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「してはいけないこと」であふれる育児情報たちが怖い

子供ができるまでの夫婦喧嘩に加えて、子供ができたあとは

「育児方針」

という、大きな大きな、特大の夫婦喧嘩のタネが新しく増えます。

今は子供が生後2ヶ月なのでまだ揉める頻度も少ないものの、今後子供が大きくなるにつれてどんどん決めなければいけない育児方針が増えていくんだと思います。

私は今からブルブルと震えています。

「私がメインで育児をしてるんだから育児方針は私に決めさせてほしい。
勝手なことをしないでほしい。」

という方向で妻が怒り、

「じゃあ俺がメインで仕事してお金稼いでるんだからお金の使い方は俺が決めていいってなるか?そんなわけないだろ」

と夫が怒る、というような喧嘩が今日も全国で200000件くらい起きているのではないでしょうか(ただの予想です)。

結婚前は晩ごはんの決め方でも揉めていたような二人が、育児方針という重要なことを決めるのは簡単なことではありません。

ふだん親たちが目にするインターネットや書籍には、育児方針は◯◯であるべき、△△はしてはいけない、という情報が500000ペタバイト以上転がっており、それらはエビデンスが不明確で、場所によって相反する情報が書かれていたりします。
「現代の育児は情報戦です」などという言葉とともに、書籍の購入を促すようなマーケティングも見られます。

くわえて家族や親戚から「◯◯は良いよ〜」「✗✗させちゃいけないよ。昔は〜〜でねえ」と無責任な話をされて、親の頭はメチャクチャになるのだと思います。

角がたつのであえて元記事へのリンクは貼らないものの、今ざっとネットで検索してみただけでも山ほど「育児においてやってはいけないこと」という情報が出てきます。

たとえば「食事について」というトピックだけに絞って10分ほど調べてみます。

・・・

「食事においてやってはいけないこと」は以下のように出てきました。

  • 嫌いな食べ物を細かく刻んで、好きな食べものに混ぜ込んではいけない

  • お菓子を食べさせてはいけない

  • 大人も子供の前でお菓子を食べてはいけない

  • 甘いジュースを飲ませてはいけない

  • 「◯◯が苦手だったよね?無理して食べなくていいよ」と言ってはいけない

  • 「食べないとおもちゃ捨てるよ」などと言って無理やり食べさせてはいけない

  • 親が食事のマナー違反を見せてはいけない

  • 食事中にテレビをつけてはいけない

  • 食べものを手やスプーン等でぐちゃぐちゃにさせてはいけない

  • スプーン等でお皿やコップを叩かせてはいけない

  • 食事が始まったら、席を立って動き回らせてはいけない

  • 椅子の上で立ち上がったりテーブルの上に乗ったりさせてはいけない

  • 毎日3食の食事の時間が異なってはいけない

  • 叱りすぎて「子供にとって食事を嫌な記憶に」してはいけない

  • 「これを全部食べないと、デザートはないよ。」など、責任を子供になすりつけるような言動はしてはいけない

  • 食卓に食事に関係のないもの(本や新聞紙など)は置いてはいけない

  • 牛乳を毎日子どもに飲ませてはいけない

  • 体を冷やす南国のフルーツ(バナナ・パイナップル・マンゴー・パパイヤ・キウイ等)は食べさせすぎてはいけない

  • 作り置きを出すのではなく食材からの調理過程を子供に見せないといけない

  • 食事中、親が子供の視界から外れる位置に座ってはいけない

  • なるべく国産品、無添加、薄味でなくてはいけない

当然これだけではありません。
「◯◯歳までは刺身は食べさせてはいけない」(なお、◯◯に入る年齢がウェブサイトによって異なる)
のような食べ物・栄養素固有の情報も山程でてきます。
「◯◯すべき」という情報ももちろんたくさんあります。

どれも「医師監修」「栄養士監修」のような文言がついています。マーケティングや「映え」のために発信されている情報もあります。

相反する情報も含まれるので全てを守ることは無理ですし、これらをなるべく守っている生活を頑張って続けていればいるほど、親のどちらかが1つでも破ってしまった場合、夫婦喧嘩の種が心の中でむくむくと成長を始め、頭を突き破るほどの勢いで出てくるのでしょう。

正直、これら1つ1つの情報のエビデンスを丁寧に調査し、自分の家庭で取り組むべきなのかを吟味することは常識的な時間では無理だと感じます。

そもそもエビデンスとなるデータや論文があったとして、その統計的な意味や含意を正確に理解するには高度な英語力や統計学の知識が要求されます。
「20人の◯歳児に◯◯を試したところ12歳時点で◯◯をしていないグループと比較して国語力に平均して◯点の差があった」のような文章があったところで、その母数は十分なのか、ばらつきはどの程度なのか、信憑性はあるのか、など、聞きたいことは出てきますし、一概に自分の子供に適用できるものではないということです。

正直解決策は分かりません。

今考えられる解決策があるとすれば、早め早めに揉めそうなポイントを見定めて、パートナーに対して事前に軽くジャブを打つ(ちなみに食事中に◯◯をすることってどう思う?)くらいでしょうか。ジャブを打たれた側も警戒してしまうのかもしれませんが・・・。

自分の子供の頃の記憶ですが、
親に夫婦喧嘩を自分の前で見せられて、悲しくて仕方なかったことがあります。「両親が揉めているのはきっと自分のせいなのだ」という気持ちにもなりました。

子供のことを思うのであれば、育児方針で揉めている喧嘩を子供の前で見せず、お互い冷静に、歩み寄ることがまずいちばん大事なのかもしれません。



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