【エッセイ】プロット
これはプロットづくりのハウツーについて語ったものではありません。
まあ、最後の方で少しだけ制作のポイントに触れますけれども。
プロット制作について詳しく知りたい方は、ぜひ私のオンライン授業を受けてみませんか?
■プロットなしで小説を書くプロ作家がいるらしい
今のラノベ作家さんの一部の方はプロットなしで制作するそうで、まるでバクマン。の天才マンガ家の新妻エイジかと心の中で思っています。
『小説家になろう』に連載をしていて、そのまま作家さんになってしまう場合はそういう方が多いのかもしれませんね。
私はシナリオライターを中心としてからはプロットを制作することが当たり前となっています。
他人から依頼されるシナリオでは、あらかじめどんなシナリオになるかクライアントの承諾を得なければいけないので、プロットは必ず制作してクライアントの了承を採ってから制作します。
自分の作品ならプロットから大きく逸脱しても問題ありませんが、クライアントがいる場合は一度合意したプロットから大きく外れることは許されません。その場合は再度提案する形となります。
■プロットは設計図
プロットをよく設計図と言いますが、プロットがあればだいたい小説やシナリオ本文がどの程度の分量や内容になるかが見えてきます。
なので、プロットを書いている段階で、「内容を詰め込みすぎた」とか「内容が足りない」とか「展開に違和感がある」といったことがわかってきます。
近年、ソシャゲのキャラクターシナリオを私はよく書いていますが、キャラクターシナリオのポイントは引き算の考え方になります。
例えば、本文シナリオをたった4千字程度しか書くことができないのに、キャラクターを立たせて、恋愛も入れて、敵との熱いバトルも入れて、感動的なクライマックスも入れて……など要素を盛りだくさんに入れようとしたら文字数がオーバーになるか、展開が以上に速すぎてわけがわからない作品となってしまいます。
一般的なラノベ一冊が2時間映画なら、キャラクターシナリオは3分から10分アニメみたいなものです。
当然、描ける内容は限られてきます。
ちなみに、遙か昔の学生の頃に、小説やプロットを書き始めた頃は、詰め込みすぎてよく失敗をよくしていました。
だから、何に一番重点を置くかポイントを絞ることが大切です。
ソシャゲのキャラクターシナリオにおいては、なによりもキャラクターに愛着を持ってもらって、プレイヤーに推しになってもらうことが大切ですから、キャラクターの魅力を120%出せる形のシナリオにしなければいけません。
でも、キャラクターのどの魅力を出すか、どう短い話の中で見せるか、というところは非常に悩ましい問題です。
小説一冊くらいの長いお話の方が正直、私は楽です。
ひとつの物語の中にいろんなキャラクターを登場させて、いろんな場面を描くことができて、さらにキャラクターの成長も描くことができるので、自然と愛着を持ってもらえます。
でも、キャラクターシナリオは書きたい要素をたくさん捨てて、一番大事な部分だけを見せる形になるのです。
だから、本来なら私はノベルゲームみたいな方が得意です。
そんなお仕事をお待ちしております(笑)。
■プロット制作には技術、読み解くには読解力が必要
話がそれたので戻します。
このようにプロットは物語作りの設計図であり、特にお仕事をする上では他人に見てもらうことも多いので、わかりやすいプロットを作る必要があります。また、シナリオ制作の仕事では他人が制作をしたプロットを元に本文を執筆することもよくあります。
その場合は、渡されたプロットに書かれていることをただなぞるだけではなく、プロット制作者が何を表現したかったのか、この物語で何を一番見せたいのかといった部分を読み取る読解力も必要となってきます。
まさに国語のテストの問題で「作者は何を言いたいのか? 何をやりたいのか?」がここで役に立ってくるわけですね(笑)。
それを踏まえて執筆しないと、物語は上っ面だけになってしまいます。
ただ、ゲーム会社のディレクターさんなど物語作りが専門ではない人がプロット制作をすることもありますが、その場合はストーリーがちぐはぐだったり、前述したように短い文章の中で多くの要素を入れすぎて、わけがわからないことになっていることもあります。
その場合は、私の方で内容を整理してプロットの再度提案をすることもあります。
■プロットはマンガのネームやコマ割のようなもの(制作できるようになるには修練が必要)
このようにプロットというのは、マンガでいうところのネームやコマ割に近いものがあります。
マンガのネームも実際にネームを切ったり、コマを割ったりすることがある人ならわかるかと思いますが、想像以上に難しいです。
読むリズムや見せ方などをイメージしてコマ割っていきますが、慣れていないとコマ割りをするだけでも一苦労です。
同じようにプロット制作もプロならば作り手も読み手も同じプロットから作品イメージを共有することができますが、どっちかが慣れていないと「ん? どういうこと?」と首をひねるようなことになります。
つまり、プロット制作というのも技術や修練が必要なのです。
■詳細プロット制作
偉そうに語っていますが、私もプロット制作が慣れてきたのは、実はここ最近でもあります。
それまではノベルゲームやシチュエーションドラマなどが多かったので、プロットも割と事件や状況、主人公の行動だけを記録することが多かったのですが、近年はソシャゲが増えてきて、短い話の中でいかにキャラクターを魅力的に描くかということが求められているので、プロットも「何を一番大切にして書くか」ということを意識して書いています。
そこら辺はじっくりと主人公の成長やキャラクター同士の関係を描ける小説とはスタイルが違いますね。
その他にも、ゲーム側の都合で「ピックアップガチャに入るので、メインシナリオもこのキャラクター中心に」といった注文があるので、そういうのも柔軟に対応できるようにしなければいけません。
また、最近では詳細プロットを制作するようになってきました。
以前は簡易的なプロットをつくったらすぐに書き始めてしまいましたが、昨年から詳細プロットを書くようになりました。
ただ、詳細プロットを書くことで、作品のイメージがより具体的になってきて、執筆段階で迷うこともなくなりました。
■プロット制作には段階がある
ここからは余談です。
プロット制作には段階があります。
少しだけプロット制作のポイントについて触れたいと思います。
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