唐突に来る6月に驚いて死んでしまわないように

4月もなく、5月もなく、絶望もなく、希望もなかった。

流行りの病は、どこか遠くで起きていて、有名人の死でさえ身に迫ってはこなかった。

出歩くことはしなかった。普段から外に興味はない。誰かに後ろ指を指されるのも面倒だった。

それが4月や5月でよかったと思う。たしかに今年度の新入生は可哀そうだし、資格試験の受験者はひどい目にあっている。

しかし、そこには日差しがあった。せめてもの、救いがあった。

それがもし6月であったなら、雨の降り注ぐ毎日は、人々を責め立てただろう。それがもし冬の日々だったなら、寒さが人を死に追いやっただろう。

それが、4月や5月でよかった。


さて、6月だ。唐突だ。

3月から飛んで、6月が来た。

蒸し暑いこの月を、雨ばかりのこの月を、私たちは耐え忍ばねばならない。まだ100%ではないから。私たちの日常は、まだ戻ってきてはいないから。

そして、6月は、わたしの生まれた月だから。

わたしは、わたしのために、この月を愛したいの。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?