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認知症と食事

認知症ケアチームには、さまざまな食の相談が
来ます。

⭐︎食べ物で遊ぶ
⭐︎認知症で食べられない

この2つが主な相談内容で多いところです。

ミールラウンドとして、食事の場面をまずは
観察しにいくわけですが、
認知症がある🟰食べ物がわからない

こんなスタッフのバイアスが大きく関連し、
そのほとんどが、原因をきちんと査定できていないことが大きな問題のように思います。

私達は食事という一連のこの行動を考えてみても
様々な事が影響し合っていることを考えてみてください。

まず、消化管の状態
これが健康でなければ、食欲も低下します。
活動や、排泄も順調でなければ、大きく食欲に関連してくるでしょう。

年老いてくれば、飲み込むことの機能🟰嚥下機能も低下し、食事の形態を考えなければなりません。

義歯や歯の欠損なども、影響します。

感覚器で言えば、味覚、視覚、聴覚、知覚、嗅覚も関連し、
食事をとる動作は、神経障害があれば難しくなります。

環境の面でも、物理的な環境として、食事を落ち着かない場所でとる人はいないでしょうし、一緒に食べる人つまり、誰と食べるのかという人的環境も大きく満足感には影響します。

これだけ多くの要素が複雑に絡まり合い
私たちは、日々の食事を問題なく摂取しているわけです。

認知症の中核症状は
失語
失行
失認
実行機能障害
注意障害
記憶障害が主です。

この認知症の人が傷害されて現れる中核症状は
食事のあらゆる要素を阻害していきます。

認知症で食べられない
そう相談されるケースの多くは
環境を改善することで、摂取できるようになる人も多くいます。

注意障害によって、食事に集中できない環境で
提供していることが多いのです。人通りの多い場所、隣の患者との話し声が聞こえる場所、看護師が「おいしい?」なんて語り掛けを多くしていることもあります。
このような場での摂取によって、
会話が気になり食事が進まない
人通りに目がいき、「いりません。あっちに行くので」と立ちあがろうとする。

このようなケースには、カーテンで視界をしきり
テンポよく進めることで食べてくれる事があります。

また、道具についてもお話しします。
この病院で提供される
ハシ、スプーン

認知症の人は実行により道具の使い方がわからなくなる事があります。
食事の形態が普通食ではない場合
看護師の判断でスプーンが多く提供される事が多いですが、このスプーンで食事をとる事が習慣化されていない人にとっては、記憶として行動が想起されない事があります。
手添えで行動や動きを想起させる事を繰り返し行うと食べられることもあります。

高齢者の味覚は亜鉛不足などにより
鈍感になり、何を食べても味を感じない
そう言われる方もいます。

また、たくさんのお皿を、一度に提供することで
混乱が見られることもあります。

レビー小体型認知症の方は、幻視により
ふりかけが虫に見えたり、お皿の柄で食思を低下させることもあります。

空間無視があれば、お盆の片側しか摂取出来ません。

このように、認知機能の低下で食事が取れない場合、その人の中核症状が食事にどのような障害を引き起こしているのか。
それをよく観察する事が重要になるのです。

このように
環境を整える事で摂取できるようになれば
まだ打つ手はありますが
1番どうにも出来ないのは

フレイルサイクルの関連した摂食障害です。

入院して、禁食期間が長い場合
嚥下関連筋群の低下が起きます。
これは嚥下関連筋群のみならず
消化管にも大きな影響を及ぼし、
食べたいのに食べられないという
状況を作り出します。

こうなってしまうと
なかなから元の食事摂取量まで戻すのは難しくなります。

胃瘻やPEG、胃管挿入、TPNなど
栄養摂取するためのデバイスが検討されることも
多く、その人のQOLに大きく影響することに
なるのです。

食事は人生に彩りを与える
 
だからこそ、簡単には決めないし、
きちんと観察して
できることは、試してみる。

その人をその先も生かすために
とても重要なケアになるということを
私達は心に留めておく必要があるのです。

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