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詩です。

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自作の詩、または「詩のようなもの」をあつめました。
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2021年11月の記事一覧

「季節はずれの海」【詩】

季節はずれの海がすき 季節はずれの波音が 背中をおしてくれるから 調子はずれの歌がすき 調…

桑島明大
2年前
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「からっぽ」【詩】

あれもこれも ほしいのは 自分自身がからっぽだから 人が空に はばたく翼の夢をみるとき 朝鳴…

桑島明大
2年前
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「柔らかな歌」【詩】

勝利の歌より やわらかな歌がいい つきさすような深夜の 自販機のあかりより 月あかりがいい …

桑島明大
2年前
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「ほんとうの詩」【詩】

「サヨナラだけが人生だ」 と、ある詩人が云った。 若いぼくは 詩人のキザに いやけがさした …

桑島明大
2年前
10

「チャイムの音」【詩】

一輪車に乗れないことを 笑って話してくれたきみが テストの答案をかえされるたびに 真っ赤に…

桑島明大
2年前
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「引力〜或る月蝕の夜に」【詩】

地球上のみんながみんな いっせいに夜空を見上げるとき この惑星の大地は いつもよりちょっと…

桑島明大
2年前
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「創作というイバラ道」【詩】

芸術とは ぼくたちにとっての目的地だろうか 人生にとっての理想郷だろうか それとも ぼくたちをどこかへとみちびく たんなる道にすぎないのだろうか たどり着いたとおもえば またあたらしい景色がひらける そのことを どこかでこころよくおもう自分がいて たとえばAIによって みごとに再現された美空ひばりや ビートルズに 魅せられない自分が ーーいや、 魅せられてはならないとおもう自分がいる いきいきとした心の 存在しないところに芸術は 存在しない ぼくたちは芸術によって 人の

「inside」【詩】

さよなら ぼくの心 きみはゆめのように 小さな言葉にかわる もうぼくの 心ではなくなる さよな…

桑島明大
2年前
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「無重力の詩」

二十二世紀の宇宙船に 日本の詩人の座席がないとしたら それは困ったことだ そのとき、日本の…

桑島明大
2年前
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「一つの詩」【詩】

わたしは信じる。 偶然 そこにある百万の詩よりも 苦労のはてに 守り抜いた 一つの詩を わた…

桑島明大
2年前
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「迷路」【詩】

夕暮れどき いつもとおなじ家路をまっすぐに歩きながら 私はときどき、道を見うしなう。 なに…

桑島明大
2年前
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「虹」【詩】

地球の表面に 境界線が引かれた日 ぼくらは旅にでた 子供の頃にみたあの 大きくて美しい虹を …

桑島明大
2年前
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「森のにぎわい」【詩】

きみが暮らしている東京よりも、 この森のほうがずいぶんにぎやかだよ、 とかれはいった かれ…

桑島明大
2年前
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「転がる」【詩】

転がる ことばが転がる かんねんが転がる よくぼうが転がる 政治家が転がす コメディアンが転がす 医者が転がす 大学教授が転がす ジャーナリストが転がす 野次馬が転がす そのどさくさにまぎれて 名もない何かが、転がり、落ちる 涙を転がす     怠惰を転がす         悲しみを転がす…… 雨に濡れた小石を転がす 工事現場の、割れた     カラーコーンの破片を転がす 歌を転がす 愛を転がす 青い空を転がす あなたとの 刹那の沈黙が転がり、落ちる 不安が転が