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11月貿易統計・出超額は2カ月連続の赤字を予測。11月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.5%程度と16カ月ぶりの低い伸び率に―日本の主要経済指標予測(2023年12月11日)―

11月貿易統計・通関収支差は▲1兆3,000億円程度の赤字を予測(12月20日発表)

 11月29日に発表された10月貿易統計確報によると、輸出金額は9兆1,471億円、前年同月比+1.6%で2カ月連続の増加、輸入金額は9兆8,081億円、▲12.5%で7カ月連続の減少となりました。輸出と輸入の差引額は▲6,610億円と2カ月ぶりの赤字になりましたが赤字幅は前年同月比▲70.0%とかなり縮小しました。
 
 輸出では、自動車、船舶、建設用・鉱山用機械などが増加し、半導体等製造装置、科学光学機器、電気回路等の機器などが減少しました。一方、輸入では、石炭、LNG、原粗油などが減少しました。
 
 11月の貿易統計で、輸出額から輸入額を差し引いた通関収支差は▲1兆3, 000億円程度と2カ月連続の赤字になると予測します。前年同月の▲2兆576億円の赤字から前年同月比▲36.8%赤字幅が縮小すると予測しました。なお、11月上中旬の通関収支差は▲5,360億円で、前年同旬比▲49.5%の赤字幅縮小となっています。
 
 11月の輸出額は8兆8,148億円程度、前年同月比は▲0.3%程度と3カ月ぶりの減少になると予測します。11月上中旬で輸出額は前年比▲0.1%でした。輸出が大きく増加した品目は自動車で、大きく減少した品目は半導体等製造装置、船舶、電気回路等の機器でした。
 
 11月の輸入額は10兆1,141億円程度、前年同月比は▲7.2%程度と8カ月連続の減少になると予測します。11月上中旬で輸入額は前年比▲7.7%の減少でした。輸入で大きく増加した品目は特になく、大きく減少した品目は石炭、LNG、非鉄金属鉱でした。
 
 11月上中旬の原粗油の単価、数量、輸入金額の前年同旬比をみると、単価は88,753円/㎘で前年同旬比▲5.6%程度の低下でした。数量は前年同旬比▲1.8%程度の減少、金額は前年同旬比▲7.4%程度の減少でした。11月月間の単価(入着原油価格)の前年同月比は、昨年11月までがまだ9万円/㎘台と高かった反動で8カ月連続の下落になると思われます。

※2023年11月は筆者予測値

11月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.5%程度と10月の+2.9%からの鈍化を予測。(12月22日発表)

 10月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+3.3%と9月の+3.0%から伸び率を高め、26か月連続上昇しました。猛暑に伴う生育不良でトマトが前年同月比+41.3%上昇するなど、生鮮食品の前年同月比10月は+14.1%と9月の+9.6%から上昇率を高めました。10月の生鮮食品を除く総合は、政府による電気・都市ガス料金抑制策でエネルギー価格が大幅に下落したことで、前年同月比で+2.9%と9月の+2.8%をわずかに上回りましたが2カ月連続して3%を下回りました。なお、26か月連続で上昇となりました。
 
 人手不足の中、人件費の価格転嫁が進み、公共サービスを除いた一般サービス価格・前年同月比は93年3月の+3.2%以来30年7カ月ぶりの伸び率になりました。デフレの時代の終焉を示唆する数字と言えそうです。エネルギー価格の前年同月比は▲8.7%と9月の▲11.7%から下落率が縮小しました。宿泊料は+42.6%上昇と9月の+17.9%上昇から大きく伸び率を高めました。前年10月が全国旅行支援の開始で押し下げられた反動が出たためです。
 
 10月の生鮮食品とエネルギーを除く総合の前年同月比は+4.0%で9月の+4.2%から鈍化したものの、19か月連続で上昇しました。
 
 11月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+2.9%程度と10月の+3.3%から伸び率が鈍化するも、27カ月連続の上昇になると予測しました。11月の前月比は0.0%程度とみました。
 
 11月の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.5%程度と10月の+2.9%から0.4ポイント程度上昇率が鈍化しるものの、27カ月連続の上昇になると予測します。+2.5%は22年7月の+2.4%以来16カ月ぶりの低い伸び率です。前月比は0.0%程度とみました。11月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+3.7%程度と10月の+4.0%から0.3ポイント程度上昇率が鈍化するものの、20カ月連続の上昇になるとみました。前月比は0.0%程度と予測しました。
 
 既に発表されている11月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)と11月大阪市消費者物価指数(中旬速報値)のデータを参考にして予測しました。両者は逆方向の動きをしている項目もあり、総合的に判断することにしました。
 
 関連データである11月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)では、総合の前年同月比は+2.6%と10月の+3.2%から0.6ポイント上昇率が鈍化しました。11月の生鮮食品は前年同月比+9.4%と10月の+16.4%から上昇率が鈍化し、前年同月比寄与度差は▲0.29%の低下要因になりました。
 
 また、11月のエネルギーの前年同月比は▲16.7%と10月の▲14.1%から下落率が拡大し、寄与度差は▲0.17%の下落要因になりました。
 
 生鮮食品を除く食料の前年同月比寄与度差が▲0.18%の下落要因になる一方で、宿泊料の前年同月比寄与度差が+0.12%の上昇要因になりました。
 
 一方、大阪市消費者物価指数・総合・11月(中旬速報値)前年同月比は+2.1%で10月の+3.0%から0.9ポイント伸び率が鈍化しました。大阪市の下落幅の方が大きいのは、上下水道料が11月前年同月比は▲40.9%で10月の0.0%から前年同月比寄与度差が▲0.56%と大幅な下落になったことが影響しています。また、前年同月比の大幅鈍化には加えて、11月の生鮮食品の前年同月比が+8.3%で10月の+10.1%から鈍化したことも影響しています。
 
 11月の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+2.3%で10月の+2.7%から0.4ポイント上昇率が鈍化しました。一方、大阪市の11月は前年同月比+1.9%で10月の+2.6%から0.7ポイント上昇率が鈍化しました。
 
 11月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+3.6%と10月の+3.8%から0.2ポイント上昇率が鈍化しました。また、大阪市の11月前年同月比は+3.4%で10月の+4.1%から0.7ポイント上昇率が鈍化しました。 

※全国消費者物価指数11月前年同月比は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。