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『家計簿からみたファミリーライフ』10年間の変化、みその購入1位だった長野市は。2021~2023年平均の、ぎょうざの消費金額ランキングは。酒の消費金額と喫茶代のランキングからみたお国柄。―景気の予告信号灯としての身近なデータ(2024年8月28日)―

総務省が公表している「家計調査」は、GDPの個人消費・算出時の需要側の基礎データだが、ミクロ的視点からみると興味深いデータの宝庫。

 総務省が公表している「家計調査」は、マクロ的経済指標の視点からみるとGDPの個人消費を算出する時の需要側の基礎統計ですが、ミクロ的視点からみると興味深いデータの宝庫です。
 
 家計調査では年に一度、2~3月頃に、2人以上世帯のデータを使用して作成した、直近3年間の平均でみた「品目別都道府県庁市及び政令指定都市ランキング」が発表されます。統計的に有効なサンプル数を確保する意味で直近3年間の平均が使われているようです。政令指定都市では川崎市、相模原市、浜松市、堺市、北九州市の5市が対象になっています。
 
 また、毎年8月頃に『家計簿からみたファミリーライフ』が発表されます。今年は8月26日に発表され、今年も「食生活から垣間見られる土地柄」の項目に、2021~2023年平均の品目別「年間支出金額」又は「年間購入数量」が、全国で上位である主な品目(食料)について、それぞれの地域の特徴を踏まえ、まとめた表が掲載されました。

地域によって違う飲食物の好み。消費金額・消費量にも垣間見られる、お国柄。

 さけの購入が多い札幌市、ホタテの購入が多い青森市、かまぼこの購入が多い仙台市、中華そば(外食)も購入が多い山形市、しゅうまいの購入が多い横浜市、ぶりの購入の多い富山市、ぶどうの購入が多い甲府市、柿の購入の多い岐阜市、紅茶の購入の多い神戸市、梅干しの購入が多い和歌山市、梨の購入が多い鳥取市、かき(貝)の購入が多い広島市、かつおの購入が多い高知市、カステラの購入が多い長崎市、ぎょうざの購入が多い宮崎市(3年平均の1位、他に浜松市、宇都宮市のベスト3が記載されている)、かつお節・削り節の購入が多い那覇市など、その内容をみると、飲食物の好みは地域によって違うようです。また消費金額・消費量にも、お国柄が垣間見られます。

10年前、みその購入が1位だった長野市の現在の品目には、小麦粉、えのきだけが。みそは消えた。

 10年前の表と比べてみると、同じものが記載されていることが多いですが、変化したのもあります。例えば、みその購入が1位だった長野市から、みそが消えました。塩分控えめということで健康に気をつかう家庭が増えたためか、購入金額、購入数量とも第8位にランクダウンしたため、表から項目が消えたのです。

酒類全体の購入金額、いわゆる「家飲み」が多い上位2市は、順に青森市、新潟市です。

 酒類全体の購入金額、いわゆる「家飲み」が多い上位2市は、順に青森市、新潟市です。これに、3位盛岡市、4位山形市、6位秋田市と雪国、米どころの印象が強い地域が続きます。ここで5位と上位に割って入ったのがコロナ前は10位台だった東京都区部です。コロナ禍を経て、「家飲み」が増えたのかもしれません。
 
 飲まれるお酒の種類は、地域によって特徴があります。やはり、地元で生産されているお酒の種類がよく購入されています。
 
 秋田市、新潟市と米どころは「清酒」。南九州の鹿児島市、宮崎市は「焼酎」です。「ビール」は青森市、盛岡市の順に購入金額が多く、「ウイスキー」は札幌市、仙台市の順、「ワイン」は東京都区部、横浜市で多く飲まれています。

お酒が強そうなイメージで実は弱かった西郷隆盛と似た結果の、「焼酎」購入金額は第1位の鹿児島市。

 「焼酎」で第1位の鹿児島市は、酒を多く飲みそうなイメージですが、酒類全体の購入金額では52市中39位と低めの順位になります。「清酒」は最下位の那覇市を上回るものの金額・数量ともブービー賞の51位、「ビール」は金額33位・数量40位、「ウイスキー」は金額・数量とも最下位、「ワイン」は金額33位・数量46位、「チューハイ・カクテル」は金額48位・数量49位です。
 
 6年前に放送されたNHK大河ドラマの『西郷どん』でも主役の西郷吉之助(隆盛)が見かけによらず酒は飲めないというシーンが出てきました。鹿児島市はそうしたイメージです。
 
 外食の中の「飲酒代」が東京都区部に次いで多いのは、高知市で20,488円、全国平均の2倍です。前年の2020年~2022年の3年間の平均では14,211円で東京都区部に次ぎやはり2位で、全国平均の2倍弱でした。しかし、かつては4万円台で1位の年もあったように、高知市の飲酒代はもっと多かったのですが、コロナ禍の影響が残る2021年~2023年の3年間平均のデータでは低めになってしまいました。
 

酒の消費と喫茶代のランキング・グラフから東海地方のお国柄。

 酒類(家飲み)と飲酒代(外食)の合計で酒の消費の52市のランキングを作ってみました。これによると岐阜市49位、津市47位、名古屋市43位と東海3県の県庁所在市は下位にあたります。

 一方、喫茶代のランキングのグラフをみると、岐阜市1位、名古屋市2位で、モーニングの文化がある県庁所在市が上位にきました。この両市の人は相対的にお酒よりもコーヒーを飲むことが多いと思われます。

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。