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10月2日発表の9月調査日銀短観、業況判断DI改善は一服か。大企業・製造業は2期ぶり、非製造業は13期ぶりに、やや低下か。但し、12月見通しの業況判断DIは下げ止まるか。―日本の主要経済指標予測(2023年9月13日)―

日銀短観9月調査、大企業・製造業・業況判断DI+4程度と、6月調査+5から低下。大企業・非製造業・業況判断DI+21程度と、6月調査+23から低下か。

 日銀短観9月調査では、大企業・製造業の業況判断DIは前期に引き続き自動車での部材供給不足緩和などのプラス要因があるものの、半導体製造装置や金型の受注減などのマイナス要因もあり、+4程度と6月調査の+5から1ポイント程度低下すると予測しました。予測通りなら2期ぶりの低下になります。
 
 また、大企業・非製造業の業況判断DIは+21程度と、こちらは6月調査の+23から2ポイント程度低下し、13四半期ぶりの低下になるとみました。インバウンド需要などのプラス要因があるものの、物価高の影響で消費者マインドが悪化していることが影響したと思われます。予測通りならコロナの影響でマイナスに落ち込んだ20年6月調査以来の悪化になります。

※23年9月調査の日銀短観・業況判断DIは筆者予測値

日銀短観DIと連動性が高いことが知られているQUICK短観(9月調査)やロイター短観(9月調査)の動向。8月は良かったが9月は鈍化。

 9月12日に発表されたQUICK短観9月調査の調査期間は8月29日から9月7日です。製造業の業況判断DIは6月調査の+7から3ポイント上昇し+10となりました。一方、非製造業の業況判断DIは6月調査の+34から3ポイント低下し+31となりました。

 9月13日に発表されたロイター短観9月調査の調査期間は8月 30日から9月8日です。9月調査400社ベースの製造業の業況判断DIは6月調査の+8から4ポイント低下し+4になりました。また、9月調査200社ベースの製造業の業況判断DIは6月調査の+20から3ポイント低下し+17になりました。

 ロイター短観9月調査400社ベースの非製造業の業況判断DIは6月調査の+24から1ポイント低下し+23になりました。一方、9月調査200社ベースの非製造業の業況判断DIは6月調査の+27から8ポイント低下し+15になりました。

 なお、9月調査の大企業・製造業の業況判断DIが予測通り+4程度なら6月調査の「先行き見通し」+9を5ポイント下回る水準になり、景況感が事前予想よりかなり下振れたことになります。また、大企業・非製造業が予測通り+21程度なら、事前予想の6月調査の「先行き見通し」+20から1ポイント程度と事前の予想より景況感の低下が小幅にとどまったことになります。
 
 QUICK短観9月調査の製造業の12月までの「先行き見通し」+14で9月実績の+10より4ポイント上昇の見込み、また、非製造業の12月までの「先行き見通し」は+31で9月実績の+31と同水準になる予想です。
 
 ロイター短観9月調査の12月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで+4と9月実績の+4と同水準の見込み、製造業・200社ベースで+20と9月実績の+17からこちらは3ポイント上昇する見込みです。一方、非製造業・400社ベースの12月までの「先行き見通し」は+21と9月実績の+23から2ポイント低下する見込み、非製造業・200社ベースで+15と9月実績の+15と同水準になる見込みです。
 
 日銀短観の大企業・業況判断DIの12月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観などを参考にして、製造業は9月実績比2ポイント上昇の+6程度に改善するとみました。一方、非製造業は9月実績と同じ+21程度と予測しました。9月実績から12月見通しは悪化はしないという数字になると予測しました。

9月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が▲6程度、非製造業が+9程度か

 9月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が▲6程度と6月調査の▲5から1ポイント程度悪化すると予測しました。非製造業は6月調査の+11から2ポイント程度低下し+9程度になるとみました。この予測値は、景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなどを参考にして予測しました。
 
 参考データの景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が23年3月調査46.8、4月調査46.2、5月調査48.6、6月調査48.8、7月調査46.1、8月調査47.1と推移しています。
 
 一方、非製造業は23年 3月調査49.3、4月調査51.5、5月調査51.5、6月調査51.6、7月調査51.9、8月調査51.3と推移しています。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく、参考データの現状水準判断DIの方を重視しました。
 
 日銀短観の中小企業・製造業の業況判断DIが▲6程度と予測通りなら、6月調査の「先行き見通し」の▲1から5ポイント下振れで事前の見通しから悪化したことになるでしょう。また中小企業・非製造業が+9程度と予測通りなら、6月調査の「先行き見通し」の+7より2ポイント高い水準で、実績は低下したものの事前の見通しの低下幅より小幅にとどまったことを意味するでしょう。
 
 日銀短観の中小企業・業況判断DIの12月までの「先行き見通し」は、製造業で9月実績比1ポイント改善の▲5程度、一方、非製造業は9月実績比5ポイント悪化の+4程度と予測しました。中小企業・非製造業では先行きをいつも慎重にみる傾向があるというクセを考慮しました。

 設備投資計画、9月調査は6月調査からやや上方修正、底堅い結果か

 日銀短観の設備投資計画の予測には、他の設備投資計画調査である法人企業景気予測調査、景気ウォッチャー調査から作成する設備投資DIや、過去の修正パターンなどを参考にしています。
 
 7~9月期調査の法人企業景気予測調査の2023年度の全産業・設備投資計画は前年度比+12.3%で4~6月期調査の+11.2%から1.1ポイント伸び率が高まっています。
 
 景気ウォッチャー調査の設備投資関連・現状判断DIは、23年3月62.5、4月54.2、5月50.0、6月52.1、7月53.6、8月50.0と推移しています。一方、設備投資関連・先行き判断DIは23年3月64.3、4月75.0、5月71.4、6月52.8、7月60.7、8月54.2と推移しています。
 
 23年度の大企業・全産業の設備投資は前年度比+14.3%程度と、6月調査の同+13.4%から上方修正されると予測しました。また、23年度の中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比+5.9%程度と、6月調査の同+2.4%から上方修正されると予測しました。

<9月調査日銀短観・予測値>

(1)大企業
9月製造業DI   +4
9月非製造業DI  +21
12月製造業DI   +6
12月非製造業DI  +21
23年度設備投資計画(全産業)前年度比   +14.3%
 
(2)中小企業
9月製造業DI   ▲6
9月非製造業DI  +9
12月製造業DI   ▲5
12月非製造業DI  +4
23年度設備投資計画(全産業)前年度比   +5.9% 
 
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。