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日が沈んでしばらく経った頃、私はあてもなく街中を歩いていた。人よりも自動車の往来の方が…
そのテディベアは川上から流れてきた。茶色くて、小学校に上がりたての子供が抱きかかえて眠…
失恋をした。 それはもうひどい失恋で、想いを届けたかった相手には何も伝わらず、失意の…
照明が消されると同時に立ち上がった拍手は、次第次第に静寂へと回帰していった。その静寂の…
テレビに出ている有名人を間近で見ると妙な感覚に襲われるのと同じように、間近な人を画面の…
日曜日の朝ともなると窓を開けて新鮮な空気を部屋いっぱいに、そして胸いっぱいに取り込んでし…
SNSにはたくさんのアカウントがある。それらのつぶやきについて、笑い、憂い、怒り、共感することはある。けれどその奥にある人格について想いを馳せるなんてことはなかった。別に自分がリテラシーを備えていると言いたいわけではない。でも、日頃からその空間に出入りして、私自身も何かしらの感情を吐き出すことで自然とそれに近いものが身についたと言えないこともない。私は現実でするのと同じように、仲の良いアカウントにも心の内を明かさなかった。 そんなとき、ふと目についたつぶやきがある。 「自分
二歳ほど年上の友人と死生観を語らうことになったのには、一体どのような経緯があったのだろ…
雪は侵犯する。私はふと心に浮かんできた想念を、僅かに積もった雪道に足跡を残しながら弄ぶ…
どこかで凧が上がっている。私はそれを追いかけて、コンクリート塀の立ち並ぶ住宅街に迷い込…
「はい、すみません……失礼します」 電話を切って、布団の中に潜り込む。そこで自分が汗を…
「夕暮れ時になると心が高ぶる子供のような人間なのです、私は」 その言葉が倒置法のように…
花束を抱えた女性を見た。 おそらく、貰ったものでもなければ渡すためのものでもなく、た…
風の心地良さというものを私は久方ぶりに味わった。海を渡り、山肌を削り、あるときには車を横転させもする風の心地良さ。そよと吹く風は、多彩な仮面のうちの一つでしかない。 私は窓際の椅子に座って外へ足を突き出している。そうして何をしているのかと言えば、お湯を張った水槽の中に足を浸しているのだ。お湯の温度は僅かに暖かく感じられる程度で、冷えた身体が慣れていくのとお湯が外気によって冷やさせれていくのを考慮して、お湯を継ぎ足しながら徐々に暖めていく。手元にはタオルが必須で、ちょっとし