#1 彼とCDプレイヤー

彼は、私が流した知らない曲に、ノリノリで首を振っている。
横に振るのと縦に振るのを合わせたような独特な動きで、コミカルにおどっている。
ベッドの上で首を振るものだから、マットレスが小刻みに揺れている。
「…リズムに弱いんだよ」
しゃべっておどれる鳥みたいなことを言って、彼はニンマリと笑って見せた。
「akane＊さんもやってみたら？」
…言われる前に私も首を振っていた。
普段は冷静を決め込んでいるのに、彼といると、自分が愉快になっていくのがわかる。
2人でニコニコ首を振るさまは、誰も割って入ることはできない、いや割って入りたくもない、とっても楽しげな光景だろう。
前まではノリノリの彼を見たくてノリの良い曲ばかりを流していたけど、最近は暗い曲を流した途端に〝しゅん〟となる彼が見たくてつい意地悪してしまう。
そんな意地悪なところも含めて自分にも茶目っ気が出てきたなと思う。
そんな自分のことを、今はちょっとだけ好きになりはじめている。

（おわり）

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ちなみに、このシリーズの看板画像↓

の色は、彼が誕生日に買ってくれたイヤホンの色からもらいました。

これからこの色を目印に、私と彼の記事を探して読んでいただければと思います☺️