

なんちゃらEXPO、ほにゃららカンファレンス、ほげほげショーなどいろんな名前はありますが、そういった大型イベントにて自社ブース出展をし、準備〜本番〜フォローまでの過程の中で溜まった知見を、今回公開しようと思います。

なぜなら、「広報」という幅広いカテゴリの中でも「プロダクト広報」、そしてその手段としての「展示会ブース出展」、もしくは「展示会における営業」に関しては、あまりノウハウが言語化されていなかったり、記事も目につくことが少なかったからです。

展示会で溜まった知見や得たコネクションを考えると、控えめに言って出展して超絶よかったと思っています。他社にも共通して役立ちそうなことを書いていこうと思いますので、展示会に出展を考えている方にとって何か一つでも参考になることがあれば幸いです。

ウミトロンが出展した展示会

国内展示会:ジャパン・インターナショナル・シーフードショー

(開催期間:2019年8月21日-23日、会場:東京ビッグサイト、来場者数:33,572名、出展ブース形式:オーダーメイド、広さ:9m×6m)

ブース内容:UMITRON CELL2台、パネル6枚、UMITRONのアプリやUMITRON FAI(AIによる魚群食欲解析システム)デモ、モニター2台(生産者やウミトロンの関係者へのインタビュースライド、養殖現場の風景映像)、VR

海外展示会:Aquaculture Europe 2019 Berlin

(開催期間:2019年10月8日-10日、会場:Estrel Berlin、来場者数:85カ国2,700名、出展ブース形式:パッケージ、広さ:3m×2m)

展示内容:UMITRON CELL1台、パックパネル、UMITRONのアプリやUMITRON FAIデモ、モニター1台(UMITRONアプリやUMITRON FAIのデモ動画中心)、VR

ブースに関して(デザイン、展示内容など)

・ブース場所が成功の7割

人通りをいかに確保できるか、目につきやすくアクセスしやすい場所に出展できるか。ブース集客の成否はほぼブース場所によって左右されると言っても過言ではありません。大きな通路に面するところ、通路が交差する角ブース、入り口付近がベストです。もちろん、場所は予算やコマ数、過去出展回数などの条件よっても変動しますし、出展する会社全体で最終的には運営事務局の方に調整していただくので、必ずしも希望が通るわけではありません。ただ、運営事務局と密にコミュニケーションをとり、お互いの想いや意図をすり合わせることが大切だと思います。海外は申込順でブースを選べる形式のことも多いため、早めの申込をお勧めします。ちなみにウミトロンのブース位置はこちら。

・例年のブースの事例を調べる

ググったら過去の展示会の写真が見つかるケースがあります。会場の雰囲気や他社のブースのデザインを確認しましょう。機会があれば似たような展示会に足を運び、どんなブースだとクールか、どんなデザインや配色が目立つか、ブースに何を置いたらいいかなどを観察してみるのもいいと思います。実際にウミトロンでも、海外展示会やイベントにいろんなメンバーが足を運び、たくさんブースの写真を撮ってきて分析をしていました。ブースのデザインを決めるのに、非常に役立ちました。

・プロダクトを主役に

ハードウェアのプロダクトがある場合には、いかにプロダクトをクールに、主役感を出して目立たせるかが大切だと思います。日本の展示会に関しては、オーダーメイドでブースを作ったため、外部のデザイナーさんと一緒に考えながら空間デザインを進めたのですが、プロダクトを主役にするためには、プロダクトのイメージに合わせた配色・空間・ライティングが非常に重要だと気づきました。ブースの配色は白とコーポレートカラーのブルーで統一。プロダクトを台に乗せ、高さを出し、周りには何も置かず空間を贅沢に使いました。また、スポットライトのように、高い位置からプロダクトを照らすことで、ショーケースのような印象になり、グッと人目をひきやすくなったように思います。

・スペースが限られる場合はモニターが鍵

ブースのコマが決められていて自由度が低めの展示会の場合、鍵になるのはモニターの大きさとムービーの内容だと思います。人は動いているものに対して目で追う習性があります。海外展示会ではブースの壁面に対して、かなり大きめのディスプレイを注文したのですが、これが功を奏し、ブース前を通りがかる人の多くがモニターに視線を向けていました。また、ムービーは一目で何をしているのか感覚的に理解してもらうのに大切な役割を果たします。プロダクトに関する映像のみの場合、UMITRONをメーカーとして認識してしまう可能性が高いのですが、テクノロジーの会社であることを認識してもらうために途中でムービーを編集し直し、アプリのデモ動画や機械学習を用いた解析動画に切り替えたところ、一気に反応が変わりました。

・デモを用意する

パンフレットや口頭説明だけだと、サービスの上辺しか理解できず、ましてや自分がサービスを導入した場合どう使うか、どうオペレーションが変わるかといったイメージを持つことは難しいと感じます。特にスタートアップのように、この世にないサービスの場合は尚更です。デモがあるだけでメンバー誰もが簡単に説明でき、顧客もグッと理解しやすくなる+自分ごとに置き換えて考えてもらえるようになります。顧客から出てくる質問もより具体的になり、深いディスカッションができます。エンジニアの皆さんに、展示会までに何とか…と無理言って用意してもらいましたが、めちゃくちゃ役立ちました。。

・VRは国内外で使い分けても良いかも

シーフードショーでVRを置いているブースは類まれなので、興味を持ちやすく人が人を呼んで賑やかに見える効果を狙ってVRをブースに置いてみました。日本だと気になって寄ってきてくれる人が多数いたのですが、逆に海外では全く見向きもされなかったので笑、途中からしまってしまいました。

戦略

・ブース出展者にこちらからアプローチする

ブース出展者は、案外みんな自社ブースの接客で忙しくて他のブースを回ることができません。ターゲットとなる出展者がいれば、こちらからパンフやノベルティーを持って挨拶しに行く戦略は非常に効果的でした。できれば初日に回ると会期中にアポイントが取れたりとチャンスが広がります。営業に回る人員を踏まえて、イベントの参加社員数を調整しましょう。

・まず相手のステータスを確認する

ブースに来てくれた人に対して、つい質問に答えるのに必死になってしまいがちですが、まずは相手がどんな人か(業種、担当職務、目的など)を確認しておくことが大切です。その人のステータスやモチベーションに応じた質疑応答ができ、また必要に応じて他のより詳しいメンバーに繋ぐなど、より効率的な接客対応ができるようになります。

・想定QA集を作る

シーフードショーのような大きなイベントの場合、ビジネスメンバーだけだと人手が足りないので毎日2~3人エンジニアにもヘルプに入ってもらっていました。職種が違うと、前提となる知識が当然異なります。どんなステークホルダーにはどんな回答をするのか、会社としてどこまで話をしてもいいのかなどの注意事項、こんなステークホルダーが来たら(質問受けたら)誰につなぐか、など、参加者全員で共通認識を作っておくことが非常に重要だと思いました。(バタバタしていて読み合わせ時間が十分に取れなかったのは反省。。)

・メディア向けプレスキット(写真・動画)を用意する

展示会出展の目的の一つとして、メディアからの取材の獲得がありました。特にウミトロンの場合、通常プロダクトがある場所が養殖現場ということもあり笑、取材を受けるにしても移動や出張調整が大変なため、こうした展示会中に取材いただけることは非常にありがたいチャンスでした。そのため、すぐに記事や報道に使ってもらえるよう、事前にGoogleドライブに様々な写真・動画素材を準備し、展示会に関する文章もこちらで書き起こしてメディアに配布しました。その結果、シーフードショーではワールド・ビジネス・サテライト(TV東京)に取り上げられ、海外展示会でも様子を記事化していただくことができました。普段から出張メンバーが写真や動画素材をたくさん撮って来てくれるおかげで豊富に素材があり、大変助かりました。

※全文スペイン語のため、雰囲気をお楽しみください。

その他

・接客メモ

接客で発生する膨大な名刺をデータ化し、話す内容を忘れないようにするためのメモ(対応日付、来場者のカテゴリ、ネクストアクションなどを簡単にメモれる用紙)を作成し、名刺とセットにして保管しました。結果、来場者が多い時間帯は書く暇がないこともあったのですが笑、「誰だっけ、何話したっけ…」がなくなり、他の担当に引き継ぐ時もすぐに接客担当者がわかったので便利でした。

・ノベルティ

バラマキ用(メモ、クッキー)と商談してくださった方などに渡す帽子、ビニールバッグを作成。クッキーにはウミトロンのHPに飛ぶQRコードをプリントしてブース前で配りまくりました。日本のシーフードショーでは割と珍しがって受け取ってくれ、300枚ばらまいて85人スキャンしてくれました(これがいい数字かは比較がないのでなんともですが)。ところが、海外展示会では、なんとそもそもクッキーだと認知してもらえない&仕掛けの説明が必要でした…(cookieではなく、biscuitと言わないと通じない国の方もいて勉強になりました)。海外(ヨーロッパ?)の場合は、案外シンプルにロゴ入りのクッキーとかが無難かもしれません。

・海外へのハードウェア輸送

海外展示会へ向けてプロダクトを輸送する時は、ATAカルネ通関を利用(ATAカルネ:ATA条約(物品の一時輸入のための通関手帳に関する条約)に基づき、職業用具、商品見本、展示会への出品物などの物品を仕事のために外国へ一時的に持ち込む場合、外国の税関で免税扱いの一時輸入通関が手軽にできる通関手帳のこと)しました。また、日本→空港・港、現地の空港・港→展示会場の輸送も含めると、複数社の運送会社を使うケースもあるため、情報の漏れや齟齬がないかどうか、運送会社の営業ともよく確認をしておいた方が良いです。

・パンフレット(会社案内・商品案内など)

パンフレットも展示会用に作成しました。日本だとブースに来たらほぼパンフレットを受け取って帰るのですが、海外だと受け取らないことが多く驚きました。理由は、Webで見るから大丈夫、とのこと。海外展示会では会社概要とプロダクトパンフレット300部ずつ準備したが、200部程度余りました…。

・笑顔で挨拶!!

なんだかんだ、ブース前でひたすら笑顔で挨拶しながら視線を通行人に向けることが大事です。目の前を歩いている人が、実は重要なステークホルダーかもしれません。実際に海外展示会では、ブース前を通りかかった人に「Hello! Cookie! Biscuit!」と相手の顔を見ながら笑顔でクッキーをちらつかせただけで多くの人が足を止めてくれました(たまに外国人男性にウインクされる)。その中には、実はターゲットとして繋がりたかった人もいて、とにかく恥ずかしがらずに声をかけることが単純に大切だと感じました。


展示会に初出展して得られた知見をここまで書いてみました。大規模展示会にスタートアップが出展して、どれだけ効果が得られるか最初は疑問もあったものの、ウミトロンが目的としていた

・(国内展示会)量産開始フェーズに当たって、UMITRON CELLをターゲットするステークホルダーに認知してもらう、コネクションを作る

・(海外展示会)UMITRONのテクノロジー導入のターゲットとするステークホルダーに認知してもらう、コネクションを作る

・(海外展示会)海外の市場調査

・(国内・海外共通)メディアへのPR、取材の獲得

はいずれも達成できたように思います。

展示会出展を検討する際には、実際に自社のプロダクトやサービスの状況と目的に照らし合わせつつ、実際出展する意思決定をして準備を始める時に、ここで記載した何か一つでもお役に立てれば嬉しい限りです!

最後に、Twitterやってます!養殖や魚に関することだけでなく、スタートアップで働く中での日々をつぶやいてます。お気軽にフォロー・DMください!「いけす女子」で一発で検索できます。

そして、引き続き国内外でテクノロジーを活用してどんどん水産養殖をエンパワーメントする仲間を絶賛大募集中!!エントリーお待ちしてます!!


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