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セール中の手芸用品店で買い物。普段より多めのお客さんたちは、みなそれぞれに真剣に何かを選んでいる。気に入ったものかどうか、目的に合う品か、合わないなら何に替えればいいのか。この作品見本みたいにしたいけど、これじゃちょっと薄手かしら、とスタッフさんに尋ねる声。一緒になって検討してくれたお友達へのありがとうの言葉。ぐずる子どもの声。レジでのやりとり。時折聞こえるそういう声たちの中で、ただ自分の作りたいものに集中して、素材を探し色合わせする。わたしと同じようにみなそうやって自分だけの世界の中にいる。一人一人のこころのなかには、これから作られるであろうイメージがあふれている。そのイメージが、売り場にいる人たちの頭の上に、ぽん、とマンガの吹き出しのように浮かんでいる、そんな空想をした。

そういうことを思ったのは、買い物をしていた時ではなく、アニメ『映像研には手を出すな!』第一話を見た後、つまりこれを書いているいまだ。アニメの中で、主人公たちが自分たちの描いた絵でイマジネーションを膨らませていくところ。トンボのような機体で飛び立つシーンに、想像力の飛翔だ、と思った。そう思ったら涙が出た。アニメの中では、想像がどんどん突き抜けて、主人公がつくりたいという、最強の世界、が垣間見えて、ふと現実に戻っていった。想像力が羽ばたいて、自由にのびやかに、どこまでも飛んでいくさま。それを見たり読んだりすることが、わたしのよろこびの一つだと改めて思った。


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