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彩雲はいつも祝福だ。きらめく色が、波打つように雲の上に広がって、小さくなって、消えて、また別の雲の上に現れた。久しぶりの彩雲だった。見ることができて、ただうれしかった。

なんだかいろいろと考えや思いが堂々巡りするばかりで、どこにも行き着かないそれらを持て余していたのだった。そうするのは単なる癖で、癖だと気づいているのだから、それと気づかずに抜け出せないでいた以前とは違うのだ、と思ったら泣けてきた。本当は、そんな風には言葉にはならなくて、ただぼんやりと以前の自分とはもう違うのだと思っただけだったけれど、あとから説明づけようとするとそういうことになる。そうか、そうだよな、とまた言葉じゃないところで思いながら見上げた空に、彩雲があった。すごいな、とも、やっぱり、とも思った。あんまり頭を使わないようにただ眺めた。彩雲を見るのに言葉はいらない。自分を見るのにも、言葉はいらないのかもしれなかった。


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