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花の咲き乱れるイングリッシュガーデンで、一番惹かれたのはギンドロの木だった。見上げると、銀色をスプレーしたような葉の色で、その色を知っているような気がした。なつかしいような感覚だった。おそらく初めて見たのだと思うけれど。

ギンドロという名の少年が出てくる『ヤービの深い秋』を思い出していた。ギンドロの木があったのはちょうど水辺だったので、ここにヤービが住んでいたらいいなと思った。わたしがその名を知らないちいさなひとたちも、いるといいな。わたしに見えないものたちも、きっといるといいな。

草花たちの、木々たちの、蝶や虫たちの、鳥たちの、ガーデン内のありとあらゆるいのちと、われ知らず交感していたようで、くらくらしていた。ただいのちを謳う、そのこと以上にパワフルな在り方はないのだと思った。



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