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詩です。

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自作の詩、または「詩のようなもの」をあつめました。
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2022年7月の記事一覧

「追憶」【詩】

タバコの煙が目に沁みる 田舎の雨がやんだあとで 雲をしぼっても もう水は漏れませぬ 静まり…

桑島明大
2年前
14

「ふりする民」【詩】

みんな みんな みんな 誰かに指摘されないように ふりをする みんな みんな みんな 誰か…

桑島明大
2年前
12

「詩人の末路」【詩】

この世界で 一度でも 詩人と名のった者たちの末路 ……言葉の傘の下で 心地よい雨音ばかりを…

桑島明大
2年前
18

「雫は夢を見る」【詩】

雫は夢を見る 葉擦れの音の止む間にも 風のない庭先で 大地の匂いの夢を見る いまにも葉先を…

桑島明大
2年前
15

「男の抜け殻」【詩】

ラジオ放送の向こうから 濡れている おまえは月の影に立って 望遠鏡を覗きこむ おれは頭を殴…

桑島明大
2年前
9

「夏の幻」【詩】

波を打つ櫂に 頭を打たれたように 私は目覚める 夏のただなかに 鳶色の瞳が追いかけてくる …

桑島明大
2年前
9

「無題」【詩】

夜半、 ぼくらの あやふやになる存在の輪郭を 猫を撫でるように この手に受けとめて 小さな歌でも歌いながら 人の優しさに 心のたしかさに 未来を賭けてみる

「時間」【詩】

ふと 不安げに立ち止まる背に 降りだした夏の雨 ぼくは手をさしのべるが 時間だけは拭えない …

桑島明大
2年前
9

「黄昏の微吟〜Begin」【詩】

悲しみは どこにでも転がっているから 悲しみを歌うことはたやすい 喜びは むやみに礼賛されて…

桑島明大
2年前
5

「言の葉の雫」【詩】

たったひとつの言葉が 永い夜を連れてくる 傷つけまい、傷つけまいと 恐る恐る 言葉をえらん…

桑島明大
2年前
10

「混沌」【詩】

混沌を だきしめていたら 太陽は 落ちてしまった もはやぼくは 何者でもない 可惜夜(あたら…

桑島明大
2年前
7

「愛」【詩】

「愛」は 「戦」の派生語だ 争いつかれたホモ・サピエンスが ある日、流した涙の跡だ 「愛」…

桑島明大
2年前
8

「葛藤」【詩】

きみが本当に人生につまずいたとき 一本のペンをとるか 一丁の銃をとるか その葛藤を 自由と呼…

桑島明大
2年前
13

「逡巡」【詩】

まっとうな血の流れる場所などない 血の流れるすべての場所には 教育の敗北がある みんな我関せずの顔をして いつもの道をゆく 梅雨明けの青い空を切り裂いて 二つの銃声がこだました わたしたちは あやふやな言葉でしか望めぬ未来を それでも空想しなければならない 未来を空想する権利を 一人ひとりが託されたーー ペンをとるか 銃をとるか その逡巡を 自由とは呼ばない 迷わずペンをとり 過去をどう定義し 未来をどう描くか ……すべての人の心に 自分の言葉を授けられることを 本当の