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新しい服を買うのは、いつも楽しくときめくことだ。でも、うきうきと気持ちが浮き立って、わくわくとうれしくて、帰ってからもお腹から温められるようなしあわせを感じられる、そういうお買い物って年に何回あるだろう。
昔の浴衣地で丁寧につくられた服と、野菜で染められたストール。布が好きで、植物で染められた色が好きで、だからそれらを目にすることはわたしの歓びなのだけれど、その歓びを分かち合う人がいるともっと楽しい、と唐突に気づいた。
それを染めた人、それを縫った人が、その場にいてくれるのがうれしい。その人から直接手渡されるのがうれしい。選ぶまでの時間を一緒に過ごしてくれるのがうれしい。
久しぶりに会った友人が、ずっとわたしにつきあってくれるのがうれしい。ストールの色を迷うわたしに、あれこれ話をしてくれるのがうれしい。わたしも彼女に会いたくて今日ここに来たのだったから、ただ話しているのがうれしい。何の屈託もない少女みたいに楽しい。
新しい服は、新しい自分をつくる。新しい自分へと踏み出す前の、ほんの少しのためらいを払拭するのは自分だけれど、その背中を押すのは誰かの声だったりもする。背中を押さないまでも、誰かがともにいてくれることで、素直に踏み出せることもある。
楽しんで、迷って悩んで、決める、その時間丸ごとが、宝物のようだと思った。
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