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半年でなくなったカフェについて、勝手に考察してみた

こんにちは、マーケティングの会社で一人事務職をやっています。
日々日常で気になることをマーケティング視点でお気楽に考察したり分解して考えることが習慣になっています。

さて、昨年の春ごろに、近所にカフェがオープンしました。
その通りには喫煙可のちょっと昔ながらの喫茶店があるだけだったので、カフェができるらしいとわかった時は嬉しく、開店を楽しみにしていました。
コンパクトホテルの1Fにあるので、外観の壁は白と黒でちょっとスタイリッシュな印象。

今度から、家でリモートしていてちょっとおいしいコーヒー飲みたいなってときに気軽に買いにいけそう。サイドメニューもちょっとあるといいな。
そんな期待をこめていました。

しかし・・・

今月、お店は閉店。一年経っていません。
閉まったままの状態から、今週になって完全に設備も撤去されていました。
でも不思議ではなく、「やっぱりね・・・」というかんじです。
なぜなら、私も家族も結局最初の一回しかそのカフェに行かなかったからです。

リピートしなかった理由として、素人目に見ても「残念だなぁ」というポイントがいくつもあったので、勉強のために勝手に考察してみようと思います。

ざんねん度レベル・・・★
コーヒーひとつ受け取るまでに時間がかかる

いや、最近は本格派のお店が多いので、時間がかかるタイプなこと自体はそれほどマイナスではありません。しかし、スタイリッシュでモダンな外観かつ、ホテルの1Fにあるということで、なんとなくNYっぽさを感じていました。
そうすると、颯爽としていて忙しいワーカーが多いNYのイメージと、その「じっくり淹れる」がマッチせず、意外に時間がかかるのね、という印象でした(あくまで私の主観ですが)
そして、5分くらいは待つのに、あるのはテーブル席だけなので、座って待つところがないのにもちょっと困りました。外にちょっとした腰掛けがあるカフェも多いですが、そういうのも特に考えていない風でした。

ざんねん度・・・★★
看板商品の実態が不明

そのお店は「大きなクロワッサン」というものを看板商品に据えていました。
あんバタークロワッサン等もあるしオリジナルも色々できそうで発展性がありそうなわりに、クロワッサンがメインのカフェというのは聞いたことがないので、特徴としてはいいかなぁと思っていました。
でも、初めてお店に行った時、実物が見られなかったのです。
あったのは、お隣の合羽橋にいくとよくある食品サンプルのクロワッサン。
そこに「実物大です」と添えられています。
カフェに行くとショーケースがあり、食べたいものは実物を見て決められるのが普通なのに、食品サンプルを見て700円のクロワッサンを買うか決めなくてはならないのは少しチャレンジング。
外に「クロワッサン」というのぼりまで立てているのに、現物がどのようなものかわからない状態にしているのは何か意図があったのか、謎です。

ざんねん度・・・★★★
コンセプトがごちゃごちゃしている

通りかかる人の目を引こうと色々試行錯誤されている様子が見てとれ、日にちが経つにつれお店の様子は変わっていきました。
外に面したテイクアウト用の受付スペースの窓は真っ赤なハワイのレイ(首にかけるやつ)のような花が隙間なく飾られいき、貼られているステッカーの数も増え、そしてのぼりの数。スタイリッシュでモダンというホテル自体の雰囲気から離れていき、カフェという文字がなければカフェとすぐにわからないくらい、ゴテゴテしていきました。
それを見ながら、コンセプトの一貫性のなさを感じていました。
「このカフェのコンセプトってNYじゃなくてハワイだったのかな?ならコナコーヒー出せばいいのに。そして、ハワイならばクロワッサンじゃなくてマラサダ(ハワイのスイーツパン)が良かったな〜」と。
これはのちに町内の会報誌でわかったのですがオーナーの好きなアメリカ西海岸xハワイがテーマだったのだそうで、特色の違う二つを入れたから伝わりづらい中途半端なところに落ち着いてしまったのかな、という印象です。

カフェに求めるものって?

西海岸といえばスターバックスが出てきます。スタバのコンセプトは「3rd Place」。家でも職場でもない、第3の空間という意味です。
そして、コメダ珈琲も人気の喫茶店ですがそのコンセプトは「街のリビングルーム」「くつろぐ、いちばんいいところ。」
リビングルームという言葉は令和の時代からすると少し古く聞こえるけれど、いってることはスタバと同じです。
店舗ごとに内装はけっこう違っても、このコンセプトからずれていないから、ある程度混んでいても落ち着くし長居したくなります。
そうなると、このお店は西海岸xハワイというコンセプトのカフェで顧客に何を感じてほしかったのかなあ、と思います。
テーマにそって特色がある空間なのは楽しいしファンにもなりますが、そもそも落ち着いて過ごせるかって、私もカフェを選ぶ時にけっこう重視しているところです。

大事なのはやっぱり「ユーザー目線」?


お店が一年持たず、予想よりも早くなくなってしまった一番の原因は、
「顧客の気持ちになったお店作りができていなかった」ことかなぁと思います。
オーナーさんのやりたいことだけが前面に出ている印象でした。
特にそう思ったのが、オープンから数ヶ月、開店祝いのランの鉢植えがいくつも、店内に置かれ続けていたこと。
カフェに来るお客さんにとっては不要なインテリアで、夜のお店みたいだな、と思ったものです。

ということで、近所にご用達カフェを持つという私の目論見はなくなりましたが、同じように期待していた人が少なからずいたと思うと、もったいないなぁと思うのです。
そう考えると、オーナーの志向を入れつつ売れるお店にするプロデューサーの存在って大きいですね。

暗くなってしまったお店を見るたび、色々と考えを巡らせるこの頃です。

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