【エッセー】視点や考え方
ちょっと気になったことについて。
■お話作りは技術よりも前にまずは考え方
ネットのシナリオや小説のハウツー動画、また市販されている教本なんかを見ていると、技術的な部分を教えるものが多くて、根本的な考え方を教えている動画や本ってあまりないんですよね。
いや、技術ももちろん大事なんですけれども、そもそも考え方ができていないと、いくら技術を磨いてもおもしろい物語はできないし、求められているものを達成することはできないと思うのです。
技術論では「三幕構成にしなさい」とか、「山場をもうけなさい」とか、「主人公には葛藤させなさい」とか、「文章は簡略化しなさい」とか、「キャラを個性的にしなさい」とかそういうものがあるかと思います。
でも、そもそもの考え方ができていないと、いくらお話をつくっても、いまいち魅力に欠けるものになってしまうわけです。
厄介なのは技術を磨けば、小説にしろ、シナリオにしろ、形にはなるんです。だから、コンテストなどに応募したときは、一次選考・二次選考までは通過することができます。
でも、その先となると、物語としての面白さが求められます。
そこでどうしても引っかかってしまうわけです。
まさに20代のときの自分がそれなのです。
■「キャラが立つ」とはどういうことなのか、どうしても理解できなかった
「キャラが弱い」「キャラを立たせてください」とさんざん言われてきたけれども、そもそも「「キャラが立つ」というのはどういうことなのか?」という答えを誰も教えてくれなかったのです。
「変な口癖をすればキャラが立つのか?」
「変なクセやアクが強いキャラならキャラが立つのか?」
答えを述べれば、そんなものはある一面でしかありません。
そもそもの考え方として、「キャラが立つ」とは「ある人物を中心にして物語を描く」ということなのです。
例えば、凶悪で残忍なキャラが敵として登場したとします。
でも、設定では凶悪で残忍なキャラのはずなのに、作中では一切残忍な行為をしなければキャラが死にます。
部下が「ボスは残忍だ」とさんざん口にしても説得力皆無です。
それよりもヘマをした部下を銃で射殺するとか、連れ去ってきたヒロインに容赦なく暴力を振るうとか、そういう場面を描くと残忍さが出ます。
別にそういう際だった個性がなくてもよいのです。
凡庸に見える男子高校生やサラリーマンが主人公でもいいのです。
でも、平凡な人間なんて実はこの世には存在しません。
それぞれ個性があります。その人の魅力はどこにあるのか? この人のどこに「この人いいな」という魅力があって、どう見せればそれが最大限に見えるのか? ということをまず考えなければいけないわけです。
描きたい事件やストーリーに合わせてキャラを動かすのではなくて、キャラを目立たせるためや魅力的に見えるために必要な演出や状況を作り出していくことがもっとも優先すべき内容なのです。
さらに言えば、「引き立てる」わけです。
ファッションと同じですが、その人物に個性的に見せるために無理矢理変な口癖をつけたり、個性的な動きをさせて飾ったりするのではなくて、そのキャラクターのどこに魅力があるかはっきりわかっていれば、無駄に変なものをつける必要はありません。
その考え方ができていないと、いくら技術を磨いても微妙になるし、考え方ができていれば、技術的な話をしてもすんなりと頭に入って、自然と成長していくわけです。
■教本からではなかなか考え方は身につかない
そもそもの「視点」や「考え方」ができていないと、三幕構成だの起承転結だのハリウッド脚本術だのといくら技術を学んでもほぼ無意味。
そして、この視点や考え方というのは、厄介なことに本からではなかなか伝わらないのです。
あるいは、自然にできている人にはできることが当たり前なので、その大切な「考え方」や「視点」の部分を省略してしまっているのです。
いや、一応「キャラを魅力的に描くことが大切です」とどこの教本にも書いてあるわけですが、本からではなかなか伝わらない。
「キャラの履歴書をつくりましょう」とか、「キャラの背景や心情を探っていきましょう」とかそういうのは描いてあるけれども、そもそもなんでそれをやるのか、どうすればキャラを掴めるのか、ということがわかっていないと、いくらそんなことをしても意味がありません。
これはもうある程度マンツーマンで直接教わらないとわからないと思います。私みたいに自分でもがいてもがいて、仕事の中でリテイクをくらいながら気づく手段もありますが、正直時間がかかります。
だから、誰かに教わった方がてっとり早いと思います。
■考え方を理解してからだいぶ評価が安定してきた
考え方を理解してからは、だいぶ評価が安定してきたと思います。
今いろんなお仕事をしていますが、昔みたいに叩かれることも少なくなって、キャラもかわいいと言ってもらえるようになってきました。
特にソシャゲはキャラ命のところがあります。
なぜならキャラが愛されなければ、課金してもらえないし、長く続けてもらうことができないからです。
キャラが立ったり、キャラが愛されたりするためには、何が必要か?というそもそもの考え方を理解していないと、小手先の技術でなんとかしようとしても、表面的な部分で根本的な解決にはなりません。
そこを理解していない人が執筆すると、キャラが当たり前のようにユーザーが不快に見えるような発言をしてしまうし、何度リテイクを出しても直らないのです。
じゃあ、秋月は「完全にできているのか?」と言われたらNOです。
毎回初稿の段階ではできていないことも多くて、編集者さんやシナリオディレクターさんの第三者視点が入ることで、このキャラや作品を執筆するにあたり、何が重要かということを気づかせてもらいます。
そうした経験の積み重ねによって、よりどんな作品でも対応できるようになってくるわけです。
■考え方を身につけるには教えてもらうのが手っ取り早い
今や師匠の背中を見て学べという時代でもないですし、教えてもらえて考え方を身につけられるのならそっちの方が断然いいです。
多少のお金を払ってでも学べる機会があるのなら積極的に活用していった方がよいです。
YouTubeの無料動画や有料セミナーや講座で学ぶのもよいですが、それは予備校や多人数相手の塾のようなものなので、もっとマンツーマンで詳しく学びたいのなら家庭教師みたいな個別授業という方法もあります。
そんなわけで、マンツーマンで学びたい方はぜひ講座を開いておりますので、よろしくお願い申し上げます。
という今回も宣伝でした(笑)
■ひとりでなんとかしようとせず、指導者はいた方がよい
でも、正直、20代の頃、今の自分自身みたいなプロに出会って、学んでいたらもっと速く成長できたと思うし、一時期心が折れて創作が怖くなるなんてこともなかったと思います。
だから、私ではなくても、もし指導者や相談者を見つけられるのなら、ひとりでなんとかしようとするよりもずっと速く成長できると思います。
また、いろんな人に相談してもよいですが、指導を受けるのならふたりぐらに絞っておきましょう。
ひとりだと考え方が偏ってしまいますし、あまり多人数から学ぶと、いろんな考え方があって混乱してしまうからです。
誰からも学ばなくても、ひとりで成長できる天才はいます。
「教本は参考にならなかった」とか「好き勝手に書いたら出版できちゃった」とか「ヒットしちゃった」とかそういう天才は、そもそも別次元の存在なので参考になりません。
でも、20代の頃の自分みたいに壁にぶつかってもがいても、答えを見いだせない人もいると思うのです。
また、最初はうまくいっても1回壁にぶつかると、どうやって抜け出せばいいかわからないことも多々あるかと思います。
そういう人にはやっぱり指導者がいた方がいいのです。
そうすれば、簡単に穴から抜け出せることもあります。
昔とは違って、今やネットでは簡単にプロに話しかけることができますし、サロンや交流会、セミナーの情報が入ってくるようになりました。
自分が20代の頃は周りにプロなんていなかったので、穴にはまってもずっと抜け出せずにいました。
でも、今や気軽にプロから学べる機会がたくさんあります。
そんなわけで、積極的に動いて、正しい考え方を身につけましょう、というお話でした。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
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