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インドで生まれ世界中を旅した壮大な物語 ~民族楽器とポップソング

さて、おもむろに初ノート書いてみたいと思います。

アカウント登録したものの、「初めての記事を書いてみましょう」というノート運営の誘いを無視し続けて約2年。
最近では、そんなお誘いメールも、まったくこなくなったので、天邪鬼に書いてみます。

僕は曲を作って動画にしたりしているのですが、半年ぶりくらいに曲を作ったところ、こんな曲ができました。

曲自体はシンプルな3コードなロック/ポップソングですが、民族楽器を弾きまくってユニークな感じに仕上がったと思うので、制作過程を書いてみたいと思います。

 前半は、クリエイター界隈で開催されている投稿祭の紹介と、そこへ向けて曲を作った過程の紹介、後半は、民族楽器をロックポップスに取り入れてみた事例紹介。

 まあ大部分の方には役立たない情報が、約6000文字以上、つらつらと書かれているので、興味あるかたは部分的に流し読みしてもらえればと思います。

0.自己紹介

音楽を聴く、演奏する、創る、のが好きなオッサンです。
「創る」はだいぶ前に辞めたんですが、2年くらい前からひょんなきっかけで復活して、ゆるゆると続けてます。

1. 投稿祭へ参加したい

クリエイター界隈では「投稿祭」というのが頻繁に開かれています。

いろんなお題に沿った作品を、決まった時期にみんなで投稿して聴きあおうよ、というような企画。

x(旧Twitter)あたりで告知され、ニコニコ動画、youtubeなんかに投稿されています。

一般リスナーには届きづらいと思うのですが、同じお題でも、いろんな着眼点や、それぞれのクリエイターの個性が出てくるので、興味あるお題あれば、ぜひ聴きまわってみると面白いと思います。

2024年6/7-12頃は、こんな4つの投稿祭が多数開催されていました。

  • A)なすなす央投稿祭 ・・・ネタ曲ボカロPなすなす央さんに関連した作品

  • B)モミアゲヲ投稿祭 ・・・ネタから感動まで多彩なボカロPモミアゲヲさん主催、テーマは「物語」に関する作品

  • C)ボカロック投稿祭 ・・・ボカロ+ロックな曲を投稿する祭りU-Rayさん主催。

  • D)キラハピ投稿祭  ・・・キラキラしてハッピーな曲を投稿する祭り、ニコニコ主催。

今回は、まず、Aなすなす央さんというネタ曲ボカロPが開いた投稿祭に照準を合わせることにしました。

なす央さんは、僕が予備知識なくニコニコに投稿してすぐ、フォローという概念もよく知らないうちから気づいたら、ニコニコでフォローされていていたのをなんとなく覚えていたので好印象だったのと、一番小さそうな規模なので、少しでも盛り上げられればと。

2.コンセプトを決めたい

 なす央さんの作品で印象深いのは、どんでん返し的なネタ曲「アクパンチュア」でした。タイトルや序盤から、流行りのカッコよさを取り入れた曲。その後の展開がどうなるかいいませんが、ぜひ聴いてみてください(リンク張ろうとしたのですが、2024/7/15時点でニコニコ動画につながらないので、復活待ちです・・・)

 お祝いの祝辞といえば、本人の略歴を紹介して、偉大さをたたえる結婚式スピーチ。

 そこで、ご本人のアイコンの由来になっている、「なす」の歴史を調べてみて、その偉大さをたたえてみようと思いました。「そっちかい?」というツッコミ待ちですが、ウチワネタになりすぎないようにとの配慮も少々。

 農林水産省のページにわかりやすく説明されてました。インド発祥で世界に広がったといわれているそうです。これは壮大な「物語」ですね。

あ、B)モミアゲヲ投稿祭につながりました。

もう一つ、C)ボカロック投稿祭にも参加できるかなということで、インド+ロックを模索します。

インド+ロック、といえばビートルズ。
ビートルズはメンバーが中期にインドに傾倒していたことがあって、ジョージハリスンはじめ、ガッツリインド音楽な作品もいくつか残ってます。
Sgt...(1967)に入っている8曲目あたりが最初ですかね。

ここまでガッツリインドじゃないですが、ちょうど、去年「ビートルズ風の曲」というお題を1週間で作る企画に参加していたので、それを完成させることにしました。リボルバーあたりのテイストの曲です。

この曲、、、ビートルズのシタールのようなノリで、トルコの楽器サズを組み合わせました。

今回はインド発祥で世界に広がる、、、というストーリーなので、あわせて世界のいろんな楽器を使うのも面白いかな?ということで、構成案が決まります。

イントロで、インドの鈴、エレファントベルを使ったのですが、これがキラキラした音。
なす央さんを祝うハッピーな唄。

あ、D)キラハピ、、、整いました。

3.いろんな楽器を演奏したい

3-1.コナックル(イントロ)

 インドの口ドラムというやつです。僕は土着ガッツリの民族音楽は疎いのですが、インド系イギリス人でダウナーな曲を作るNitin Sawhoneyさんが大好きで、その曲で知りました。いつか自分の曲にも使ってみたいと思って狙ってました。こういうやつです。(2:58あたりから:本人はギター弾いている人です)


 また、個人的に大好きな変態ジャムバンドClub D'Elfが2022年に出したアルバム中の曲にも使われてます(2:10あたりから)。

 いっぽう、日本でもレキシこと池田 貴史さんが、ニセレキシ(風貌が似ているから)ことU-zhaanさんのダブラとコナックルのリズムで「武田負けたな~、織田に負けたな~」とうたってます。こちらは正規のリンクがなさそうなので、サブスクで検索してみてください。

  2014年のアルバム「レシキ」 08曲目 Takeda' feat. ニセレキシ

 で、これを合成音声ソフトSyntheSizerVで生成する。過去に何度かチャレンジしていて、調整が結構大変だったんです。
今回は、かなりうまくいったと思うのですが、その後、自分で重ねた民族楽器にのまれて、影が薄くなってしまいました(笑)、まあしょうがないですね。

3-2.エレファントベル(イントロ)

インドで象などをあやすための鈴らしいですが、インドには行ったことがないので、日本のどこかの雑貨屋で買いました。

音階やリズムのコントロールは難しいので、イントロか曲中のブレイクのようなところで使おうと思いました。物語はインドからスタートするので、イントロで使えそうです。2つの大きさの違うベルを鳴らしてますが、キラキラした響きがステキですね。

3-3.ダンバウ(イントロ)

ダンバウ(ベトナム:一弦琴)

 ベトナムの1弦琴。ホーチミンの楽器屋さんで買いました。

これは、弦が1本しかなく、ハーモニクスポイントとアームを操作して音階を鳴らすという、超難しい楽器。自分の技術的には凝ったことはできないし、音域も1.5オクターブが精いっぱいなので、キーをGに合わせて、自分で弾ける範囲のフレーズをはめた感じです。

 興味ある方は、このページの解説が一番詳しいと思います。
https://open.shonan.bunkyo.ac.jp/hiyoshi/vietnam/v-traditon/danbau/danbau_lets_play.shtml

 楽器には事前にハーモニクスポイントを探しておいて、テープで印をつけています。

3-4.三線(間奏1:09~)

三線(沖縄:弦楽器)


 ご存じ沖縄の楽器。沖縄市の新垣三線店というところで買おうと思ったのですが決めきれず、新橋にも店があると紹介されて、そこで買いました。一番安いランクのやつですが、強化蛇革という製法?が、人口合革でないのに破れづらいというのが売りだそうです。平日で人が誰もいなかったため、店員さんに、かなり丁寧に教えていただきつつ、じっくりと試弾きさせていただいたのですが、新橋店はすでに閉店しているようでした、、、残念。

 さて、三線のチューニングは曲のキーに合わせて柔軟にやります。民族楽器全般に言えるのですが、転調が苦手な楽器が多いので、先に曲にキーを合わせます。

今回は本調子C-F-Cが一番しっくり来たのでそうしました。

 このソロフレーズは、もともとのアイデアでは、サズで弾いていたところ置き換えてます。

 民族楽器の面白いところは、それぞれの構造がその国の音楽のスケールを奏でやすいようにできていて、三線をアドリブでつま弾いていると、積極的に狙わなくても、やはり琉球音階な響きがにじみでるんですね。

なので、同じテーマからスタートしても、弾いていくにつれて、サズの旋律とはまた違った、琉球な響きがにじみ出ます。弾いているのは自分なんですが、「楽器が唄っているような錯覚」に陥ってきます、これは楽しいですよ~。

 本当は水牛の角で作られたピックを使うのですが、今回は時間なく、弾き損じの確率を下げたかったので、ギター用ピックで弾いてます。

3-5.ウード(間奏/ブリッジ1:39~)

ウード(トルコ:弦楽器)

 こちらはトルコの楽器。イスタンブールで買いました。新婚旅行で買った思い出の品(何やっとんだ?)

11弦フレットレス、サズに比べると古い楽器で難易度も高い。僕は、たまにしかひかないので、チューニング合わせるだけで10分くらいかかる。

 曲のキーに合わせて、低音2本は開放で弾きやすいコードを。高音4本は、5度づつあげてていく、ベースと同じチューニングにするのが定番らしいです。今回は、低音側から、G-C-D-G-C-F にしました。

 要となる経過音だけは通るようにして、手癖でウネウネやってます。フレットレスなので、達人は微分音などを駆使するのですが、僕は素人なので、西洋音階でフレーズを組んで、自然な揺らぎに任せました。

 音域は、エレクトリックベースに近い低音から中高域まで、音域も広くて音が抜けないため、他の楽器を少なくして、曲をストンと落とすところの展開で使うことにしました。うたともかぶせているのでEQも900-1000あたりをちょい下げてます

3-6.サズ(アウトロ2:48~)

サズ(トルコ:弦楽器)

 こちらもトルコの楽器。ウード買う数年前にトルコに行った際に買いました。

 簡易なフレットが針金でつけられているので音程が取りやすく、ウードと比べると格段に弾きやすいです。適当に弾いているだけでも、微分音とかが再現される優れもの。割と中高音域に抜けるので、ポピュラー音楽のフォーマットに使ってもなじみやすいです。

 ただ、今回は最後に弾いたので、ちょっと演奏が雑になってしまいました。 ※左手の抑え方が雑で、音がきれいになっていない箇所がちらほら・・・

3-7.ベース

エレクトリックベース(日本の工房:ハリーズ/Dragonfly)

これは10年以上前、バンドやってた頃に買いました。当時の自分が2か月以上、毎週末楽器屋に出かけて、いろいろ試奏して決めました。

アメリカンシダーという材質なんですが、これがまた、爪でひっかくだけで傷ができるというヤワヤワな代物。

この時期に作られたものしか見かけないので、「メーカーも試しに作ってみて、向かない材質の欠陥品だと気づいたんだろう!?」思いつつ、そんな欠点も含めて愛してますベース愛は盲目というやつですね。

ジャズべですが、ネックが太めでスティングレイから入った僕にとっては演奏しやすいし、季節の変わり目でもネックがそらない!!ツヨイ!!

ただし、表面は傷だらけです(´Д`)

 本題に戻すと、ベースとギターは録りなおすつもりじゃなかったのですが、MVの構想的に、動画の絵が欲しくて録り直すことにしました。昔の自分の弾いたフレーズを耳コピ、、、なんですが、てきとうに手癖で弾いているだけだったので、一瞬で思い出しました。多少のアラは気にせず、3パーツくらいに分けて、エイヤーという勢いで1-2テイクづつとりました。

3-8.ギター

男は黙ってSG

「ギブソンはオッサンしか使わない」

「やっぱテレキャスかわいいよね~」

「ぼっちちゃんの黒のレスポールしぶカワイイよね」

という声もちらほら聴こえていきますが、男は黙ってSG。

昔バンド繋がりの友人だった方から格安(楽器屋で買い取ってくれるであろう価格側に寄せてくれた)で譲っていただき、それ以来大事に使ってます。ロックな楽器というイメージで、宅録にも向かないというのはわかっているのですが、そこも含めて愛おしいです。ギター愛も盲目ですね。

 ギターは左右でなってます。左はアルペジオしたり少し動きのあるフレーズ。右はコードカッティング。コードカッティングはすぐ思い出しました。ファンク系で多用するジミヘンコード中心。

 このジミヘンコードは、とりあえず指の形を作って、かき鳴らすと、テンション感あってファンキーな響きが得られるすぐれもの。僕はギター素人なので、とにかくリズムだけよれないように、カッティングしました。

 左のギターは、、、時間切れ。前のニュアンスを超えられないのでやめました。演奏は「1stテイクやデモテイクを超えられない」というジンクスがあるのです。

4.アコースティック楽器はめんどくさい

 ここまで書いてアレですが、民族楽器の達人でない限り、曲に民族楽器を取り入れようとする場合、サンプリング素材や、音源を使って打込んだ方が、早いし、質のいいものができると思います。

 僕の場合は、民族楽器をたまに弾くだけの素人なので、演奏を楽しむという個人的な目的のため、めんどくさい思いをして、質を犠牲にしてやってます。また、楽器そのもの機能美を愛しているので、演奏風景の絵を残したかったんです。楽器愛は盲目ですね。

 ただ、そういう目的がない限りは、お勧めしないです。

 そしてアコースティック楽器は日中にしか録音できないのも、週末音楽家の悩みどころ。

 僕は平日は本業の仕事しているので、日中の音録りは土日が勝負。そんななか、土曜日の休日出社が決まる。投稿祭の期間を考えると、1日しかチャンスがないことが分かりました。

 そこで、平日夜間に「この音が入ればこうなるはず、、、」みたいな構成案は練っておいて、日曜日に一気に仕上げました。事前のイメージトレーニングのおかげで割とすんなりいきました。

息子が「パパ、楽器上手だね」と、録画中に入ってきたりしました。電子楽器だと、演奏は自分以外聴かないので、子供に聴かせることってないですからね。良いコミュニケーションの機会になりました。

5.最後に

 ということで、なす央さんを祝うという本来の目的を忘れないようにしつつも、個人的に楽しみまくって作った思い出深い作品になりました。ここまで育ったのは、モミアゲヲさんの投稿祭の「物語」というコンセプト、U-Rayさんのボカロック投稿祭の「人工音声を使ったロック曲」というコンセプト、キラハピ投稿祭の「キラキラハッピーな曲を作ろう」というコンセプトがないと完成しませんでしたので、イベントを主催していただいた方々に感謝です。

 そして、こんなニッチな作品をいろんな方に聴いていただきありがたいコメントをいただいたりして、本当に恐縮です。ありがとうございました。



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