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星に願いを

先日オルゴールをプレゼントされた。
なんでもない日にサプライズで。
駅のコインロッカーに連れて行かれ、やたら重たいラッピング袋を渡されたのだ。
それが何だか検討もつかなかったが、なんでもない日に何かを貰うのが初めてで心が高鳴った。
その場で開けるか迷ったけれど、家に帰るまで貰ったことに対しての余韻に浸りたくて中身は見なかった。

中身は最初に書いたが、オルゴールだった。
ガラスの球を台座にセットするオルゴールだった。ガラスの球の中に星の王子さまやキツネ、薔薇が居た。ライトを付けると星の王子さまがくっきり浮かび上がってしばらく見とれた。

星の王子さまは私が1番好きな本である。多分これを超える本に私は出会えないと思う。それぐらい私の好きが詰まった本なのだ。歳を重ねるにつれて星の王子さまの言ってることの中で理解できないものが増え、キツネの言葉にハッとさせられる。幼い私は理解出来なかったが、今の私なら少しは理解出来る、何度読んでも新たな気付きが生まれる、そんな本なのだ。スルメと一緒。噛めば噛むほど味がする。

好きな本が星の王子さまだと言うと大抵の人は「名前は知ってる」「読んだことある、薔薇のやつだよね?」そう言うのだ。このやり取りが嫌いな訳では無いが、この人は私の好きな本の好きなポイントを分かってくれなさそうだなと勝手に線を引きたくなる。

好きな人と初めて話した時、好きな本を聞かれて「星の王子さま」そう答えた。きっとこの人も同じことを言うのだろうと思いながらそのあとの返しに特に期待はしていなかった。でも、彼は自分も星の王子さまが好きだと言った。話の中の好きなポイントが同じで初めて理解して貰えたのが嬉しくて私は彼に星の王子さまの本をプレゼントした。
元々好きな人に星の王子さまをあげたいという私の自己満足から渡した本だったが、えらく気に入ったようで、その時のお返しに星の王子さまのオルゴールを渡したかったのだと聞いた。
お返しに何がいいか、星の王子さま関連のものを探して選んでくれたらしい。
星の王子さまは私と好きな人を繋ぐ大事な思い出だ。

家に着いて、オルゴールのネジを巻いた。
このオルゴールはどんな音色を奏でるのだろうか。星の王子さまに楽曲があるわけではない。では、ここから何が流れるのだろう。

オルゴールは「星に願いを」を奏でた。
私はディズニーの曲の中で「星に願いを」が一番好きだ。ピノキオの主題歌で歌詞がとても素敵だ。

輝く星に心の夢を祈ればいつか叶うでしょう
きらきら星は不思議な力
あなたの夢を満たすでしょう
人は誰もひとり
哀しい夜を過ごしてる
星に祈れば淋しい日々を
光照らしてくれるでしょう

運命の輪 のnoteで私は Salem ilese の 「mad at disney 」を取り上げた。この曲は少し「星に願いを」を皮肉った歌詞がある。

「 すっかり騙されたわ 流れ星に願いをかけさせるなんて 」

私はこの歌詞に共感した。
流れ星に願いをかけても根本的に何かが変わる訳では無い。何も解決しないし何も生まない。それでも、私は何かに縋りたい。だから星に願いをかける。現実と理想は別だから私はどちらの曲も好きだ。

話が少し逸れた。

一番好きな曲が入った思い入れのある星の王子さまのオルゴールを、いちばんすきな人に貰ったのだ。好きが詰まったプレゼントでしばらくオルゴールの音色を聴きながら泣いた。苦しいぐらい嬉しくて幸せだった。

これから苦しいことがあった時、このオルゴールを聴こうと思う。そして、星に願いをかけようと思う。根本的に何かが変わる訳では無いけれども、それでも、「祈ればいつか叶うでしょう」そう信じたい。信じる心と妖精の粉があれば人は飛べるのだから。信じて祈ることが叶うための第一歩だと私は思い込みたい。

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