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「手のなかの火」【詩】

あの子は手のなかに
火をもっていた
だからにぎりしめたとたん
ぼくの心は燃えたのさ

それからぼくは
本を読むのをやめた
そして空を眺める男になった

それからぼくは
たとえばアルバイトの休憩時間に
SNSをみることをやめた

そこにはくだらない話しか
載ってないことに気がついたよ

みんなスマホの液晶の上で
手のなかの火を消してしまったのだろうか
ぼくにはきみの温度があった

きみがこの手に残していった
火のあたたかさが
大人になっても
ぼくを離さない

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