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どんなひかりの加減なのか、赤城の中腹がみどり色だった。山は本当はみどり色だ。木があるのだから。でも、遠くから眺めるとそれはいつもあお色で、本来はみどりだなんて忘れてしまう。ちょうど雨があがっていた時間に見えたそのみどり色には、明るいきみどり色も混ざっていて、どういうわけか立体的に見えた。そこに並ぶ木々たちの葉っぱの重なり具合や、微妙な陰影も含めて、葉の一枚一枚までが立ち現れてくるように思われた。美しかった。自然の見せる、つかの間の僥倖。



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