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5月完全失業率は横這いを予測。5月の自殺者数・暫定値は7カ月連続で前年同月比減少。一方、5月の雇用関連の現状水準判断DIは2カ月連続低下。5月有効求人倍率は4月から低下を予測。―日本の主要経済指標予測(2024 年6月17日)―

5月有効求人倍率は1.25倍程度と4月1.26倍から低下か。(6 月28日発表)

 5月31日に発表された4月の有効求人倍率は1.26倍で、前月に比べて0.02ポイント低下しました。 4月の有効求人は前月比▲1.3%の減少となり、有効求職者は同▲0.3%の減少となりました。正社員の有効求人倍率は1.02倍となり、前月を0.01ポイント下回りました。

 有効求人倍率などの指標は、厚生労働省からハローワークにおける求人・求職・就職の状況をとりまとめたものが毎月公表されています。有効求人倍率の 1.00 倍は有効求人数と有効求職者数が同じであることを意味し、1 を上回ると有効求人数が相対的に多いことを示唆します。

 4月の新規求人(原数値)は前年同月比▲2.3%の減少となりました。新規求人数(原数値)を産業別に見ると、生活関連サービス業,娯楽業が+3.4%、医療,福祉が+1.4%情報通信業+0.4%と各々増加となり、一方、製造業▲7.8%、教育,学習支援業▲7.4%、宿泊業,飲食サービス業▲6.3%などで減少となりました。

 5月の有効求人倍率は 1.25倍程度と4月の1.26倍から0.01ポイントの低下を予測します。

 景気ウォッチャー調査の雇用関連の現状水準判断DI(季節調整値:50 が判断の分岐点)は23年7月に54.4と最近の極大値をつけた後、8月52.5、9月51.8、10月51.3、11月49.5と低下傾向で推移しました。その後、12月51.7、24年1月51.1、2月52.3、3月52.3と幾分持ち直した後、4月50.8、5月は48.8に低下しました。また、やや先行性があるとみられる新規求人倍率は2.17倍で、前月に比べて0.21ポイント低下しました。こうした様々な関連データを総合的に考慮して予測しました。

※2024年5月は筆者予測値

5月完全失業率は 2.6%程度と4月の2.6%と同水準か。(6 月28日発表)

 5月31日に発表された4月の完全失業率(通常マスコミで報じられるものは小数点第 1 位までの季節調整値)は 2.6%で3月の2.6%と同水準になりました。4月は就業者数が6,750万人と前年同月比+0.1%で21カ月連続の増加になりました。完全失業者数は193万人。前年同月に比べ3万人の増加、2カ月ぶりの増加になりました。求職理由別に前年同月と比べると、「勤め先や事業の都合による離職」が3万人の減少。「自発的な離職(自己都合)」が6万人の増加。「新たに求職」が前年と同数になりました。

 ちなみに、4月の完全失業率は小数点第2位までだと2.63%です。3月2.61%から0.02ポイントと僅かに上昇しました。男女別の動きはまちまちで、3月の男性の失業率は2.80%で3月の2.65%から0.15ポイント上昇、一方、4月の女性の失業率は2.43%で3月の2.57%から0.14ポイント低下しました。

 5月の完全失業率(季節調整値)は 2.6%程度と 4月の 2.6%と同水準になると予測します。季節調整値の完全失業率を小数点第 2 位(景気動向指数・遅行系列に採用)まででみると、23 年 1 月 2.46%、2 月2.59%、3 月 2.74%、4 月 2.59%、5 月 2.56%、6 月 2.51%、7月 2.63%、8月 2.63%、9月 2.55%、10月 2.54%、11月 2.54%、12月 2.47%、24年1月 2.44%、2月 2.60%、3月 2.61%、4月 2.63%と推移しています。

 原数値の完全失業率を季節調整値にするための除数である 24 年5月の推計季節指数は1.055で 4月の1.054より僅かに大きい程度で、季節調整値の完全失業率が4月の 2.6%から大きく低下する可能性は小さいとみました。

 自殺の原因には経済・生活問題も多く、78 年から 23年までの 46 年暦年の完全失業率と自殺者数(警察庁)の相関係数は 0.91 と完全一致の 1 に近い強い正の相関があります。自殺者数の前年同月比は 23 年 7 月▲0.5%、8 月+2.4%、9 月▲2.6%、10月+5.4%と減少と増加を繰り返した後、11月▲9.4%、12月▲0.6%、24年1月▲10.7%、2月▲9.0%、3月▲9.5%、4月▲8.0%、5月暫定値▲12.3%と7カ月連続して減少しています。4月から5月にかけて減少率は拡大しました。

5月新設住宅着工戸数の前年同月比は、2カ月ぶりの減少か。(6月28日発表)

 5 月31日に発表された4月の新設住宅着工戸数は、前年同月比+13.9%の7万6,583戸で、23年5月以来11カ月ぶりに増加に転じました。貸家と分譲マンションが大幅に伸び、持ち家が小幅な減少にとどまりました。季節調整済み年率換算88. 0万戸で前月比+15.8%と4カ月ぶりに増加に転じました。

 持ち家は前年同月比▲3.9%で29カ月連続の減少、貸家は前年同月比+20.6%と2カ月ぶりの増加になりました。分譲住宅は前年同月比+16.5%と4カ月ぶりの増加になりました。分譲住宅のうちマンションは+69.0%で4ヵ月ぶりの増加になりました。

 5月の新設住宅着工戸数の前年同月比は▲6.0%程度で、2カ月ぶりに減少に転じると予測しました。5月の新設住宅着工戸数・年率換算・季節調整値は80.6万戸程度、4月が高水準だった反動もあり、前月比は▲8.4%程度の減少に転じるとみました。

 景気ウォッチャー調査の住宅関連の現状水準判断DI(季節調整値)は、23 年 1 月 41.3、2 月40.6、3 月 42.2、4月 42.4、5 月 42.7 、6月 42.7 、7月 42.8、8月 41.6、9月 43.9、10月39.5、11月39.0、12月41.1、24年1月45.1、2 月45.1、3 月46.3、4 月42.8、5 月42.0と 推移していることなどを参考に予測しました。

※2024年5月は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。