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親離れ子離れ

一月は行く、二月は逃げる、三月は去る。本当に、年明けの三ヶ月の進み方の速さにはびっくりしてしまいます。そしてこの言葉を実感してしまいます。
皆さんも、きっとそんな毎日を過ごしていらっしゃるのではないでしょうか。

さて、私もアナウンススクールの運営を退いたとは言え、講師としてはスクールのレッスンに携わっているので、それなりに忙しく暮らしています。

私の現在の役割は、就職活動に直面している大学生や社会人のカウンセリングが主なものです。 
その人の状況により、ESに悩む時期にはES添削、面接で躓いていれば面接対策と、様々に生徒さんと関わります。

この仕事に長く携わり、大学生の方とたくさん話をすると、時代の変化を嫌でも感じることになります。
学生の気質についてはこれまでも折に触れ書いてきたように思います。十数年前の学生さんの中には、こんなユニークな人がいた、こんな会話もしました、というふうに…。
これは裏返せば、昔の方が個性があり、良くも悪くも記憶に残る人が多かったということでもあるのです。

残念ながら、逆に記憶に新しいはずの最近出会った生徒さんについては、正直言って、とても印象が薄いのです。
これは、他の先生方と話していても同じ感想を持たれるようで、良くも悪くも大学生一人一人の個性が感じられません。
個性がない、わけではないと思うのですよ。でも、個性を出すことは必要ないと思っているのか、もしくは怖がっているのか、はたまたマスクのせいなのか、顔も性格もよくわからないままお別れしてしまう感じなのです。 

そんな風に、アナウンサーを目指す人が多く集うアナウンススクールだからこそ、個性の薄さはどうなのだろう、と思わないでもない昨今です。

で、当の学生の変化もさることながら、もっと強く時代の変化を感じるのは、親世代!
いつの頃からでしょうか、アナウンススクール、特に就職試験対策講座へのお問い合わせは親御さんからのものが増えました。

最初に、あるお母様からの問い合わせ電話を受けた時にはとても違和感があって、電話口で「本当にご本人がやる気があるのでしたら、ご本人から電話をさせてください!」と、ちょっと厳しめにピシャリと言ったものです。
なんで親が電話してくるんだろう?そもそもこんなことは悩んだ末に自分で動くものではないのか??

それがいつ頃だったのかは忘れてしまいましたが、もうそれが普通になってしまって、いつの間にかこちらも驚かなくなりした。
むしろ、そりゃご心配でしょうから説明会にもどうぞいらしてください、とまでご案内するようになりました。

時代は変わったんだなぁ、と思うしかありません。やれやれ。

そんな中、つい最近ここまで来たか、と思う出来事がありました。
まだ大学2年生にも関わらず、インターンシップに応募するESが通過しないので指導してほしいという、こちらはお父様からのお電話です。
ずいぶん熱心な親御さんだなぁと思い、ぜひにとおっしゃるので授業を行うことになりました。
1回目の講座の後、お電話で話す機会があり、その時にESへのフィードバックをちゃんとして欲しいとのご希望が。
そればかりでなく、「そもそも、あのような短い行数で自分の書きたいことを書けるものなんですか?」と前のめりに聞かれるのです。

これはどういうことかというと、つまり我が子のESの内容まで目を通し、なんなら書くお手伝いまでされているということですよね!

これから先、数年後には社会に出る我が子。心配なのはわかりますが、一体いつまでお世話されるのでしょう。
手を貸し、口を出し、子供はそんな親の元、どうやって育っていくのでしょう。
本当に心配になりました。

就職活動はとても大切な人生の節目。
それだけに、親子でたくさん話し合いをして、納得のいく活動をされることを祈りますが、くれぐれも口出し手出しは控えめに!
大学生の皆さん。どうか自分の頭と心でしっかりと考えて行動して下さい。
タイパを重視し、すぐに答えを欲しがる人ばかりですが、悩むことも苦しむことも、その先の人生にとっては必要なんです!

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