辛さに耐えることは美徳ではない
目からうろこがおちた。
ここ最近、7月からの海外駐在が決まっているパートナーと、自分たちの将来について話し合う時間が増えていた。
どんどん具体的に、はっきりと形作られる未来に、私はまだ覚悟が決まらずにいた。
結婚することで、私を取り巻く環境はガラリと変わる。その変化が怖かった。
次第に、パートナーと話し合うことさえ億劫になっていた。俗にいうマリッジブルーだったと思う。
何が不安なのか、ひとつひとつ掘り下げて、浮かんできた気持ちをすくい上げ、言葉にしてみた。
するとパートナーは、「自分ひとりで全部やろうとしなくてもいいんだよ」と言った。
その言葉に、目からうろこがおちた。
私は、パートナーと結婚して家族となった後も、自分一人で全て頑張る頭で考えていた。無意識だった。
自分が退職することで減った収入は、いつか自分が埋めなければならないし、子どもを育てる中で増える分の負荷は、自分が担わなければならない。無意識にそう考えていた。
パートナーは重ねて「もっと頼ってほしい」とも言った。
私はその時まで「頼ること」と「甘えること」を混同していたのだと思う。
友人に相談されれば、「なにも、ひとりで頑張ろうとしなくとも」と言えるのに、どうして自分のこととなると、こうも見えなくなってしまうのか。
自分ができることは自分でやらなければならない、できないこともできるように努力せねばならない、辛いことにも耐えなければならない。
誰が決めたかも分からないルールで自分を縛って、自分を苦しめ、パートナーに寂しさを感じさせていた。ひとりで辛さに耐えることは美徳でも何でもない。
30数年をかけて築き上げられた考え方や価値観は、そう簡単に変えられないだろうけど、「ふたりで頑張ればいい」という私にとっての新鮮な考え方は、私の気持ちを明るくした。
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