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梅酢を水で薄めて飲んでいる。透き通る淡いローズピンクがきれいで、つい見とれてしまう。子どもの頃、色水を作るのが好きだった。朝顔をすりつぶして、紫や青の水を日にかざして見たり、自分の手指につけてみたり、玄関先のコンクリートに塗ったりしていた。しぼんで落ちた朝顔がいくつかあるときは、ひとつひとつ別の容器ですりつぶして、その色のグラデーションを眺めて陶然としていたように思う。色の濃さも水の加減で変えられるから、どんどん薄めていって、透明なのに色がついているという状態を見るのが一番好きだった。いまでも淡い色が好きだ。

そういえばツユクサもすりつぶしてみたことがあった。花弁が小さいので、朝顔よりも色の出が良くなかったし、色も薄くて、紙にのせたらほとんど色がつかなかった。ツユクサは色水には向かない、と悟ったのだったけれど、それが友禅の下絵に使われていることを知って、なるほどと思った。水で消えるし、空気に反応してそのままでも少しずつ消えていくのだという。以来、友禅を目にするたびにツユクサを思い出すようになった。消すために描かれた、あお色があったことに思いを馳せる。


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