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PCDJ機材の記事(後編) 入門用機材について考える

 お疲れ様です。後編です。

 前編では「無料で使えるDJソフトはないか?」ということでMixxxについて書きました。今回は物理的な機材のほうについて考えていきたいと思います。 


入門用機材について考える

 ハードのほうの機材の話なのですが、初心者の人向け機材を考えると同時に「おれも次の機材を選ぶならどうしよう?」という観点で頭をひねっています。

 少し前はDDJ-400やDDJ-SB3といったお手頃価格でDJソフトまでついてくるPioneer製DJコントローラーがあり、「これだけ買っときゃいいぜ!」とよく太鼓判を押されていたらしいのですが、それらの生産終了により今だとDDJ-FLX4という4万円台のDJコントローラーが入門用の立ち位置を担っているのでちょっとお高め感があります…。
 そのへん、なんとかやり方はないか?と、いくつかソフトとセットで構成例を考えていきます。

自環境

 じゃあアンタはどういう環境でやってるんだいという話になるので挙げておくと、Numark Partymix 2Virtual DJ Home Plusの構成でやっております。

 使用感や詳細はまえに書いた記事でまとめておきました。

 この環境のいいところはとにかく最低限揃いつつも安いところですね。Party mixはその名の通り、おウチでパーティやることを想定しているので、「まあとりあえずザックリつまみ類が揃ってるよ!」ぐらいの程度でコンパクトにまとめてあるコントローラーです。パッドが四枚しかない・出力端子が3.5mm・EQがトレブルとバスしかないのが痛いところですが、だいたい1万3千円くらいで買えてしまうので気負わずにやれるコントローラーです。
 このコントローラーにはPartymix Liveというスピーカー付きバージョンがありミックスを作ったり練習するのに手軽で便利だと思うので、ちょっとだけお値段高くなりますがおれとしてはそちらをオススメします。

 Partymixが安い……とはいえソフトは別口で用意する必要があります。コイツ自体はSeratoにも対応しているコントローラーなのですが、おれはVirtual DJのホームプラス版を使うことにしました。
 SeratoとかTraktorとか、Recordboxと比べるとかなりパッとしないソフトではあるのですが、楽曲のキーとBPM解析がすんげえ早いのとありとあらゆるDJコントローラーを分析して対応してくれているすごいソフトです。他のソフトでは相性問題で使えないコントローラーもだいたいVirtual DJでは気の利いた設定で対応してくれている事が多いです。このへんはたぶんソフトを買ってくれる人を増やすための戦略でしょうね。

 購入プランがいくつかあって、フル機能を自由に使えるプロ版を4万6千円で買いきってしまうorサブスクライブで月々3千円で使うか、ひとつのコントローラー限定で1万5千円支払いホームプラス版を買うか……といったところになります。おれが使っているホームプラス版は、「お金を稼げるプロの現場では使わないでね!あとこのDJコントローラー限定だよ!」という条件でお安く機能の大部分を使うことができるバージョンですね。
 Virtual DJは日本人のユーザーがそこまで多くない・プロ版を買わないなら機材ごとにホームプラスを購入する必要があるのが欠点なのですが、ほとんど日本語化されていて英語部分も調べればわかる程度ですし、なにより安いのが助かりますね。SeratoとかRecordboxが現場標準らしいので将来クラブでやったりする人には積極的にオススメはしないですが、「お金が……」という人には十分選択肢に入るソフトだと思います。

 Partymixは値段が安いぶん作りもチャチいし、中のオーディオインターフェースもそれなりのものだと思われますが、とりあえず自宅で遊んだりミックスを作るぶんには良いかなと思っています。
 スピーカー・ヘッドホン・パソコンがある人なら3万円かからずDJをやり始めることができる構築です。


案1 DDJ-FLX4

 いまPCDJを始めるならコレかなあ……とよく言われているコントローラーです。

 見た感じノブが十分に揃っていてパッドも8枚あり、ひととおり必要なものが揃ったコントローラーなのではないかと思います。また、これをPCに接続しているとPioneerのDJソフトであるRecordboxの基本コース(COREプラン)がタダで使えるので、ソフト代金が浮くという非常にデカいメリットがあります。
 4万円超え……という価格がネックですが、「数万円するDJソフトまでコミにした場合の値段」として他の機材と比べてみるとまあまあアリではないかと言えそうです。
 おれ自身ハウスの中でHouseばっかり掛けて満足している非パリピなので聞きかじりの知識ではありますが、クラブなどの現場で使われている機材にはPioneerのCDJやRecordboxが多いらしいので、将来的に人前でやったりするかもねって人にはコレでPioneer製品に慣れるのもアリかもしれません。
 値段がちょっと気にはなりますが「安牌、まず間違いない」と安心感のあるコントローラーじゃないかと思います。

案2 DDJ-200

 スマホ向けに設計されたPioneer製DJコントローラーがこのDDJ-200ですね。

 スマホアプリとの連携を考えて手軽にできるように設計されていますが、これもPioneer製なのでRecordboxが無料で使えます。それに本体価格が2万円台でめちゃくちゃ安い!という長所がありますね。

 ただまあ……おれはあんまり勧めないかな…。音量調整用のTRIM(GAIN)ノブがないのと、曲を選ぶブラウザノブ・LOADボタンが無いのは…。音割れが怖いなぁ…。

 このあたりは門外漢のおれより本物のDJのINOMUSICA(映野ごぐる)さんが書いた記事が参考になるかなと思います。
 オーディオインターフェースが入ってない(たぶんDACチップ積んでないんだろうな)という事なので、音を出すには別途オーディオインターフェースを買うかパソコンに入ってるサウンドカードに頼ることになりますが…。安さ目当てでDDJ-200を買っているのに別でインターフェース買うことになったり、パソコンに内蔵されているようなエコノミークラスのDACチップでDJをやるのは………。
 筆者のINOMUSICAさんは特徴を理解してサブコントローラーとして割り切ったセッティングをしていらっしゃるようなので問題ないと思いますが、初心者にはちょっとこれは……勧められんな…。

 ちょっとオーオタ沼の話に片足突っ込みかけてきたのでざっくりまとめますが、ふつうDJコントローラーに入っている装置やツマミをこのコントローラーだと省いている、ということです。
 とくにゲインのノブがないのがDJやる上では怖いですね。曲の音量がデカすぎると音割れといって音質がガビガビして悪くなるので、だいたいのコントローラーにはゲイン(音の出力)を調整するためのツマミがあるんですよ。ちなみに音割れするとどうなるかってのは、ちょっと前に流行ったインターネットミームの音割れポッターを思い出してください。ああなります。

 スマホアプリとかで気軽にDJやるよ!と用途を絞っている人であればとても良いんじゃないかと思いますが、パソコンでやるにはちょっとな~~って感じの機材ではないかと思います。個人的にはね。


案3 Traktor Kontrol S2

 DJ機材の会社の中では結構でかいネイティブ・インストゥルメントのコントローラーです。

 これもまあ定価では4万円とお高めに見えるコントローラーですが、DDJ-FLX4と似ていてDJソフトのTraktorが付属してきます。

 実際にアマゾンとか通販サイトで売られている値段はもうちょっとくらい安いので、ほぼほぼできることはFLX4と近いけど少し安いよね~という立ち位置ですね。

 ただ、最大の問題。DJソフトのTraktorが日本語に対応してない。ヤバい。これはしんどい。設定欄が全部英語!
 まあ救いがあるのはTraktor自体メジャーなソフトなので、日本人のユーザーが「こう使えばいいよ」と指南動画や記事をアップロードしてくれていることですね。値段的にちょっとお安いし、気合で調べてなんとかしてやるぜェ!と思えるのであればこれも候補に入ってくるかと思います。


案4 Numark Mixtrack Pro Fx

 おれが使っているPartymixを作ってるNumarkのちょっといいグレードのコントローラーです。

 パッドは8枚あるし必要なノブはバッチリ完備、FXパドルまで付いてるぜ!という充実っぷり。Partymixではミニサイズに抑えられていたピッチフェーダーも伸び伸びと操作しやすい大きさになっていて、モノとしてはかなりしっかりしたいいヤツなんじゃないでしょうか。というかおれが欲しいよ。
 プラッターにミニモニターが付いてるヤツと付いてないヤツがありますが、後者ならお値段としても2万8千円あたりで、似た機能を持つ各社のコントローラーよりひとまわりお安い。

 問題はDJソフトが付いてこないことですかね。いやまあソフトが付いてこないのが普通のDJコントローラーの姿なので、なんもおかしいことは無いのですが……。
 そこんとこのアイデアとしては、Seratoに対応してるので「必要なときだけSeratoのProをサブスクライブする」という方法があります。DJソフト最大手のSerato DJは買い切りでProを手に入れる他にも月々9.99ドルで加入できるので、「DJをやりたいときだけ加入して安く済ます」のも手です。
 あるいはおれがPartymixで挙げたVirtual DJもホームプラス版ならずっと使えて1万5千円くらいなので、まあ本体と合わせてトータル4万4千円……とするとDDJ-FLX4のライバル的立ち位置になるかなと。


カネがいっぱい欲しい!!!!!

 まあ身も蓋もない言い方するとこうなんですけどね。おれだって高級機とかオールインワンDJデッキとかCDJ・メモリDJ買ってゲヘヘ…!!ってやりたいよ。

 とりあえず今回はおれが思いつく限りで「DJ環境揃えるにはどのくらいになるかな~」と調べたところこんな感じでした。
 2023/03/12現在では、だいたいご予算的にしっかりした入門用のものを買って揃えると4万円くらい。ちょっと安く済まそうかなと考えるとPartymixとVirtual DJで3万円以内かなぁといったところですかね。
 ただ中古コントローラーとかを故障や劣化のリスク承知で見繕えばもうちょい安くなるかも(※注)なので、ここで挙げている候補より安く上がる可能性はあります。VestaxのSpin2とか。
※注…ただし付属ソフトが付いてこない可能性がある。PioneerのDDJはRecordboxのライセンスキーを前の人が使用済みだった…とか。

 あとは今回あえてTraktorについては深く突っ込まなかったんですが、コントローラーが対応しているものだったり英語の画面見ながらMIDIマッピングするド根性があるなら全然悪くない選択肢だと思います。Virtual DJのホームプラスと違ってこっちはコントローラー1個につき1ライセンスとかいう縛りもないし、1万4千円くらいでフル版が買えちゃうのでアリといえばアリかな。

 おれも新しいDJコントローラーがほしいので、雑草食って頑張ります。お互いがんばりましょう。

 では。

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