【舞浜戦記・序章】直前スピール
お品書き(自己紹介)
【舞浜戦記】の取扱説明書を載せておく。
十数年の時が経過したとは言え、東京ディズニーランドの内側を克明に記した内容であり、他の人には書けないであろう、僕だからこそ書けた内容を目指して書き始めた。
「直前スピール」のスピールとは、ディズニーキャストなら知らない者はいない基礎用語である。分かりやすく言うと、「セリフ」のことだと思って差し支えない。
パレードやイベントなどが始まる直前に使うスピールが「直前スピール」だ。
・僕が経験したのはアトラクションのキャスト。年代順に紹介しておく。
1.蒸気船マークトウェイン号(1991〜1992)
2.ウエスタンリバー鉄道(1991、1992)
3.スプラッシュ・マウンテン(1992〜2005)
4.ビッグサンダーマウンテン(2000、2001)
5.スペースマウンテン(2002、2003)
6.シンデレラ城ミステリーツアー(2003)
7.ホーンテッドマンション(2003、2004)
番外.パーキングロット(2001)
継続的に勤務していたのはマークトウェイン号→スプラッシュのみ。それ以外は断続的に行っては戻りを繰り返したため期間は重複している。
・僕がキャストとしてランドに勤務していたのは1991〜2005年のことである。つまり相当「昔」であることにご注意を。
・かのウオルトは「ディズニーランドは永遠に完成しない遊園地だ」と言ったが、まさにこの至言を現実化した聖地だ。常に進化を続けている。その現場が10年以上も同じやり方で運営されているなどと、決して思ってはいけない。変化の早いTDRにおいて10年は、完全に別世界だ。一般ゲストからするとディズニーランドもシーも新しい施設が増えるだけで、既存の施設は何も変わっていないと感じるだろうが、それは大きな間違いだ。施設・運営方法も含めて日々改良を重ねてより快適に、より時代にあったものに進化している。
・戦記は闘いの記録である。では何と闘っていたのか。敵?先輩か?上司か?会社か?悪質なゲストか?ディズニー哲学か?全てノー。それをこれから徐々に解き明かしていく。つまり謎を解明する記録だ。
・僕がここで書く内容は、基本的にゲストとキャストの両者にとってハッピーかつメリットがあることに限ることを基本原則としている。とは言え、説教臭いお話など一行も読みたくないだろう。綺麗事は書店に並ぶディズニー関連本でも買って読みなさい。目標は毒にも薬にもなるエピソードを並べたい。
・思い出は美しいが、かなり美化されていることも考慮の上でお読みいただきたい。武勇伝を語り始めたらただの老害であることを肝に銘じて、注意深く進もうと思う。
・この戦記は僕が経験した事実に基づいている。しかし人の見聞きしたことというのは案外適当なもので、事実とは多少差異があるかもしれない。当時の自分が勘違いしていた可能性も捨てきれない。なので、ここに書いてあることは「当時僕が感じていた」「当時はそうだと思っていた」という主観的な目線からの描写であることを了承いただきたい。
・僕は退職して以来、ほぼ最新情報に触れていない。現在のTDRを全く反映していない事を了承いただきたい。
・とは言え、パーク運営の根底に流れる思想、哲学は普遍的要素として現在の両園においても脈々と受け継がれている、と信じている。そのあたりも、自分なりに整理して描いてみたい。
・テレビ番組における自粛の基準が過去と現在では異なるように、当時は許されていたことが、現在はNGとなる事象もあるだろう。上記に該当するような記述はしないつもりだ。ただし意図せずに問題案件へと発展した場合の対処についてはやぶさかではない。だがおそらく無視だ!
・実在の人物たちについて触れずには、この戦記は魅力をお伝えしきれない。だが当人が当時のエピソードに登場させられる事を望まないケースもあるだろう。とは言え、各人に許可を取る時間的余裕はない。僕と共に勤務した方々が、ひょっとしてあの人のことを書いているのかとようやく気づく程度に、曖昧な描写に留めるつもりだ。それでも訂正を望む際は、ご連絡下さい。慎重に考慮の上で、無視だ!
・この戦記を通じて、何らかの気づきを得られるなら、そして現在のパークを楽しむ寄す処(よすが)にしていただけるなら、作者にとってこの上ない幸福です。
・では、安全バーをしっかり下げて、手すりにおつかまりになってお楽しみ下さい。飲食喫煙、写真撮影はご自由に。小さなお子さんをお連れの方は、しっかりと手を握りしめておいて下さいね。
お帰りの際は、お忘れ物のないように。お出口は左側です。