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病気の一枚 7

抗がん剤、後半戦はじまります。

2020年3月下旬。世間は例のウイルスで、上へ下への大騒ぎになっている頃、8回受ける抗がん剤治療の4回目が始まろうとしていた。いつものように病院へ行き、採血して検査結果を待つ。

2019年夏、右胸のしこりに激痛がはしり、検査の結果、乳がん、悪性腫瘍と診断されて、11月に右胸全摘とガンが転移していた右脇下のリンパ節切除手術を受けた。そして12月から抗がん剤治療を受けていた。

そして今日から違う種類の抗がん剤投与である。ドセタキセル療法というのを受ける。詳しくは例によって、ネットでいろいろ解説されているので割愛するが、前回まで2種類の抗がん剤を投与していたが今回からは1種類になる。先生からは「楽になるよ~」と言われたが、果たしてどうなることやら・・・。

ドセタキセル療法1回目

血液検査も無事にパスして治療を受けた。でも相変わらず化学療法室の治療席が満席なので、針を刺されたまま、お昼ご飯を食べる。看護師さんからは、本当に申し訳ないと言われたが、そんなとんでもない!この大変な時期に普通に治療を受けさせてもらえることに感謝しかなかった。

治療後、そこまで吐気もなく、ご飯も食べることができたし、お風呂も入ることができた。以前のようなだるさはない。それだけでもすごく楽だ!と思ったのもたった数日で、筋肉の痛みがやってきたのだ。

だが、2週間過ぎた頃、のどが痛くなってきた。鼻もむずがゆい。確かに、毎年花粉症で、しかもこの時期は気管支炎も起こしがちだったので、かかりつけ医に診てもらった。のどが赤くなっていたので、毎年恒例の気管支炎だろうということで、その日は薬をもらって帰宅。

その日の晩、また脱毛が始まった。頭にわずかに残っていた長い毛とつんつん短い毛が、頭を撫でただけで抜ける。もれなく抜ける。そして、鏡をよーく見たら、鼻毛がない。・・・ん?待てよ。のどが痛いのは、ひょっとして、鼻毛が抜けてほこりや花粉を防ぐものがなくなり、鼻水がダイレクトにのどに入ってるからか?なんてこったい・・・この日から昼間もマスクをつけるはめになった。

ドセタキセル療法2回目

4月。厳戒態勢の病院で、今回も血液検査を無事にパスして治療を受けることとなった。相変わらず化学療法室は満席で、針を刺されたままお昼ご飯を食べる。この生活にもずいぶん慣れたなあ。

治療後すぐは特に何もなかったのだが、4日ぐらい経った頃から下痢がやってきた。何を食べても身体から出ていくのである。結局次の治療日まで下痢と闘っていた。最後の方は「食べても出るなら、いっそ食べなくてもいいんじゃない??」と自暴自棄になっていた。

ドセタキセル療法3回目

今回は3週間目の治療日が、ちょうどゴールデンウィークにかかるので、入院して受けるか、1週間延ばして通院で受けるか、どちらがいいですか?と前回の治療の時に先生に聞かれていたのだ。ちょっと悩んだが、入院で受けることにしていた。お金はかかるが、早く終わりたい、その一心だった。

入院なので、ゆっくり治療を受けることができた。担当の看護師さんは、昨年の手術の時によくお世話になった方だったので、二人でたわいもない会話をしながら、しかも今回は個室だったので、私が持ってきたMP3プレイヤーでいろんな音楽をかけながら、さながらちょっとしたライブみたいな時間だった。

だが、今回からいろんな副作用が襲ってきた。下痢に加えて、手足のしびれ、味覚障害、脱毛、むくみなどなど・・・。中でも、いちばんしんどかったのは、まつ毛が抜けてしまい、涙が止まらなくなったことだ。眼鏡は必需品なので、ずっとかけているのだが、それでもほこりがどこからか入ってくるのだろう。ああ、もう、涙が止まらない・・・。

ドセタキセル療法4回目

5月下旬。抗がん剤治療最後の日。おかげさまで、どうにか最後の治療日までたどり着いた。嬉しくて涙が・・・いや、副作用の涙だった・・・。まったく紛らわしい。

最後の血液検査も無事にパスして、例によって化学療法室は満席なので、針を刺されたままお昼ご飯に突入する。そして心配をかけてしまった身内や友達にひたすらメールを送っていたら時間があっという間に過ぎていった。

撮った!

最後の治療を終えて、薬局で薬を受け取り、駐車場へ向かっていたら、ツツジが見事に満開だった。写真を撮りながら、なんだか気持ちがめっちゃ解放されていくのが分かった。

だが、ほっとしたのも束の間、副作用はすぐにやってきた。下痢、手足のしびれ、味覚障害。下痢は整腸剤をもらってだいぶ楽になっていたが、手足のしびれは生活に支障がないぐらいで地味に続いている。味覚障害はだいぶおさまってきたものの、化学調味料を使っている食べ物にちょっと敏感になってきているようだ。これって違いの分かるなんとやら・・・か??

そんなこんなで、今に至る。抗がん剤の副作用は人それぞれで、私は比較的軽い方だったと思う。同時に治療を受けた人は白血球の数値が上がらなくて注射したとか聞いたし、足がパンパンにむくんで治療が終わったのにまだ治らないという人もいる。個人差だね。

まだまだ検査や治療は続くので、それはまたぼちぼち書けたらと思う。そして今年は特にこの大変な状況の中、治療を受けることができたのは、医療従事者の方々のおかげよりほかならない。ありがとうございます。そしてまだまだお世話になります。

ただひたすら感謝です!

追伸:病気の一枚は連載モノです。よかったら6もご覧ください。


記事を書くための栄養源にします(^^;)