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午前中に外に出たら、光がすごかった。彩雲が見えた。ピンクのようなマゼンダのような、グリーンのようなターコイズのような、きらきらとした雲。太陽から少し離れたところにも色がのっていて、光の強さを思った。遠くまで届く、強い光。

お気に入りの丘に登って、空を眺めた。たくさんの雲が太陽の周りを通り過ぎる、その時に色を帯びる。虹色のパレードは休みなく続いた。色に染まっていない大きめのうろこ雲と一面を覆うような綿あめみたいな雲を、首を曲げて真上を見上げて口を開けて見た。雲の向こうに青い空、深めのあお。空を、まるいと感じた。ドーム状のまるい天井のように、空はまあるくわたしを囲んでいた。まるで守られているかのように感じた。空をいつも平面のように感じていた。どこまでも続く平面。書き割りのような奥行きのないかんじ。でも今日は、まるかった。わたしと空との距離感が、たぶん変わった。遠くてつかめないものから、ちゃんと奥行きを感じられる遠くても在ると実感できるものへと。本当はいつでも空はまるくわたしを取り囲んでいてくれた。いつも空はまるくて、やっとわたしは空のかたちをつかまえたのだと思ったら泣けてきた。

彩雲は太陽近くをゴールドに輝かせながら、いくつも流れていった。そのうち厚めの雲がやってきて、地上に降りる光は鳴りを潜めた。けれども、太陽の少し下のほんの少し薄くなっている雲の端に、マゼンダとターコイズの色が落ちていた。雲にさえぎられても、その光の強さは変わらなかった。

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