コーヒーの一枚 55
年に一度のお楽しみ
5月の新緑が過ぎて、梅雨に入るか入らないかぐらいの、空気がじめじめっとした時期になると、飲みたくなるコーヒーがある。
それは昼間の暑い陽ざしが、皮膚に突き刺さって「あー、今ごろの陽ざしって、ちゃんと日焼け止めを塗らないとヤバいよねー」などと言っている時に飲みたいなぁと思い始めるのだ。
夏でもコーヒーはできればホットで飲みたい人である。でも、必ずそうとは限らない。アイスで飲みたい時もある。だいたいアイスで飲みたいと思う時は、アイスカフェオレになる。
でも、ブラックで飲みたいアイスコーヒーがある。そのアイスコーヒーは期間限定なので、もう少ししないと飲めない。飲めない。と思って、昨年は逃してしまった。今年は逃すまいと、日焼け止めを塗らないとヤバいよねという陽ざしの下を、車を走らせて店に足を運んでいた。
梅雨の合間に
今年の梅雨は、梅雨入りしたのが遅かったうえに、1日24時間の中で、滝のようにざーっと降ったかと思えば、急に晴れ間を見せていた。しかも昼間は軽く30度を超えてくる。めちゃくちゃ気まぐれだった。よーし。そっちがその気なら、こっちもやってやろうじゃあないか。
日よけの帽子とクーラーの冷風に耐えるための薄手のカーディガンを持って、車に乗る。車の中が湿気と暑さでむわっとする。むわっとしようが、もわっとしようが、今日はあのアイスコーヒーを飲みに行くと決めたのだ。初志貫徹すべく、車をスタートさせる。
広い国道を走り、大きな川の土手を走り、川にかかっている色も形も違う橋をいくつも見ながら、やがて線路も一本超えて、山道に入っていく。山道といっても、助手席側には、筑後平野の裾野が広がっている。走っている山道は福岡県久留米市から、うきは市にある耳納連山を少し登ったところに山と平行に走っている山道だ。
しばらく走っていると白い看板が見えてくる。その看板にはいくつものお店の名前が書かれてあり、お目当てのコーヒー屋さんはこの中にある。
到着!
県道151号線から少し坂道を登り、広い駐車場に車を停める。
ここは『ぶどうのたね』というところ。ランチやスイーツを楽しめるカフェあり、暮らしをランクアップさせてくれそうな雑貨屋もあり、素敵な器や洋服、小物などを集めたギャラリーもあり、手土産にぜひ買っていきたい和菓子屋もあり、実はまだ入ったことがない着物屋もある。
そして、私が目指すは『ZELKOVA COFFEE』というコーヒー屋さんである。数々のスペシャリティコーヒーとコーヒーによく合うスイーツが楽しめるコーヒー屋さんで、2階席は筑後平野を眺めながらのんびりとコーヒー時間を過ごすことができる。
今日は、1階奥のカウンター席に案内された。窓はないが、カウンターとコーヒーを淹れるスペースとお客さんが座る席。コーヒーをしっかり楽しむための場だ。入るのにちょっと緊張するが、一歩足を踏み入れた瞬間から、コーヒーの世界に入った感じになる。この空気、よかです。
席について、メニューを開くが、今日のオーダーはもう決まっている。でもメニューにいろんな種類のコーヒーが丁寧な解説付きで書かれていると見入ってしまう。心が揺れながらも、今日はやっぱり「水出しアイスコーヒー」で。
撮った!
きたきた!この銅製のタンブラーに入ったコーヒー。もうこの姿だけで、飲んだ気になってしまうが、いやいや、コーヒーを楽しむのはこれからだ。では。
タンブラーから冷たさが伝わってきて、そこに時間をかけて作られたコーヒーが喉に入ってくる。酸味や苦味もあまりなく、一口目はすぅーっと入ってくる。一口目はだいぶ多めに飲んでしまう。ええ、それは待ちに待ったアイスコーヒーだもの。いつもより多い一口でいいじゃないか。
一緒に頼んだロールケーキも甘さ控えめのクリームで美味しい。ロールケーキ、アイスコーヒー、ロールケーキ、コーヒー、ケーキ、コー・・・コーヒーがなくなってた。ああ、コーヒーが足りなくなった。まただ。こうして、2杯目を追加注文しようか、どうしようか考えてしまうぐらい、ブラックなのにすいすい飲むことができる水出しアイスコーヒーなのである。
もちろん、アイスコーヒーだけでなく、ホットもすうっと飲める。そして、カウンターでも、2階のテーブル席でも、メニューに書かれたコーヒーの細やかな情報に加えて、メニューに迷って、店員さんに尋ねると、もっとそれ以上の情報を提供してくださる。さらに迷う。というループにハマるのだが、またそれも楽しみの一つになっている。
福岡県うきは市辺りをドライブする機会がありましたら、
『ZELKOVA COFFEE』のアイスも、ホットも、ぜひ!!!
今回ご紹介したお店はこちら!
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