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理屈(#070)

「絵を描けないのは理屈を知らないってことだから、絵を描く理屈をちゃんと教えてあげないと描けないままで、無駄な時間を過ごしてしまう」と寺田克也は言う。

イラストレーター・寺田克也著「絵を描いて生きていく方法?」を読んでる。何が面白いって、彼は絵だけじゃなくて言語化が上手い。

才能があるとかないとか、あやふやなことじゃなくて「絵を描けないのは理屈を知らないからだ」と簡潔にはっきり述べた人いたかな〜。「理屈」という言葉のチョイスが良い。そして、私は理屈を知ったお陰で短期間に独学で絵のスキルを伸ばすことができた。
「絵を描いて生きていく方法?」の一部がネットで公開されているのでこちらのリンクでどうぞ。(https://comics.pie.co.jp/story/絵を描いて生きていく方法?-第一回目-「電車に乗/2/)


寺田克也という名前も彼のイラストも遠目では知っていた。
でも彼が喋るのを初めて見たのは「漫勉」をみた時だった。喋っているのを聞いて「あ・この人は言葉を使える人だ」とすぐわかった。

漫勉からの引用***

寺田:あそこを歯茎だなって見えるのは、引いたときに何に見えるかっていうのを決める能力っていうのがあると思うんですよ。「見立て能力」。

浦沢:何かに見えるっていうのが大事なんだよね。

寺田:たぶん絵の才能っていうのは、すごく「見立て能力」に負うところが大きいんじゃないかと俺はふんでる。

***

この「見立て能力」というポイントと言葉のチョイスにグッときた。この人と話したら楽しいだろうな。こういう先生に習ったら伸びるだろうな。
寺田克也が出る漫勉みたい方はこのリンクからどうぞ。(https://youtu.be/LqMs60SU24A?si=04HQam0CZTIVpZ1v)

良い先生は、言語化が上手だ。私もそういう先生になりたい。まあ、私の場合は英語ということもあるので、さらにハードルが上がる。でもね、英語が流暢じゃないことが、かえって功を奏することもあるのだ。まず、話すポイント自体がシンプルになって、雑音が減る。聞き手も受動型でなく参加型になる。私は調子にのって「これはなんていうんだっけ」とボールを投げて、聞き手に答えてもらったりする。キャッチボール成立。長いこと通っている生徒さんには「ねえ、あなたがAkoだったら、この絵見てなんていうと思う?」と相手に私の着ぐるみを着てもらう。「多分、暗いところはっちゃんと暗くするっていうかもね」「その通り、じゃあ、そうしてみようか」と私は言う。できるだけ、教えない。気づかせる。あの、私は楽してますかね?ある程度わかっている生徒さんにはそれくらいのサポートがいいんだよ。初心者には「理屈」「繰り返し」「観察」「楽しむ」を繰り返し伝える。


「写真じゃなくて、絵じゃなきゃいけない理由は何かと考えたときに、自分の視点の提供であったりとか、発見であるとか、そういうことかなと思います」と寺田克也は言う。

私は写真をしていたので、写真でも「視点の提供」と「発見」はできると思っている。でも、ここで彼が言わんとしていることは、実写では表せない、線で作り上げる超自然の世界観のことを言っている。それもわかる。私は見たものは描けるけど、見ないで想像で描くのは上手くできない。彼はそれを得意としている。漫画家はそれができるんだよな〜。私も自分の世界を想像で描けるようになりたい。やりたいことはたくさんあるのに、体力と生きる時間は減るいっぽうだ。


減る体力と時間にあらがって、あなたがやりたいことって何だろう?
あなたの想像力がわたしの武器。今日も読んでくれてありがとう。

えんぴつ画・MUJI B5 ノートブック

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