DDJ-200とCDJの話 ~DDJ-200は特殊な立ち位置の機材だよという話〜

昨年の暮れ、某会場にて手持ちの機器の実験をいろいろさせていただいたのでその結果などをいろいろ。

まずはじめに。

わたしの普段の機器構成なんですがDDJ-200+UA-M10+NanoKontrol2を使っていました。

この組み合わせの利点として小型高音質かつ現場での接続が楽、を実現できることが大きいです。
どうしてもDDJ-WegoやDDJ-400だと音量が出ない。音質もいまひとつ・・・

この組み合わせは気に入っていたのですが事件は現場で起きました。

DDJ-200とナノコン。これはオーディオインターフェースは配信用のU-24を使ってるが非常にコンパクトでDVJも可能。野外で配信撮影した例。


オーディオインターフェースの故障とDJ用オーディオインターフェースの販売終了


名機であるDJ用オーディオインターフェースUA-M10が現場で急に接続不良+ヘッドフォン端子不調となり、買い替えが必要になりました。しかも接続不良になったのはイベント中…丈夫な機器ではあるもののそもそも中古で購入したものなので致し方なし・・・


一応今回はたまたま中古でTraktor Audio2 MK2という同じような役割をする機種が手に入りましてどうにかなったんですが今ではUA-M10TraktorAudioMK2も生産が終了しており新品は入手困難です。(中古ならなんとか)


現場で使われてる機器だとTraktor Audio 6があるにはある。のですがいずれにせよちょっとお値段がするのと、ある程度の大きさがあるので運用が難しいかな…というのが正直なところです。


ということで、話を戻しまして…

以前までDDJ-200を使ってたのですが、正直な話この機器はクラブで正しく運用するにはかなり知識が問われる機器だということを実感しました。

なぜかというと
1.Gainがない
2.オーディオインターフェースがない(利点もあるが最大にして最悪の問題)
3.パッドのモードチェンジがマウスじゃないとできない
4.ミキサー直結を試すと変な挙動をすることがある

からです。ミキサー直結が唯一の希望だったんですがクラブで接続したときに変な挙動をしてしまい、トラブルが起きやすい。しなによりもこの構成でやってるひとがそんなにいないのでトラブルシューティングができない・・・という印象です。ようはCDJのほうが設営が煩わしくなく転換も楽、かつ使い慣れてる人も多いので安心かもくらいです。

なので、CDJを使う方針に転換しようと思います。

とりあえずDDJ-200の問題点。

1.Gainがない

DJにおいて前後曲の音量調節(GainやMasterの調整)は命です。このDDJ-200という機器はGainがなく、事前に調整しておくかマウス等を使ってソフト内でいじることになります。またはEQを使ってゲイン調整をするなり工夫する必要があります。


Gainもマスターもない

わたしはナノコンでゲイン調整してましたが、特に初心者でGainの存在を意識しづらい機器で始めるのは正直おすすめしません

というのはDJにとって音量調節は繋ぎ以上に大事というくらい大事だからです。(わたしもできてるかというと怪しい)

やっぱり特定の曲で音量下がってしまったりびっくりするほど音量上がったりすることは観客にとってもとても不快であるものです。特にいきなり大きい音を流すと音割れが生じたり最悪現場の機器を壊すことになりこれは絶対に避けなくてはなりません。

rekordbox には一応Autogainというのはあるんですがあれを入れると逆に音量調節が変になる曲もあり一長一短です。

なのでGainがない機器でDJをはじめるのはちょっと…

2.オーディオインターフェースがない(利点もあるが最大にして超致命的な問題)

DDJ-200なんですが、なんとオーディオインターフェイスがなく公式の結線図でもPCのイヤホン端子→左右スプリット→イヤホンとミキサーというつなぎ方をしてね、とあります

説明書。モニタリングする場合はモノラルで出力されてしまう

つまりは出力はPCのイヤホン端子からモノラルでしてることになります。

これでまともな音が出るなら正直な話世の中にオーディオインターフェイスなんていりません。小規模なDJバーや内輪でのバーベキューならともかく大きめのクラブや音が評判のクラブでこのシステムで出たらひとりだけ音悪いことが目立って次回以降出してもらえなくなることすら考えられます。

なので外付のオーディオインターフェイスを使うことになるのですがまあ追加料金はかかるし、設営が複雑になる。ミキサー直結もHIDよりノウハウ持ってる人が多いわけではないのでおすすめしません。

ひとつだけ利点があって、オーディオインターフェイスがないゆえに外付のオーディオインターフェイスとMIDIコンのオーディオインターフェースが競合しないので、前述のUA-M10やTraktorAudioMK2を持ってる人にとっては優先的に外付けオーディオインターフェースなどが選択されたりと運用しやすい機種ではあります。

(なぜオーディオインターフェース付きミキサーへの接続の結線図が説明書にないんだろうか・・・)

3.パッドのモードチェンジがマウスじゃないとできない

パッドのモードチェンジがマウスじゃないとできず、パッドで2つ以上の機能を使う人にとってはとても煩わしいです。マッピングで解消可能とはいえ…。3つ以上機能を使う人にとってはもう即座にパッド機能を使わないことを選ぶか変なマッピングをするかnanoPadを用意するかキーボードマッピングをするか…と煩雑なことになります。


わたしはHotcuePadFxを使うので、上段にHotCue4つ、下段にPadFxを振ってました。

(これで癖がついたのでDDJ-400購入後も同様のマッピングにしてます)

ちなみにLoop等もありません。

4.ミキサー直結で変な挙動をすることがある

一部のDJさんが言っていた「DDJ-200はPCはミキサー直結してオーディオインターフェイスはミキサーのを使ってねって機種だよ」って言葉を信じてPC→ミキサー(DJM-2000NXS)+DDJ-200を試したのですが設定が煩わしく思った運用ができませんでした。

具体的には
①あらかじめ現場のミキサーを調べてオーディオインターフェイス用のドライバを入れておく必要がある
②デッキを指定して音を流す

という手順になります。
音を流すところまでは行きましたがインターナル/エクスターナルが本来切り替えられるはず
がなぜか切り替えられず、ヘッドホンからも音が聴こえず結構設定項目も多いなという印象でした。

そして、やってみたらなんと各デッキ操作(プラッターとエフェクトとパッド)はDDJ-200、ミキシング(フェーダーやEQ)はDJM-2000NXSで行うというとてもおかしいことになりました。DDJ-200の真ん中が反応しないしインターナル/エクスターナルも切り替えられない。(もしかして接続前にインターナルエクスターナルを切り替える必要がある?)


このインターナル/エクスターナルはなぜかミキサー接続すると選べなくなる

実際に接続しているDJさんもいるので運用できる方法はあるとはいえ、特に初心者は接続時パニックになりやすいのもありこの接続はあんまりおすすめできない気はします。

そもそもPC→ミキサー直結できる箱ではCDJを運用できる確率が高いし予備機材としてはそもそもオーディオインターフェイス付きMIDIコンのほうが確実です。

そもそもミキサー直結が可能な環境ではCDJ運用したほうが有利なのでは?

PCからミキサーにUSB直結できる箱ではほとんどPioneer製のCDJがありHID運用ができることが多いため、DDJ-200を使うメリットが薄いです。後述する通り(問題もありますが)CDJの接続は思ったより簡単にできるので…


予備機材として持ってくならHIDが運用できずパニック!すぐ繋がなきゃ!な場面での使用が想定されるのでエマージェンシーのときには接続が確実でシンプルなオーディオインターフェイスつきMIDIコン(ようはDDJ400やDDJ-FLX、DDJ-Wegoシリーズなどの赤白繋げばとりあえず音が出る機器)のほうが安全だとは思います。(また、地方やライブハウス、HipHopが主体でDVSユーザーが多いような箱、スタジオなどCDJがあるとは限らない会場もあるのでそういった箱でDJする場合にも必要になってきます)

CDJが意外と簡単だったお話

デッキが入れ替わってしまうことがある、Hotcueが運用しにくい、HID同士の転換が難しいなど問題はあるのですが接続してみるとUSBケーブルが二本必要なMIDIコンという印象でした。

一回やってみると不安要素はあるもののHID同士の転換でなければいけるかもな印象です。

詳しい手順は以下のサイトがわかりやすいのですがざっくりいうと

①CDJXDJ用のドライバーを入れる
②デッキを指定する
③HID用のモードにして音源を再生。左右デッキが入れ替わってないかをチェックする

という感じらしいです。

ドライバーがある程度汎用性があるのが強い点ですね。

注意点として
左右のCDJが入れ替わることがある
HID同士だと転換が大変

というのはあります。

じゃあDDJ-200ってどういう人におすすめ?

先述したとおり外付けオーディオインターフェイスを活用できる人、あとはレコボリリック/ビデオをVJとして運用したい人向けかな。という感じです。

CDJ-HDJとかだと真ん中のミキサーはソフト内のミキサーを動かすわけではないのでビデオの輝度は連携しません。(3本刺しならいける?かもですが未検証)こういうときDDJ-200であればクロスフェーダーで輝度を操作することが可能です。
(まあこの運用のときはナノコンとかDDJ-SP1あたりを持ってくかキーボードでトランジションするのがいいと思う)

あとはスマホでDJしたい人にもDDJ-200は動かせるソフトが多かったりBluetoothMIDIがあったりとおすすめなところも部分的にはありますが、スマホやタブレットとなるとWego4とかmixtourいくほうがオーディオインターフェイスの運用の上でもいいのではと思います。(PC以上にちゃんとしたオーディオインターフェースを使わなければまともな音はでないと思いますし、外付けで導入するのは難しいと思います)
余談ですがPC RekordboxでBluetoothMIDIを動かすのは修羅の道です。

また、スマホからミキサー直結となると前述の外付けオーディオインターフェースの運用が難しくなるので、音の改善ができず結局別の機器を買うことになる気はします。スマホ用のオーディオインターフェイスもあるにはありますが、アプリごとの対応性や端子がPC以上にシビアになるので、スマホにも対応してるとうたっている別のMIDIコンを買ったほうが幸せになれると思います。

結語

DDJ-200は価格帯、bluetoothMIDI、8Padなどと結構魅力的な面も多いですが特にオーディオインターフェイス周りの運用に癖が多く初心者にはおすすめできません。初心者にはやっぱりDDJ-400か新しく出るFLX4をおすすめしますしスマホを使ってDJとか荷物を小型化したい人にはWeGoシリーズかmixtourあたりをおすすめします。

CDJが現場でそれなりにいじれる環境で家で軽くセトリ組みたいとかDVJやりたい!なら候補には入りますが一周回って中上級者向けの機器、と結論付けさせてください。

オーディオインターフェイスがないゆえに外付けのオーディオインターフェイスを別途用意して運用したい人にはある意味向いてる機種です。がクラブでまともな音を出すには総支出としてDDJ-400クラスの値段を超えます

レコボ対応の小型機種出てくれ…


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