1208 冬至の次の日は

「お日さまばんざいパーティー」の日。梨木香歩『岸辺のヤービ』の話だ。

一年のうちで日が一番短くなる冬至の日の、その次の日、………すっかり弱ったお日さまが、もういちど力をよみがえらせていくのを、はげますためのパーティです。

お日さまをはげます(!)パーティー。しかもそれは、ヤービたちの冬ごもりのさなかに行われる。眠っていたのをその日だけは起きて、家の中で静かに乾杯する、その時に、

みな、「お日さまのために」とか、「お日さまがんばれ」、「みながお日さまを待っています」などと、応援のことばを口にします。どんなに元気がなくなっているお日さまだって、これを聞けば、やる気になるというものです。

そしてこう続くのだ、

お日さまが毎年復活してくるのは、こういう理由からだったのです。


みんながはげますから、お日さまはまた日を伸ばし力を強くするという、このやさしさと、圧倒的な肯定感、絶対的な信頼感。お日さまと自分はつながっている、自分のことばがお日さまに届き影響すると信じること。「はげます」ということばで表されるヤービたちのやさしさと愛。お日さまは与えてくれるだけの存在ではなくて、自分もまたお日さまに与えることができる、ということ。自分のことばが愛する世界を力づけ、動かすと知っていること。

圧倒的に自分の生を肯定し、自分を生かしてくれるものと絶対的に信頼を結ぶ。その美しい在りように、わたしは一人胸をふるわせる。やさしくて、強く、美しい、生きものとしての在り方。

わたしはきっと、冬至の次の日に、ヤービたちと同じように小さくつぶやくだろう。

「みながお日さまを待っています」。


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